137 海の家 『nave Di mare』
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『ヘクターおにいちゃんへ』
大切な人が、できました。
アタシはアタシなりに頑張っています。
貴方もどうか、お元気で。
Tabitha=Estate
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俺、好きっすよ。 ご飯たくさん、美味しそうに食べる女性。 その方が、早く治ると思うし。
[食欲があることを恥だと思っているのか、伏せられた眼を下から覗きこむようにして微笑んだ。]
ミルク、了解っす。 焼けるまで、ちょっと待ってて。
[そういって、部屋をでようとして思い出す。]
あ、そーだ。 これ、グローリアさんの? 俺、間違えて持ってっちゃってて。
[ポケットからライターを取り出し、たずねかけた。]
(67) rinco 2013/08/23(Fri) 23時頃
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[そっと本の表紙を閉じて、見上げるの。 離れてしまったトレイルくんの顔を。
今度は自由になった腕を、アタシが背中へ回す番―――…**]
(68) anbito 2013/08/23(Fri) 23時頃
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美味しそうかどうかは……。 いや、褒めてくれているのだよな、ありがとう。 ……う?
[覗き込まれて、伏せた目を泳がせる。 待ってて、と言われれば頷いて、差し出されたライターに]
あ、私のだ。それもありがとう。 良かった。 [細長い銀製のライターを見て、そう返す。 それなりに愛着のある品だった。
それから、ふ、と笑みを見せて]
サミュエル君には、沢山世話になってしまったな。 感謝してるよ。
(69) rucoco 2013/08/23(Fri) 23時半頃
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[潮風に吹かれるタオルの合間にはさまれたスマートフォンは、数件のメールを受信していた。
男がそのメールに目を通したのは送信された時間の少し後、今更返事をしても遅いかも知れぬと、しかし指は自然と動き]
『TO:サミュエルくん
Title:無題
女の子に限らず沢山あるよ。
緊張してマイクに触れないときも。
でも、触れられないってことは
それだけ大事にしたい、ってことじゃないかな?』
……サミュエルくんなら、大丈夫。
[文字にはせず、ただ呟くのは願いか祈りか。
返信の文面は、あっという間に電子の海へと飲み込まれた**]
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― 海 ―
へぇ……、案外硬派なのねぇ。
[大変失礼なことだが、 そして人のことは言えないのだけど、 人懐こさ故に軽いのではと思い込みを少々。
「一緒に潜りませんか」という誘いには>>4:26]
潜れるよう努力するわ。 でも他に一緒に潜りたい子、いるんじゃない?
そっちも是非、誘ってあげるといいわ。
[んふふと意味深な笑みを添えて。]
(70) ぶんちゃん 2013/08/24(Sat) 00時頃
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浅瀬なら、か。 ……どうせなら少し深さのあるところに潜ってみたいの。
難しいかしら……。
[確かに、トレイルの言う通り>>4:27 浅瀬ならシュノーケルで呼吸をしながら海の中を覗けるだろう。 けれど、「潜った人にしか分からない光景」というのに、 ひどく心惹かれて。
初心者には難しいかと、 半ば諦めかけた時にトレイルの助言>>4:28を聴けば、]
ありがとう。少し休んだら、もうちょっと粘ってみるわ。 んふふ、 ……きっと明日にはあたしもマーメイドになっているんだから!!
[ばちん、というウィンクに萎みそうだった希望が 少し膨らみを戻して、同じくウィンクを返した。]
(71) ぶんちゃん 2013/08/24(Sat) 00時頃
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― いつか ― [結局あの夏に答えはでなくて。 オスカーと彼女にどんなやりとりがあったのか、二人はパートナーであることを選んで。 夢を取り戻した彼。
私は結局振り出しに戻っちゃった。 何になってもかまわない自分。 何になりたいかすら分からない自分。]
(72) garnet 2013/08/24(Sat) 00時頃
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[大きなお腹をさすりながら傍らの夫を見上げる。]
ねぇ、私たちもこの子に教師になって欲しい、なんて思うのかしら。
[どう思う?と尋ねる言葉はやわらかく。
両親も、祖父母も、それに叔父も教師だなんて、少しは興味をもってくれるかしら? それとも、あなたは別の夢を見る?]
