308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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[ いくら襲われず安全だからといっても、 わたしたちはじわじわと弱っていっていた。
なんせわたしたちはもともと二人暮らしで、 お隣さんだって、旦那さんと奥さんのところに、 息子さんと弟さん夫婦が急にやってきたんだもの。
いくらお互いの家の食糧を持ち寄ったって、 これだけの人数で消費すればあっという間よね。
今晩もクラッカーを少し齧るくらいかしら。 ふと顔を上げたらリビングルームで、 ゾーイとウィレムがお互いにもたれて眠っていた。]
(+30) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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[ ジャーディンはきっと自室ね。 オッドを抱いて上がるのを見たわ。
ほかの大人たちもきっと、 それぞれに部屋で休んでいるんだと思うわ。
あまり栄養をとれていないからか、 だんだんと動くのもおっくうになってね。 何もしない時間が増えていたの。
いよいよ何か手を打たなくては。 わたしはそう考えながら、 犬たちの様子を見ようと部屋へ向かったの。]
(+31) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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[ ……ねえ、いのちに優劣があると思う?*]
(+32) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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[ふっと意識が持ち上がる。
さっきまで夕暮れの帰り道にいたはずなのに 目の前にはぼやけた灰色の天井が見えている。
近くにカーテンでもあるのか、 さらさらと光が反射して煌めいて まるで休日部屋で昼寝をした時みたいだった。]
(+33) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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……う、
[ここは。
もしかして、全部夢かな。 ゾンビとか、進が死んだこととか、 父さん母さんが死んだこととか 振られたこととか。
…………振られたことが嘘はさすがに無理か。]
(+34) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[ともかくも、
もしかしたら悪い夢でも見てたのかも、と そう思おうとした俺を現実に引き戻すように 左肩がつきりと痛んだ。
うめき声をあげると、近くで身じろぐ気配がする。 のぞき込んできたのは――]
「目ぇ覚めたか?」
あ? ………… ……なんで、あんたが、
[ぼさぼさの黒髪にやつれた顔。 死んだ目をした、体格のいい男。
ネコ元帥がそこにいた。*]
(+35) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[ 部屋の前でお隣のご夫婦と鉢合わせたの。]
(+36) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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あら、ちょうどよかったわ。 ご相談したかったの。 これからのこととか……色々と。
[ わたしはそう言って、 彼らのもとへと歩み寄っていった。
お二人ともやつれた顔をしていたわ。 なにか話をしていたようだった。 そうよね。このまま耐えてばかりいても、 どうにもならないことは皆わかっている。]
(+37) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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このままでは、 皆動けなくなるのを待つだけだわ。 でもまだ生きている人はいるはず。 きっとどこかに安全な場所が──、
[ いつも落ち着いているご主人も、 少し気が立っているように見えたわ。 わたしの言葉を遮るようにして言うの。
車はもうほとんどガスが残ってないんです
腕を組んで、しきりに唇を噛んでいた。 薄く剥けた皮を剥がしているのね。 落ち着いた品のある人だったはずなのに。]
(+38) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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ガレージの車。 もうずっと乗っていないけれど、 こまめにメンテナンスには出してるの。 古くて小さい車だから不安だけど……
[ ご主人はゆっくりと首を横に振ったわ。
仮に動いたとして、 とても全員は乗れないでしょう
きっとそんなこと、 もうとっくに考えてたとでも言いたげにね。]
誰かが生き残っている人に助けを求めて、 そしてまた迎えに戻って来ればいいわ。
[ そう言った私に、ご主人は小さく笑ったわ。]
(+39) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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ならキーを渡してください 我々が行きますよ、大人を代表して
(+40) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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それは……、
[ わたしは黙り込んでしまった。
彼らに鍵を渡して、送り出して、 帰ってくる保証がどこにあるの? 戻ってきてくれなかったら、残された側は? 外への連絡手段だってもうないのよ。 今度こそどうしようもなくなってしまう。
ご主人はため息をついたわ。 ……そうでしょう。 近所に食糧を探しに行くとは違うんです わたしの言葉を封じるようにそう付け足してね。]
(+41) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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けれど、そうはいっても、 このままだともう……、 どうにかしないと。何か手はないかしら。
[ 庭で火を焚いてみるとか、 バルコニーから信号を送ってみるとか、 そんなことはもうとっくに試していたわ。
少なくとも今まで、 外界からの反応は何一つとしてなかった。
外をうごめくものの数が、 日増しに増えているように見えるばかり。
私たちだって考えてはいますよ 別に非難したつもりはなかったけれど、 ご主人は少し気分を害したようだった。]
(+42) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[ これからのことを考えるはずだったのに、 あっという間に場は静かになってしまったわ。
少しの沈黙のあと、 唇をちろりと舐めてご主人が尋ねたの。
ところで、その車のキーはどこに?
ご主人はじっとわたしのことを見ていた。 胸の内まで見透かそうとするみたいにね。]
……どうしてそんなことを尋ねるの?
[ 戸惑って、問いを返したわたしに、 ご主人はだってアンフェアじゃないですか≠ニ。]
(+43) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[ アンフェア? キーの保管場所を教えないことが?
きっとわたしは納得のいかない顔をしたんでしょう。 ご主人は当然だとも言いたげに言葉を続けるのね。
だって、協力すると約束したじゃないですか
なんだか少しまずい空気だった。 わたしとご主人はお互いを見つめあって、 少しの間黙りこくっていたように思うわ。
そうすると突然、 奥さんが仲裁するように口を開いて、 わたしたちの間に割って入ってきたのね。]
(+44) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[ 彼女ははじめにご主人を窘めたわ。 脅すような言い方やめてちょうだい エドワーズさんが警戒して当然だわ そう言って、彼の前に立ったのね。 わたしのほうを向いた彼女は言った。
ごめんなさいね、夫も気が立ってるの。 あなたの言うとおり、状況が悪すぎて。 けれど、助けを呼びに行くのも、 実際難しいのは分かってくださる?
