18 'Cause I miss you. 〜未来からの贈り物〜
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――…何が、楽しいのよ。
[少年の後姿をぼぅっと眺めていたけれど。
笑う気配にそっと視線を動かす。
“たのしい”“たのしくない”
何度かここで聞いたセリフ。
ふと、なんとなはしに自分はどうだろうと、考えてみる。]
………たのしいだなんて、思うはず、ないじゃない。
[楽しくは、ない。
あるのは、恐怖。
何への?
死?
それとも――
――自分への?]
水商売 タバサは、メモを貼った。
2010/07/03(Sat) 01時半頃
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[ 立ち去ろうとしていたのか、揺れた少年の顔を凝視する。]
食べるの? 私を食べたいの?
[ 琥珀色が瞬く。頭痛を堪えるように小さく首を振って、]
貴方が人狼…?
[ 朧げに、千切れて飛ぶ記憶の尾を掴もうと、眉根を寄せた。]
(351) 2010/07/03(Sat) 01時半頃
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[ 同胞の囁きに、唇を歪めた。]
……楽しくない? 楽しくない、ねえ?
[ くつくつと笑い、告げる。]
その割には随分と悩んでるみたいじゃねえか。
初めての時はあんなにきっぱり嫌だと言ってた口がよぉ?
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[ 嘘だと、直感が告げる。何故なのかはわからなかった。思い出そうと足掻きながら片腕を伸ばした。少年の襟元を握り、力一杯絞る。 記憶を辿った。この場所で、二度、逢っている。一度は、魔法にかかる前――]
貴方ね……
[ そしてもう一度。ここで、ふいに伸びて来た手、してやったりという得意げな顔を、]
貴方……
[ 思い出した。]
この私に、触って――タダで済むと思ったら大間違いなのよっ!!!!
[ 掴んだ胸ぐらを思い切り前後に揺さぶる。]
(355) 2010/07/03(Sat) 01時半頃
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楽しくない、よ。当たり前、じゃない、こんな、こんなの。
[自分を抱くように腕をまわして身体の震えを抑えようと。]
なっ、悩んでなんかないっだいたいなにを悩むっていうのよっ
[ 怖がるように体を抱く同胞を見た。]
へえ、その割に歯切れが悪いじゃねえか。
自分自身をどう騙そうかってツラだぜ? それは。
[ 首をすくめてみせた。]
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[ 存分に揺さぶると、はぁ、と息を吐いた。 魔法とともに消える記憶、取り戻したと思えば薄れかけて、琥珀を瞬かせる。]
対価、払ってもらうわよ。 人狼でもなんでも、触り逃げなんて許さない。 行く前に置いてきなさい。
[ 襟を絞る手を離すと、その手の平を上に向けて少年に差し出した。]
(359) 2010/07/03(Sat) 02時頃
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何でもいいわ。
どうせ今日処刑されるんなら、持っててもしょうがないでしょ。 ほら…金歯でもボタンでもパンツでも、何でもいいわよ。
[ 何故少年が泣いているのか、わからないという自分の声を黙らせて。手は催促するように上下に揺れた。]
(364) 2010/07/03(Sat) 02時頃
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……騙そうだなんて、思ってない。
[首をすくめる姿から視線を外す。]
それに、自分なんて、そうそう騙せるような、相手でもない、でしょ。
[歯切れが悪いこと、自分でもわかっていたけれど。
それでも、“声”だけははっきりと。]
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[ ふいに現れた果実が、手の平に触れて重みを伝えた。]
…これ……じゃ、ちょっと…多過ぎるわね。
[ 不機嫌な無表情で、手の中のものを見つめる。 そっと握り込むと、その腕を少年の背後へ。]
お釣り、サービスしてあげる。 …特別よ。対価が良かったから。
[ 背に回した両手で引き寄せて、小柄な少年を32秒の間、抱きしめた。]
貴方。 名前、なんていうの?
[ 体を離すと、首を傾けた。]
(369) 2010/07/03(Sat) 02時頃
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他人を騙すよりはよっぽど楽だと思うがな?
その証拠に……。
[ 盗み見るような視線をアイリスに向けた。
その空気だけで、何を伝えたかったのか知れるだろう。]
……な? 考えないようにしてて、そして忘れてただろ?
[ 意地悪く哂う。]
水商売 タバサは、メモを貼った。
2010/07/03(Sat) 02時半頃
………っ。
[ドナルドの視線を無意識的に追えば、アイリスに辿り着いて。
意地悪げな哂いに、再び唇を噛む]
水商売 タバサは、若者 テッドの答えを待っている。
2010/07/03(Sat) 02時半頃
[ 視線の先に気づいたらしい。]
言ったぜ? 俺はアイツを喰いたいってなぁ?