・・・―――。
[なんと返ってきたかしら。 にっこり微笑んで歌を紡ぐの。
あの夏は見えぬ明日に不安を抱えて。 今は、幸せな明日を信じて・・・――明日を恋うる。]
(73) garnet 2013/08/24(Sat) 00時頃
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[あの夏を終えて、何度も何度も考えた。 グロリアと交わした真夜中の言葉たち>>3:+8 ほんとうに教師に向いてるだろうかって>>2:52
悩んで、悩んで、考えて、 そんな日々を越えて、選んだ今日が愛しい・・・――**]
(74) garnet 2013/08/24(Sat) 00時頃
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[砂浜に戻ったトレイルが何か言っているようだが>>4:28、 少し距離があって聞き取れないまま、また潜る練習を再開した。
幾度か潜水を試みているうち、 少しずつだが、 海面から離れた場所まで潜れるようになっていたか。
大分浜辺から離れてしまっているのに、 波が穏やかなせいか危機感は薄い、
……というか持っていなかった。
ぷかぷかと仰向けに休憩していると、 これまでに無かった音が、こぽこぽの合間に鼓膜を揺らした。
テレビ番組で観た、 ジャングルの中のサルがこんなような鳴き声をしていたような。
けれど、海中にサルがいる訳もない。]
(75) ぶんちゃん 2013/08/24(Sat) 00時頃
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な、に……?
[寝かせていた身体を起こし、自分の足の下を覗き込む。 すると……]
―――っ!? ……ぁ、
[黒く大きな影が、ゆっくりとたゆたっていた。]
(――怖い。)
[そう思った。
けれど、同時に直感した。
「これだ」と。]
(76) ぶんちゃん 2013/08/24(Sat) 00時頃
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[興奮して速くなる鼓動。
上がる息。
落ち着け、落ち着けと胸に手をあて、深呼吸を繰り返す。 そうして、今一度大きく息を肺に取り込んだなら、]
―――トプ、……ン。
[その影を目指して、 今までで一番強く、海水を蹴った。]
(77) ぶんちゃん 2013/08/24(Sat) 00時頃
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――はぁ、………っあ、………はぁ……!!!
[浜辺へ戻った頃に、 トレイルとタバサの姿はあっただろうか。
どちらにせよ、視界には入らなくて。
荒い呼吸のまま、一目散にカゴバッグの元へと駆け寄り、 中からスケッチブックと鉛筆を取り出した。
しばらく手を動かしていたけれど、]
………だめ、全然。こんなじゃ……。
[そう零すと一度海の家に戻り、 花火の時に使ったバケツを手にして再び砂浜へと戻った。]
(78) ぶんちゃん 2013/08/24(Sat) 00時頃
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[ざっざっと砂の山を作り、海水をかけては固めて。 誰かに声を掛けられようと、一心不乱に身体を動かす。
あの感動が、……薄れてしまわないうちに。
大きな砂の山が出来たなら、 今度は少しずつ削ってゆく。
爪の間や、新調したばかりの黒の水着の中にも、 砂が入り込んでしまうが、そんなことはどうでもいい。
日が暮れて辺りが暗くなり、 手元が見えなくなって初めて、手を止めた。]
(79) ぶんちゃん 2013/08/24(Sat) 00時頃
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全っ然ダメね……。でも――。
[暗闇の中の大きな砂鯨を、 言葉とは裏腹に、すっきりとした表情で見下ろしていた。
「もう大丈夫だ」と従姉妹にメールをしたのは、 和室の布団の上でのこと。
送信完了画面のままのスマフォを片手に、 心地よい眠りに落ちた。
窓から入り込んでくる潮風。 耳に染み込んでくる風鈴の音。
そして豚の置物から香ってくる、 蚊取り線香の香りに包まれながら。**]
(80) ぶんちゃん 2013/08/24(Sat) 00時頃
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……いや、俺、は
[笑った顔が、可愛い。 そんな他愛のないことも簡単に言えていたはずなのに、なんだか喉につかえてでてこない。
『お世話になってしまった』
と過去形の言葉に、胸の奥が苦しくなる。なぜだ。 不意にポケットから響く、着信音。>>=2]
あ、さーせん、携帯みていーっすか?
[表示されていた送り主を見て思わず、そんな断りをいれ、画面を確認して。 ぎゅっと、まだ持っていたライターを握りしめる。]
(81) rinco 2013/08/24(Sat) 00時半頃
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[そうして、グローリアの方をまっすぐ見つめ。]
えーと。こんなこと言うの、初めてなんだけど。 ……俺、あなたのこと大事にしたいみたい。
このライター、次に会うときに返しても、いい? ここで、じゃなくて。
[ライターを片手に、首を傾いだ。 なんだか恥ずかしくて目線をそらしたくなる衝動に駆られるけどそのままに。心臓が口からでそうなほどばくばくいってる。]
(82) rinco 2013/08/24(Sat) 00時半頃
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携帯は、勿論好きに見るといいよ。
[サミュエルの律儀な断りに端的に答え、 差し出した手に一向にライターが乗らない様子に首を傾げる。
それから、続く言葉を聞いて]
それは……まだこの先も、 君の世話になるということか?
次に会うときまで? なら……返さなくていいよ。無くしてしまって……。
そしたら、次、とかその次とかではなくて ずっと…………大事にされる?