丁寧な物言いにわたしは当然うなずいたわ。 彼女の言っていることはまっとうに聞こえた。]
(+45) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[ わたしがうなずくのを見て、 奥さんはどこか安心したようにも見えたわ。
そして、それに≠ニ言葉を続けようとしたの。 どこかぎこちのない笑みを浮かべて。
どうしてかしらね。 そのときの彼女、なんだか嫌な感じだった。]
(+46) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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そんなことで揉めなくたって、エドワーズさん。 ほら……ここにはまだ食べるものがあるじゃない
(+47) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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[ ── え? * ]
(+48) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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[――やだ。 そう言って顔を膝に埋める青年が小さく見えて、 まるで昔に戻ったみたいだなと笑う。]
私も、……君も。 キャロルにはなれそうにないな。
[その名を聞いて、シーシャの肩が跳ねたように見えた。 目端にちらつく動きに視線を外し、目を閉じる。]
……せめて、食事はとりなさい。
[昨日ここに来てから何も食べていないのだろう。 意識のなかった間に強盗でも入っていない限り、 ・・・・ 人ひとりが生きるだけの蓄えはあるはずだ。
空腹はない。 それなのに喉の渇きばかりが頭を満たしていく。 眠るフリをして、あたたかいものから目を逸らした。]*
(+49) 2020/10/24(Sat) 22時頃
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「なんでって、お前、配信してただろ それで近くに来てるんじゃねえかと思ってな
植え込みン中で伸びてんのを確保した。 ……あ、左手無理に動かすなよ」
[丁寧に忠告してくれる元帥の言う通り 右手だけを動かして起き上がる。
よくよくみれば左腕は固定されていて 誰かが治療してくれたのだとわかった。
投げ渡される乾パンの袋を慌てて受け取って ぱさぱさに乾いた口に放り込んでは あまりの湿り気のなさに噎せた。
げらげらと元帥の笑う声が聞こえる。]
(+50) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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でもさ、なんで、俺なんか
「生き残りだから? 食料は心もとねえけど だからと言って人手を減らせば あいつらの数の暴力に負けるからな」
[腐った死体どもの。
と、元帥は言った。 その一瞬だけ、死んだ目にきつい眼光が宿った。 多分、目の前の男もまた、 ゾンビに大切なひとをやられたんだろう。]
(+51) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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俺がゾンビになってたらって考えねえの
「噛み傷がないから問題ないだろうと判断した。 駄目なら、――――」
[その手が鉈を手に取る。 俺はひきつった笑いを浮かべて首を横に振ると、 せめて茶化すように冗談を口にした。]
噛み傷ないって、確かにないけどさあ まさか寝てる間に剥いたりとかしてないですかにゃ?! きゃーーおまわりさー いでっ
[黙って水入りのペットボトルで殴られた。ひでぇ。]
(+52) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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「服の上からでもフツーにわかんだろーが。 お前もう一回ゾンビの群れに放り込むぞ」
ふぇー。やめて。ごめんなさい。勘弁して。
[俺は配信の時みたいに軽薄に笑う。 笑いながら、滲んできた涙を拭った。 手渡されたペットボトルの蓋をあけて水を飲む。
ようやく、震える声で「ありがとう」の言葉が出た。 知ってる人と話せることが、 こんなに嬉しいなんて、知らなかった。]
(+53) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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[乾パンを喉に流し込んだところで、 がちゃりと扉が開かれる。
数人の男たちが、 ネコ元帥に向けてひらりと手を振った**]
(+54) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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[ 彼女の言っている意味が理解できなかった。]
(+55) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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──どういうこと?
[ 理解ができなかったから尋ねたわ。 わたしにはまったく見当がつかなかった。 もしかするとわたしの知らないところで、 食糧を隠し持っていたのかと思ったくらい。
ご主人は少しばかり驚いた様子だった。 けれど、なんていうのかしらね。 理解ができていないという風ではなかった。
奥さんはしっかりとした口調で言ったわ。 まっすぐにわたしの目を見ていた。]
(+56) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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ねえ、わかるでしょう。 助けを求めにはいけない。 じゃあ待つしかないじゃない。 誰かが見つけてくれるのを、 ここで生きて、助けを待つしか
(+57) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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[ 揺らぐことのない強い目をしていたわ。 それが最善だと信じて疑わない声をしてた。
……犬、たくさん飼ってるじゃない どうせもうじき餌もなくなるわよね どうせ死んじゃうわ、それならいいでしょう
彼女ははっきりとそう言ったわ。 わたしは信じられない思いで立ち尽くしていた。
そのとき理解したのね。 ご主人は彼女が言ったことではなく、 今わたしにそれを告げたことに驚いてたのね。
けれど、それはとても受け入れられない提案だった。 そんなことを考える人がいるだなんて、 わたしには信じられないような惨い話に思えたわ。]
(+58) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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冗談でしょう?! ばかげたこと言わないで。 ほかに何か方法があるはずだわ。
……そうよ、 わたしのスマートフォン。 家の中でなくしてしまったの、 まだ充電が残っているかもしれない。
見つけたら、そう、 SNSを通じて助けを求めて──、
(+59) 2020/10/24(Sat) 22時半頃
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