25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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―B棟側渡り廊下― [服の代えを取りに戻る途中。 ふと、立ち止まる場所が在った。 窓から見詰める青。漂う鳥の色は今日も白。]
……死んで唯の胡蝶になったら、一緒に飛んでくれへん?
[生前鵠にかけた言葉。それによく似た言葉。 紡いだ場所は、初めて唇を合わせたその場所で。]
やけど、生きているうちは、わては花でもあるから。 鵠さんと一緒に、朧様の双花であろう思う。
[華月として、鵠が花であった証に。]
鵠……―――
[それでも2人になれば、胡蝶が強く。 情重ねた人の名を呼び、彼の人の代わりに鈴に唇を寄せた。 近くに人あらば、その様を見ることもあるかもしれない。]
(249) 2010/08/07(Sat) 21時頃
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懐刀 朧は、紙の蓮の花に触れ―――…鈴の音は、華月と共に消え聴こえない。
2010/08/07(Sat) 21時頃
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私の声が……聴こえるのなら 其れは生者としてはおかしな事
[白い鳥の視線はあちらへ。 答えが無くとも冬も花も気に留めず 現世留まる亡者を見る。 己の投げかけた言の葉は、 思うよりも随分広がったようだった。 主の傍にありながら、彼らの様子が手にとるように見える ここは、狭間]
黄泉が手折りた 花ひとつ うつつの月に 迷い染まる
(+69) 2010/08/07(Sat) 21時頃
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あちらの虎鉄と謂う花も ……同じ?
[呟きはあやふや 彼については、人食いの花は聞いて居らず]
(+70) 2010/08/07(Sat) 21時頃
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―庭―
[笛の音は舞台で鳴らすようには響かない。 ただ風と共に流れて。邦夜の周囲を回って。 昼の光の中では目立たない、光の欠片を残す]
…っ。
[眩暈と耳鳴り。笛を下ろして肩で大きく息をした]
(250) 2010/08/07(Sat) 21時頃
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[目覆う青年には何故衣擦れの音が?と思っても それが上着の置かれる音とはわからない]
……ないものは、ない、のだからしょうがあるまい
[耳に触れられるくすぐったさに、微か肩を震わせ ただ、問われたことには、返答に窮しつつ零す
薬箱は獣を狩る最中怪我することも考え 簡単な者が荷物の中にあると答えた]
……あの人が、ある、とわかった以上は
……花主、廃業………? 本郷?
[己の血の臭いがそのような効果を 本郷に与えるとは知らぬまま、 様子のおかしい本郷の言葉に、 声のするほうに首をかしげた]
(251) 2010/08/07(Sat) 21時頃
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懐刀 朧は、憂い色は何か思い耽るように、常と同じく窓縁に頬杖着いて外を仰ぐ。**
2010/08/07(Sat) 21時頃
懐刀 朧は、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 21時半頃
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[主に何もできなかった己は―――なんて、無様な生贄だと。 すまない、と幾度目か謂って。
ふいに、聞こえたのは蝶の声]
――――…飛ぶ
[俯いていた鵠が 少しだけ、顔を上げる。]
…飛びたい…な…
[鈴の音に、重なる。]
(+71) 2010/08/07(Sat) 21時半頃
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>>@37
明……そうか暑かったか。 じゃ、戻るぞ。
[そして、倒れ付した明を抱えようと手をかける。 それは、幻、そう思わないように、そう思わないように手を伸ばす。]
明…来い。
(252) 2010/08/07(Sat) 21時半頃
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手妻師 華月斎は、庭より聴こえ止んだ笛の音に、ふと気が付き様子をうかがう。
2010/08/07(Sat) 21時半頃
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……ん。
[いつの間にか転寝をしてしまっていたらしい。笛の音に目を覚ます。]
……夜光?
(253) 2010/08/07(Sat) 21時半頃
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まったく…都合が悪い事は忘れるなんて子供じみたことを。
[荷物の中、と聞けば断りを入れてから荷物を探る。 水でぬらした手拭いで軽く傷口を吹き、薬を塗り付け 其処に綿紗を当てて包帯で止めてテープで止める。 男が離れたのは、その一通りの作業を終えてからだった]
獅蓮を失って、五年経って。漸く欲しいと思えた。
でもそれがお前の答えなら私は───僕は、これ以上お前を望まない。 きっとこの先、今以上花として迎えたいと思う者もいないだろう。 だから。花主を辞める。
…だから、さよならだ。
[首を傾げるイアンの頭を一つ撫ぜて テーブルに置いたものを手にし、袖に腕を通せば今まで通り。 そして靴は扉へ向かおうと踵を返した]
(254) 2010/08/07(Sat) 21時半頃
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[伸ばされた手に、手を重ねるを躊躇う。 存在が揺らがぬようにと、願う。 この身を縛るが妄執であったとしても、 ――いま少しだけ、と]
……はい、お傍に。
[その手に引き寄せられて、現世に立つ。 うたがきこえる、狭間の歌を、振り切って]
すみません、大丈夫ですから。 主様こそ、お疲れでしょう? 暇なきことはわかりますが、少し休まれては――……
[笑みかけて、耳を掠めるそれに止まる。 鈴の音――眉根を寄せて曇る表情]
(@38) 2010/08/07(Sat) 21時半頃
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[漸く眸が常世と現世の狭間を映す。 ロビンの声が聞こえ]
…己たちの、こえが 聞こえる…?
