204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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ーーーーーー………………寒い
[深く 光の届かない海に 沈んだ
彼の意識は 名を呼ばれると
ぽつり と 地上に届く前に
水に溶けてしまう泡のような
小さな 意識を 零す]
……いま、ホレーショーに伝えたから。
だから……
フィリップ、……
[衝動を堪えるの、無理をさせるのと同じだから。
無理しないでとも言えず。
ただただ、案じる気持ちだけを向けて]
ーーーーー………………うん
[ぽつ と また 淡い意識が 一つ
水面 暖かい陽射しが あるのを知っている
けれど 手に 脚に 解けない 鎖
沈み切った 重い体 もう 浮上するために
足掻く力もなく ただ 届くもだけ
辛うじて 窒息死をまぬがれ]
――――
[かろうじて、届く。
その伝わる思いに、ただただ、案じている]
……すべて、終わったら。
きっと、……
[衝動をおさえることができたら。
できなくても――大事な人たちが残っているのなら。
きっと、やり直せる、はずで]
[終わったらーーー全て終わったら
最期はーーーーー嗚呼]
食べたく…………ない……
[全て終わったら…………きっと
食べないでいい きっと もう 誰も食べない
だれも 傷つけない ただ きっと寒いだけ]
寒いーーーーやだ 食べたくない
いやだ…………いやだ…………
[けれど 水面は遠くて もう遠くて
届かない ただ 嘆きだけが
ぽつり こぼれるままに]
[伝わる嘆きに、
胸が痛い]
……フィリップ。
[ただ、名前を呼んで。
衝動にのまれたのがひどくならないようにと、願う]
[口元 微か シメオンの 血の味]
いやだ…………助けて…………やだ
やだよ……やだ
[ただ それは 案じる 微かな それを
悲しませるに過ぎない けれど
抑えきれず 浮上出来ない意識は
耐えきれず ただ ただ ほつれる]
[伝わる思いが、痛い。
悲しい]
フィリップ。
――……いま、ホレーショーがそっち、いくから。
だから、大丈夫……
[ただ、大丈夫だと信じたくて。
言葉を重ねた]
………………うそ 怖い
いない やだ…………助けて
怖い 怖いよ…………
[子供のように 泣きじゃくる
悲しませる 困らせる
それらに気を配る 余裕はなくて]
ーーーーーーっ
|
[逃げてほしい、と思うたび牙が疼いて。 その度に大事だと思って。
ぐるぐると周り始めた思考から逃げるように、プリシラを抱きしめる腕に力を込めた。
大丈夫だと告げる声に>>380胸を撫でおろしながら。]
出来れば、もう他の連中と顔を合わせるのは避けたいが――。 飯や風呂ともなれば、そうも言ってられないか。 極力、俺が一緒にいる。そうでない場合は…
[解決策を探して、目に留まったのは旅道具。躊躇は一瞬のことだった。
小ぶりのナイフをプリシラに手渡す。]
最悪自分の身だけでも、守れ。
[獣として目覚めることのないように祈った男は。 その矛盾に気がつかない。あるいは気がついても目を瞑ったことだろう。]
(424) 2014/11/19(Wed) 00時半頃
|
……フィリップ
―――……きっと、助けてくれる、から。
[そう願う。
なにもできない無力さが、痛い]
[口の中 甘い香り 蕩けるような
薄い肉付きの その ちぎった 若々しい 味わい]
あ あああ やぁ…………!!
[それは 人の味
知っている味 衝動に負けるままに
軋む 心が音を立てて軋む
海の底 足りない 窒息するままに 悲鳴が上がる]
―――っ
[伝わるものに、息をのむ。
ああ、痛い。
壊れる。
こわれて、しまう]
……フィリップ。
ぁあ’’ や あぁああ ぅくっ
[吐き出してしまいたい
なのに 美味しいと感じる味覚]
ひぁっ あ…………やだっ
助けて………………や ぁ
[悍ましい 浅ましい 狂ってる
ぎしぎしと 締め上がって行く
一分の 欠片も 残さぬよう
心を締め上げる]
あーー…………あっ
[痛みに 微か ただ握り締めるも
ほつれて行くのを 止める手立てがなく]
[痛くて、苦しくて。
辛い、それが伝わってくる。
でも、どこかで。
血を、味わってみたいと思う]
……フィリップ。
――
[ただ呼びかけることしかできない。
きっと、いま、いけば。
血の匂いに酔ってしまうだけになる]
|
[慈しむたびに獣が目覚めて、血の渇きを突きつけてくる。 逃げるようにしても、それは目を逸らすことを許してはくれない。
牙を突き立てたい欲を、庇護欲に変えて抱きしめる。]
こんな苦しい思いは、お前は知らなくていい。
[間違った食欲を紛らわせる別の手段も知っているけれど。 それをプリシラ相手に言うつもりにはなれずに。ただ、苦く笑った。]
(449) 2014/11/19(Wed) 01時頃
|
[視覚情報は シメオンの腹わたを伝える
その頃には 心は次第に沈黙していく
悲鳴をあげる体力も
失った心が ころりと 転がる]
ーーーたすけて………………らるふ……
[彼の思う心を知らぬまま ぽつりと]
|
一緒にいる、が…万が一のためだ。
[顔を摺り寄せたプリシラを>>450安心させるように言い聞かせる。
戒めと同じく、血の気配に溺れた同族の恐ろしさは語り継がれている。
大丈夫だと思っていた矢先に強張る表情のプリシラと、箍の外れた狼二匹を見つけた衝撃は、いまだ醒めきってはいない。]
言ったろ?お前さんくらいは俺が守るって。
[一緒にいる。 守る。 そのためならば、血に酔った同族を手にかけることも厭わない。]
(462) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
|
|
[守る――何から。 自分以外の獣から。
だって、―――]
(466) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[助けを求められて、はっと顔をあげる。
伝わる、はらわたの、その感覚。
自らの血の匂いが、腹を割いたものであるかのような錯覚
くらり、めまいがする]
……うん……
――――いま、いくよ……
[いったところで助けになるかわからない、けれど。
それでも――]
|
[自分以外の誰かの牙が、この子に突き立てられるなど、
許せるはずもない。]
(468) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
|
|
[何かが歪んだままの思いは牙の疼きとともに肥大して、形づくられていく。]
他の奴に、――特に仔狼の方には気を抜くな。 本能を制御できない獣は、厄介だ。
[言い聞かせて、頷くさまを見るのは。 見えない歯形を残すのにも似ている。 動き一つで己の物だと主張して、他者へ踏み込むな、と縄張りを示す。]
(474) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
|
[下についたときにはきっとすべてが終わった後。
ただ、血に染まったフィリップを見て、呼びかける]
フィリップ――
[助けは、間に合わなかっただろうか**]
[結局 誰も来なかった
シメオンを食べる間 誰も]
ーーーーーーーー…………っ
[声を押し殺すように 心が泣いた]
………………ラルフ
[血ぬれのまま 呟く その心は 静かだった]
|
[湯浴みは男がついていればいい。 食事は部屋に運べばいい。 後は、後は、――。
どうやってこの雪山を抜け出すまでの間をやり過ごすか。 目まぐるしく考える。
プリシラから寄せられる距離と、男が近づく距離が狭まっている。その一番の危うさには目を逸らして。**]
(480) 2014/11/19(Wed) 02時頃
|
(………良かったね。)
[と。耳の良いトレイルは、耳を塞いでいたから。
唇は音を形取る。**]
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