308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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……まぁ、そうだよな。 食い殺されて苦しんで、下手したらゾンビになっちまうくれぇなら……って。
[ぽつりと漏らす。 自分は、その選択をすることはできなかったが、否定する気にはなれなかった。]
なぁフウタ、どうするよ、このあと。 だよなー、このままやられっぱなしってのは癪だよな!
(13) 2020/10/26(Mon) 19時半頃
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[ 扉を開けたわたしを、 あの子はじいっと見つめていた。 何も言わずに、ただわたしだけを。]
(+10) 2020/10/26(Mon) 20時頃
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……ジャーディン、 [ 犬たちと寄り添いあうようにして、 ジャーディンは足を投げ出していたわ。 切れ長の目はこちらを向いていたけど、 そこにあまり力はなかった。 どこか気だるげにも見えたのね。 緩慢な動作で傍らの犬の毛を梳きながら、 それでもあの子はゆっくりと口を開いたわ。 平坦でいて咎めるような声色が、 はっきりわたしに向けられているのが分かった。]
(+11) 2020/10/26(Mon) 20時頃
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……殺すの?
(+12) 2020/10/26(Mon) 20時頃
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[ ああ、ジャーディン。 あなたはこのまま死ぬほうがマシだというの?]
(+13) 2020/10/26(Mon) 20時頃
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ジャーディン、わたしは……、 [ わたしは……何と言いたかったのかしらね。 あの子に何を伝えたかったのかしら。 あなたに生きていてほしいってこと? それを伝えることに意味があるかはさておき、 確かにそれはわたしの最大の望みだった。 あの子が望むと望まざるとにかかわらず。 けれどね、 わたしがそれを口にすることは叶わなかった。 しびれを切らしたお隣のご夫婦が、 様子をうかがうように部屋の中に入ってきた。]
(+14) 2020/10/26(Mon) 20時頃
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[ この間のように、 わたしが犬を連れだす算段だったのね。 けれどわたしはちっとも出てこないし、 あの子が部屋に居ついていることは、 当然彼らも知るところであったから、 自分たちで直接説得しようと思ったのかも。 とにかく、彼らは部屋に入ってきて、 それでもあの子はわたしを見つめていた。 視線ひとつとして揺らすことなく、 ただ、わたしの答えを待つようにして。]
(+15) 2020/10/26(Mon) 20時頃
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[ そのときだったわ。*]
(+16) 2020/10/26(Mon) 20時頃
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[約15日。 二週間と一日。 土日がたったの二回きり。
世界がこうなるのにかかった時間。]
(+17) 2020/10/26(Mon) 20時頃
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[終わりなんてあっけないもんだ。]
(+18) 2020/10/26(Mon) 20時頃
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[あれから俺は何度か元帥と外に出向いて 無い食料を探してはゾンビを殺し続けた。
ちょっと昔のホラーゲームに 主人公が永遠にゾンビを殺すエンドがあったけど ちょうどそんな風に、どこからともなく沸き続ける連中を 殴って殴って殴り続けた。
都内ってこんなに人住んでたっけ。 こじんまりしたかつての首都の中に 滅亡とゾンビがみっしり詰まってる。]
(+19) 2020/10/26(Mon) 20時頃
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[元帥は相変わらず 何事にも関心がなさそうな冷たい目をしてたけど たまにゾンビを殺す俺を複雑そうに見るようになった。
聞いてみたら、元帥もまた、 ゾンビになった恋人を殺したんだそうな。
俺にシンパシーでも感じてんの、と笑ってやったら そんなわけねえだろ、とそっぽを向いていた。 へんなやつ。]
(+20) 2020/10/26(Mon) 20時頃
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[ショッピングモールの中で 元気に遊んでた子供たちが倒れだす。
大人も動くことが減った。 「このままじゃもう保たない」と叫んで バリケードの外に出ていこうとした男が ゾンビの襲撃を恐れた人間たちに撲殺された。
限界がすぐそこに来ていた。 崩れるのはあっという間だ。
俺の楽しい大学生活が ゾンビに侵された時のように。]
(+21) 2020/10/26(Mon) 20時頃
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[――だからその日は、ほんとにあっけなくやってきた*]
(+22) 2020/10/26(Mon) 20時頃
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[ それは終わりを告げるサイレンのようだった。]
(+23) 2020/10/26(Mon) 20時半頃
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[ 犬たちがけたたましく吠え出したの。 はじめは一匹。呼応するように次々と。
普段はそんなことなかったのよ。 そりゃ来客も少ない家だったから、 彼らを刺激するものも少なかったけど。
それにしたって、 思わずその場にいる誰も硬直するくらい、 尋常じゃない勢いだったの。