[呟く。 そういえば、虎鉄は――最早あるはずのない場所で鵠の名を呼んだ]
どうして、…
(+72) 2010/08/07(Sat) 21時半頃
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[大人しく治療を受け、また新たな包帯が増える。 傷口に消毒液がしみた。]
……花は一人の主の元でしか咲かない
[それは例えほつれた心が惑わす幻聴でも。 青年があると思えばあるから。
優しく撫ぜる手に包帯の奥、紅を細めて]
そこまで、欲してくれたのは、嬉しかったよ ……今から、舞うところだった 結局本郷にはきちんと舞い姿を見せていなかった ………礼も兼ねて、最後に見ていってはくれぬか?
[離れる感触に青年も寝台から立ち上がって 靴の音にそう声をかけた]
(255) 2010/08/07(Sat) 21時半頃
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>>@38
ああ、そうだな。 休めればよいが……。
[手をとれて安心する。 そう、でも、わかってしまう。
この少年は、きっともう………。]
いや、休まぬ。 狼を探さねばならない。 でないとお前やセシルを危険な目にあわせてしまう。
明…お前は俺の傍にいろ。 頼りにしてるぞ。
[逝かぬように、 そう、今は一時でも逝かぬように、と思った。]
(256) 2010/08/07(Sat) 21時半頃
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簡単なことじゃないか。
[素っ気無い少年の硬質な声]
彼は…… 多分もう一人も 生者に非ず
……そう謂う事。
(+73) 2010/08/07(Sat) 21時半頃
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嗚呼、この声も届いてしまうかな。 ボクは少し喋りすぎだ。
(+74) 2010/08/07(Sat) 21時半頃
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―本邸・廊下―
[笛の音に、少し庭を伺うように見るも、そちらに向かうことはなく。 華月の脚は、本邸の廊下に差し掛かる。
と、視界に入るのは2つの影。]
[主の言葉を思い出す、刀を腰にでも巻き付けておけと。 刀を借りるとすれば、2つの影のうちの1人にだろう。
―――鵠を屠ったその人に。]
すまへん。 お取り込み中みたいやけど、ちいと宜しいやろか?
[間を計りながら話しかける。 ふと、明之進の影が薄い気がして、首を傾げた。]
(257) 2010/08/07(Sat) 21時半頃
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[―――触れたときの冷たい手。 思い出す。生けるものではあり得ない。]
…――――死んでいる、…
[そっけない声に対する答えは、殆ど吐息混じりで]
(+75) 2010/08/07(Sat) 22時頃
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始末屋 ズリエルは、手妻師 華月斎に顔をあげた。
2010/08/07(Sat) 22時頃
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―庭―
邦夜、様。 いただいたものは、同じだけを持ってお返し致します。
[執着するのは、今を逃せば次はないと感じるから。 きっと今感じ取ることが出来なかったら、自分は生きても花になれない。どころか虚ろに呑まれてしまう。 迷惑かもしれなくても止まれない]
ですから、今少しの間だけ。近くに。
[息の上がったまま、掠れ声でそこまで言って]
…いつから暑い中でお休みだったのですか。 お茶をお淹れしますから、中に入りませんか。
[深く息を吸って声を取り戻すとそう言った]
(258) 2010/08/07(Sat) 22時頃
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…花(お前)がそうだと思うなら、それでいい。
[手を引きもどし、ただそう伝えた。 舞をと、引きとめる言葉に一度足が止まる。 けれど、背を向けたまま男は伝えた]
いや、折角だが止めておく。 変な未練を覚えてしまえば、この部屋から出られなくなるし それに、花が主のものであるのなら、その舞は主の為だけに捧げるがよかろう
私が次にお前に会うときは───きっとお前が、真理を得た時だけだ。
[では、と告げて足音は遠ざかり、扉を開いた。 扇の音は一度も鳴らない。
ただ、扉が閉まる音だけがきっと、そこにあった]
(259) 2010/08/07(Sat) 22時頃
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門下生 一平太は、手妻師 華月斎には片手に笛持った背中なりが見えたかどうか。
2010/08/07(Sat) 22時頃
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[吐息混じる声 答える硬質な音に艶混じり]
迷い迷うて ゆく先は 秋の心 のみぞ知る
愁い帯びて 誰ぞ元へ 迷い込み
降るは いくよの 涙あめ
[節つけて、囁きうたう]
(+76) 2010/08/07(Sat) 22時頃
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呉服問屋 藤之助は、―――今だその場を動けず在る*
2010/08/07(Sat) 22時頃
懐刀 朧は、記者 イアン達センターの者が己が花に眼をつけることがなければいいと、そう思った。
2010/08/07(Sat) 22時頃
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―本邸・廊下―
[刷衛の視線があがったのを合図に、間を詰める。 歩く動作に、りぃん――と、鈴が鳴った。
狭間の鈴の音もあるのだろうか、ないのだろうか。 あるならば、夢と現の音が重なり聴こえる者もいるのかもしれない。]
刷衛様も明之進、調子わるいんでっか?