[最後はか細い声。 顔は恐らく真っ赤になって、それでもサミュエルの目を見返そうとぎこちなく、顔をあげた]
(83) rucoco 2013/08/24(Sat) 01時頃
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[途切れ途切れに紡がれていく言葉に、胸がどんどん痛くなり、不安が募っていく。 『無くしてしまって』と言われた時には、情けなく眉を下げ、ついには視線を逸らそうとして、固まった。]
え、 …っと、
[一瞬、意味が理解できなくて。 けれど確かに届いた小さな声と、こちらに向けあげられた顔が赤く染まっているのを見て、ようやく理解して。 やっぱり情けなく眉を下げたまま、グローリアと目があえば、笑った。]
うん。 ……大事に、させて。
[手の中にあったライターは、大事なもののようにそっとポケットに戻す。 鈍く光を反射するそれを、無くしたりはしないだろうけど。 彼女の風邪が早く、治るといい。 バカンスはまだ、始まったばかりなのだから。**]
(84) rinco 2013/08/24(Sat) 01時頃
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[言葉を紡ぐうちに サミュエルが不安そうな顔になるのを見て取れば、 同じように不安が蠢いて。
ようやく最後まで言い終えて、目を合わせたあとの笑顔と言葉に思わず泣きそうな顔になる]
うん……うん……! 大事にされる!! わ、私も大事にしよう、約束する!
[精一杯答えると、今度こそ出て行くであろうサミュエルの手を一度だけぎゅっと握り、]
クッキー早く食べたい。 から、早く戻ってくるように。
[と、放った]*
(85) rucoco 2013/08/24(Sat) 01時半頃
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[思えば、一度も恋愛要素のある小説など書いたことがなく]
(ああ、前に一度、あの歌手、アイドルの) (あの子に書いた詩――ラブソング。ほんとに酷い有様で) (自分には向いてないとつくづく思ったんだった)
(でも、ひょっとして) (そうだね、少しばかり先の話) (切ない男女の気持ちの篭ったお話が書けるかもしれない――)
[青い空の部屋で、雲を象った白が晴れていくような そんな感覚が胸のうちに湧き上がるのを感じ、
もう少し心の甘みを寝かせて、深く熟成させてみよう、と思ったのだ]**
(86) rucoco 2013/08/24(Sat) 01時半頃
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[泣きそうな顔に、なんだかもう自分までつられてしまって。 その前から大分情けない表情はしていたのだけど、伸ばしたくなる震える腕を抑え、鏡のように力いっぱい頷いて。]
うん、俺も。 約束する。
[そうして部屋を出ようとすれば、ぎゅっと引かれ。 言われた言葉に、今度はこっちが真っ赤になる。]
うん。 うん、すぐ戻ってくる。
[勢いよく頷いて、部屋を出る。握られた手が熱い。]
(87) rinco 2013/08/24(Sat) 01時半頃
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[ポケットからスマフォを取り出し、返事をしようと打ちこんだ文字は、急いでいるのでとても簡素なもの。]
『TO:トレイルさん
Title:無題
俺、できました。
彼女、よりもむしろ、
大事にしたい人。』
――…… ありがとうございます。
トレイルさん。
[スマフォをポケットに滑り込ませながら小さくつぶやいて、ようようと歩き出す。
さあ、早く戻ろう。
そんなことを思いつつ、キッチンの、甘い香りに包まれた。**]
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[サミュエルが戻ってきたら、 ホリーの焼いたクッキーを食べて。
ひょっとしたら、『風邪はうつして治すもの』を実践したかもしれない]**
(88) rucoco 2013/08/24(Sat) 02時頃
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いかがでしたでしょう?
皆様、このリゾート地で夏の思い出を作ることが出来たでしょうか?
大切なものを見つけたり。
道を探し続けてみたり。
がむしゃらに書きなぐってみたり。
弱い部分を見せ合ったり。
自分も知らなかった顔を見つけたり。
想いを告げることが出来たり。
きっと、心の中にキラキラした何かが残った事でしょう。
(#3) 2013/08/24(Sat) 02時頃
もうこの夏は過ぎてしまうけれど。
過ぎてしまう時間は取り戻せないけれど。
記憶は、想いは、この海の家は。
きっとこの場所でずっと、貴方がまた訪れてくれる事を待っています。
(#4) 2013/08/24(Sat) 02時頃
ようこそ、海の家 『nave Di mare』 へ。
ここは都会の喧騒からはなれた小島。
知る人ぞ知る、リゾート地です。
この 『nave Di mare』 でひと夏の思い出を作りませんか?
(#5) 2013/08/24(Sat) 02時頃
薄いチラシがひとつ、風に運ばれていく姿は。
まるで雲のようでもあり、花火のようでもあり。
鳥のようでもありました―――……
(#6) 2013/08/24(Sat) 02時頃
Thank you...
*END*
(#7) 2013/08/24(Sat) 02時頃
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