[ 視線は獲物の首筋を捉えたまま。]
なんで。そんな、いや、だ。
[ドナルドの視線の先、アイリスを見つめて。
俯いて。
弱々しく、“声”にする。]
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…ふぅん。 忘れないうちは、覚えてることにするわ。
[ 冗談のような言葉。それはとりもなおさず、彼の名を記憶に留めてはおけないということ。]
―――テッド。
[ 確かめるように、音律を喉に刻むように、一度、少年の名を呼んだ。 ドアの開く音に振り向けば、ガストンとヨーランダの姿が見えただろう。]
(378) 2010/07/03(Sat) 02時半頃
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[ 弱々しい、吹けば飛ぶような細い声に顔をしかめた。]
みっともねえ声出してんじゃねえよ。
言っただろう? もう忘れたかこの馬鹿野郎。
[ 喰いたい奴が居るなら優先してやる、そう言ったのを思い出して、暗い笑みを灯す。]
…食べたくなんて、ない。
[同じように思い出して、す、と視線をそらす。]
そんな、食べなくても、いいじゃない。大人しく、してれば。
[ 大人しくしていればいい。その言葉にわずかに首を振った。]
今更無理だな。
俺も、お前も、人間どもも、今更止めることなんざ考えられねえ。
例え俺達が食わなくても、奴らは俺達を殺すまで誰彼構わず殺し続けるさ――俺達を殺すまでは、な?
[ 鼻を鳴らす。
過去を思い出し、一瞬だけ面白くない顔をした。]
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ヘクターに? …なんで私が。
[ 首を傾げ。耳元で囁かれた言葉には、訝し気な表情のまま唇を尖らせた。]
そんなことがあったら、正規料金を頂くから覚悟なさい。
…だから、何でヘクター…
[ 退治される人狼は貴方じゃないのかしら、とは言わないまま、こちらへ歩み寄ろうとする雰囲気のヨーランダへ、視線を流して体を引いた。]
(387) 2010/07/03(Sat) 03時頃
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[届いた“声”にちらりとヤニクからドナルドへ視線を動かす。
一瞬見えた表情に、少し違和感を感じたりもしたけれど。]
……殺すまで。
[言葉を、反芻する。
殺し合い。
抵抗しなければ、ヤラレル?
ふるり、浮かんだ考えに、身を震わす]
[ 視線を感じ取り、天井を眺めた。]
ああ、殺すまで、だ。
俺とお前が抵抗しなくたって、奴らは危機として殺しに来るぜ?
なんつったって……。
[ 怒りを押し殺すように、呟く。]
俺達はな、奴らにとっちゃ殺すべき敵だ。
その辺に転がってる本を見てみろ、確実にそう書いてある。
で、だ。
誰も、その事を疑問に思う奴は居ねえ。
お前の大事な大事なアイリスだってそう信じこんでるだろうさ。
アイリスは、アイリスは…
[違う――そう、言いたかったけれど。
そう言えるだけの、自信が、今の自分にはなかった。]
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[ ガストンが歩いて行き、テッドもヨーランダの手を引いて森へ。 追うでもなく見送ると、手の中の林檎を撫ぜた。]
…で、何、しに来たんだったかしら。
[ 首を傾けて暫し。扉を閉めて集会所の中に入った。]
…そうだ、あの知らない子、人狼を名乗った子と――
[ 交わした会話も既に夢のように朧げで、違和感に眉を顰め。 キッチンに入ると、林檎を調理台の上に置いた。]
…ここのオーブンで、焼けるかしら。
[ 独り言ちながら、出しっ放しの材料で林檎のタルトを*作り始めた。*]
(395) 2010/07/03(Sat) 03時頃
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水商売 タバサは、メモを貼った。
2010/07/03(Sat) 03時頃
アイリスは……何だって?
[ 続けられるものなら続けてみればいい。
覚めた目で続きを待つ。]
ア、イリス、は……ち、が…
[目線から逃れるように、瞳を固く閉じて。腕にぎゅ、と。力がはいる。]
「違う」……と思いたいだけなんだろう?
自分を騙して安心したいだけだぜ、それは。
[ 唯一縋るものを砕くように呟く。]
………。
[アイリスを見送って、ヤニクに言葉を返して。
ちらり、ドナルドを見る。
それは、本当かもしれない。
でも、本当にしたくなかったから。
何も、言わなかった。
何も、言えなかった。]
[ 黙りこくる同胞に、溜息をつく。]
まあ、生きてりゃ、その内嫌でも思い知るさ。嫌でも、な。
[ アイリスが出て行くのを目で追う。
結局は、止めなかった。
もはや同族だと、心中でほくそ笑む。]
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