[漏れ聴いた言葉に、二人を心配する言葉をかける。 刷衛を見る眼も、主が彼を見た時と違い、常の色。
恨みをもっていないのか、それとも努めてか……―――。]
刷衛様に願いごとあったんやけど、 後にしたほうが宜しいやろか。
[向ける笑みは、穏やかに。]
(260) 2010/08/07(Sat) 22時頃
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……そうか………そうだな。 引き止めて、悪かった。 ……ありがとう………さようなら。
[本郷の言葉に、なればと。 既に心は彼岸にある者の笑顔で見送って
告げられた言葉の真意はわからなかった。 ただ、いつか触れるといったことを 守れなかったな…と、ぼんやり思う…が 主ある花としておいそれとは人に手を伸ばさない] [静かに閉じる戸の音を青年はただ静かに聴いた]
(261) 2010/08/07(Sat) 22時頃
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――そう謂えば 主さまを、引き裂きはしたものの 喰らって居らぬ。 私も、彼らも どれ程、腹が減って居るやら…… 私はもう 感じぬけれど
(+77) 2010/08/07(Sat) 22時頃
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[聞こえる、黄泉のこえ、 重ねた手に感じる血の気配]
……私は、危険な目になど。
[俯くそれは、言葉端を飲み込む。 伏せた眼差しに昏い気配は一度過ぎる。 黄泉よりの声は言う、其は生きては非ず、と ――ひとつ続いた名は生きてる]
―――……、
[見上げた眸は一度歪んで、――りん、と鳴る鈴の音。 それが現世のものだと気づけば遅れてそちらを振り返る]
(@39) 2010/08/07(Sat) 22時頃
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……大丈夫か?息が上がってるが……
[お返しします、の言葉にはゆるく首を傾げて。]
……前にも言ったように、………俺の側は危ないよ? ……それでも……側に居たい?
[じっと黒檀の瞳を見つめ。]
……そうだね。暑い。お茶、淹れてくれる?
(262) 2010/08/07(Sat) 22時頃
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― →大広間 ― [暫くし白の着物に紺の袴、黒塗りの鞘 首と目と耳、3箇所の包帯の姿で 自分の部屋を後にする
もう、白布の裏にチャールズの幻影は描かない。 彼にとってチャールズは存在するものであり 描く幻影などではなく、それが現実だから。]
……久方ぶりに御見せする舞は 何に致しましょうか?
[既に此岸にない心はチャールズに笑いかけて それは、それは幸せそうに笑って。 大広間へと舞うために向かった]
(263) 2010/08/07(Sat) 22時頃
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−A棟廊下→B棟・朧の部屋前−
……。
[扉の閉まる音が背中にある。 しばしその場所に立ちつくすと緩く頭を横に振ってから歩きだす。 今はあの美しい色切子の廊下を通る気分にはなれなかったので 本邸の中を軽く迂回してから己たちの居住のある棟へと向かう。 侍従に位置を聞いてから、その扉を軽く叩いた]
居るか。
[それは問いかけというには簡素で、名も名乗らない短い声]
(264) 2010/08/07(Sat) 22時頃
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[常に似たその様子に何を思うか、と。 変わらぬ笑みを、少しだけ怖くも感じる。 ―――それは己の身に、ではなくて]
華月殿……
いえ、私は大丈夫ですから。 ご用件がおありでしたら、どうぞお構いなく。
[小さく頭を下げて、一歩控える。 背後に隠れて、主が衣が裾をそっと握って]
(@40) 2010/08/07(Sat) 22時頃
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ああ、構わぬ。
[鈴の音が鳴った気がした。 そして、目の前にいるのは、散らせた双花の片割れ。]
構わぬよ。
[息を飲み込み、そう、華月に答えた。]
(265) 2010/08/07(Sat) 22時半頃
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―庭―
曲が。呼気全てを必要とするものなので。
[見つめられ、まっすぐに見つめ返す]
はい。どんなに危なくても。 たとえこの身がどうなろうとも。それでも。
[赦されるならと]
承りました。 どちらに運びましょう。
(266) 2010/08/07(Sat) 22時半頃
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