わたしたちは揃って数秒間、 あっけにとられたように固まっていたわ。 ジャーディンでさえ心底驚いた様子だった。]
(+24) 2020/10/26(Mon) 20時半頃
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[ その間も彼らは吠え続けた。 じきにガウガウと吠えたてる声に、 あおおおおんと遠吠えまで混ざりだした。
そのころになってようやく、 ご主人が慌てた様子で窓に駆け寄った。 ジャーディンも同じように窓を振り返った。 わたしと奥さんもあとに続いたわ。 犬たちはまだ叫び続けている。
どん、どん。 鈍い音がどこからか聞こえてきたの。 音は次第に大きくなる。どん、どん。どん。
わたしたちの見下ろす窓の向こうには、 門扉に群がる無数の影があったわ。 犇めき合い、波立つように押し、押され、 まるでひとつの大きな塊のようにも見えた。]
(+25) 2020/10/26(Mon) 20時半頃
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[ どん、どん、と何かのぶつかる音がする。 音? いいえ、地響きのように、 わたしたちの体の奥へと響くようだった。 鳴りやむ気配などまるでなかった。
やめさせてくれ!≠ニご主人は叫んだ。 叫んだはずよ。わたしにはそう見えた。 けれどその声さえも飲み込むように、 周囲には犬たちの鳴き声がこだましていた。]
──裏戸が。
[ つぶやいたのはわたしだった。 門扉が破られることは早々ないとしても、 裏は鍵をかけているだけの木戸なの。
きっと聞き取れなかったんでしょう。 ご主人が怪訝そうにこちらを見たわ。]
(+26) 2020/10/26(Mon) 20時半頃
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[ ああ、どうしましょう。 そう思ったときにはわたし、動き出していた。 たったひとり、ジャーディンの腕だけを取って。]
(+27) 2020/10/26(Mon) 20時半頃
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[ あっけにとられているあの子の手を引いて、 犬の声のこだまする廊下を進んだわ。
一生懸命走っているつもりだったけど、 ジャーディンは速足ですいすいとついてきた。
階段を降り切ったあたりで、 弟さんのお嫁さんが血相を変えて駆けてきた。
上階から響く犬の声と、 家を取り囲むような鈍い音、 それから誰かの悲鳴と銃声。 ありとあらゆる音が重なって、 彼女の声はとぎれとぎれに聞こえたわ。]
(+28) 2020/10/26(Mon) 20時半頃
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ね ンビ い の かに る の
(+29) 2020/10/26(Mon) 20時半頃
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[ きっとわたし、立ち止まるべきだった。 立ち止まって彼女の声を聴くべきだったわ。
でもね、わたしはそうはしなかった。 立ち止まろうとするあの子の腕をぐいと引いた。 足早に廊下を進んで、ひとつの扉を開けたわ。 そして、中にあるデスクの引き出しから、 迷いなくあるものを取り出したの。]
(+30) 2020/10/26(Mon) 20時半頃
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──行って、ジャーディン。 ここはもうだめ、持ちこたえられない。
(+31) 2020/10/26(Mon) 20時半頃
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[ さっきまで引いていた手の中に、 わたしが強引に握らせた小さなものを、 ジャーディンは一瞬不思議そうに見た。 そして次の瞬間、勢いよく顔をあげたわ。
泣きそうな顔をしていた。 何かに怯えているようにも見えたわ。 本当に利口な子。その意味をきっと分かってる。
それは車の鍵よ。おじいさんの車の。 古臭くてぴかぴかの車を動かすための鍵。]
(+32) 2020/10/26(Mon) 20時半頃
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[ そして、それがわたしの答えよ。]
(+33) 2020/10/26(Mon) 20時半頃
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[ ジャーディン、あなたを生かすためなら、 ほかの何を犠牲にしたって構わないわ。]
(+34) 2020/10/26(Mon) 20時半頃
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[ わたしはジャーディンを急かすように、 入ってきたばかりの扉をまたくぐった。]
早く逃げて。とにかく一度車の中へ。 身を隠せるわ。音のほうに来るはずだから。
[ そう告げながら、廊下へ出たのね。 ガレージのほうへと導くつもりだった。
そのとき、おかしな音がしたわ。 音っていうのかしら、声? 低い声よ。 そう、家を取り囲むあいつらが出すような。
そして、ふとおかしなことに気付いたの。 どうしてさっき、銃声がしたの? 木戸が壊されて窓やドアを破られて、 家の中まで入ってこられるには早すぎる。]
(+35) 2020/10/26(Mon) 20時半頃
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[ わたし、声のするほうを振り返ったの。*]
(+36) 2020/10/26(Mon) 20時半頃
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[調達したのは軽トラ。
それにサブマシンガンやらアサルトライフルやらを載せて。 いざとなったら使うように手榴弾も裏ルートから入手していた。
世界の果てを目指して往った連中のように。 自分らもこの軽トラに乗って何処かを目指すのも悪くはない。
そう、思いながら。]
(14) 2020/10/26(Mon) 21時頃
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[
何処かって。何処だろうな。
]
(15) 2020/10/26(Mon) 21時頃
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