247 満天星躑躅の宵闇祭り
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[>>66力を適切に制御する事は難しい。出力を上げるよりも、下げる方がより困難だ。 先程の立ち回りは絞り過ぎた結果、あの結果だったのだが。 けれど、先輩や父ならむざむざ逃がすようなミスはなかったと思えばやはり口惜しい。
彼が応じるのを聞きながら、彼の家はどんな家なのだろう、と考えていた。 人形が100体入っていても問題ない屋敷となると立派なのだろう。]
…アキの家はどの辺りにあるんだ? いや、もしかしたらあたしの時代にも残っているんじゃないかと思って。
[そう、問うてみたのは。 この場所を後にすれば会えなくなるなら、その名残を見に行くのもきっと悪くないだろうと思ったから。]
(68) 2016/05/23(Mon) 02時半頃
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[>>67見守られているのは少し恥ずかしいが、食べ終えれば手を合わせてご馳走様、と告げた。 武家のような雰囲気、と言われれば、口の端を上げて]
あぁ、よく言われる。 母方が徒士だったらしいが、力を宿す者が生まれるようになって以降は退魔師の仕事をするようになったと聞いている。 今ではもうすっかり退魔師の家系だが、あたしが歴史や時代劇――過去の時代の人が活躍する話が好きだからな。 自然とこうなっていた。
[未来には縮緬問屋のご隠居や旗本に扮した将軍家の人々が活躍する話がある、と添えようか。
性質的にも合っていたのだろう。 今の性格に不自由はあまり感じていないので、恐らくこのままだとも思う。]**
(69) 2016/05/23(Mon) 02時半頃
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[>>70考えた後に、紡がれた秋の家の場所。 それはやはり過去の区分ではあったが、少女には現代の県名もすぐに分かり。]
あぁ、それなら分かるかもしれない。 戻った後に探してみるとしよう。
[そう言うと、教えてくれた礼を添えた。]
(108) 2016/05/23(Mon) 23時頃
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随分昔の事だし、由緒正しい、というわけじゃないぞ。
[>>71先祖が何を思って退魔師へと職を変えたのかは分からない。 血を脈々と伝えていく中で、星に乗っ取られ、堕ちた者はいるのだろうか。 帰ったら父に聞いてみようかと思いながら。]
ん、それは…。 ごっこ遊びの影響かもしれないな。 子供はよくやるだろう、そういうの。 あたしは男の子達と一緒に外を駆け回っていたから。
[ごっこ遊びの延長でちゃんばらをしていたとか。 当然、お付きの者よりも、自ら戦う方を好んでいたのだが。 負けん気が強かったから、それで同い年の幼馴染を泣かしたのも今となっては懐かしい思い出だ。
まぁ、その分同い年の少女の好むお洒落や人形遊びの話には全く乗れなかったのだが。]
(109) 2016/05/23(Mon) 23時頃
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[>>77誠と同時、少女は接近する木霊に気付く。 此方を窺う木霊は、やがてアキ――の持っている鈴カステラに向かって飛んできた。]
…!
[少女は誠の邪魔をせぬよう見守りつつ、木刀を中段に構える。 >>80鋭い音。 木霊に一撃を当てる事に成功した木彫りの人形は、しっかりと木霊を捕えた。]
おぉ、お手柄だな。誠。
[少女は純粋に賞賛の言葉を紡ぐ。 誠はそのまま少女の元に木霊を連れて行き、アキが追いかけるのを見送った。]
(110) 2016/05/23(Mon) 23時頃
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…さて、あたしももう一度挑戦してみるとするかな。
[言いながら、木刀を握り直す。
そんな頃、アキ達の向かったのとは逆側の参道で声が上がる。 妖達も捕り物に参加しているのだろうか。 そう思いながら。]
そっちか。
[少女は音の方角をしっかりと見定めると軽やかに駆け出した。]*
(111) 2016/05/23(Mon) 23時頃
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[人垣が出来ている方へ少女は進む。 はやし立てる声やどよめきに、うっかり巻き込まれでもしたのか悲鳴が上がる。 妖達の合間を縫って中心に向かおうとした少女に、的屋と思しき一つ目の妖が声を掛けてきた。]
『おぉい、姉ちゃん。危ないぞ。 木霊が飛び回って、屋台のものが散乱しているんだ。引っかけると怪我するぞ。』
あたしはそれを捕えに来たんだ。
[威勢のいい言葉に周囲にいた妖怪が口笛を鳴らす。 店主と思しき妖は後頭部に口のある女性の姿をしていた。 自力で捕まえようとしたのか、藍染の着物が粉で汚れてしまっている。]
『誰でもいいから捕まえておくれ。捕まえてくれた者には店のお好み焼きをタダで食べさせてあげるからさ。』
(117) 2016/05/23(Mon) 23時半頃
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それは本当か。
[少女は俄然やる気になった。]
…さて、
[身軽に動く木霊に対して、どう動くべきか。 人垣の中心に立ち、木刀を手にしながら少女は考える。 少女が操るのは蛇の形をした雷。 蛇――くちなわ。]
ふむ。 やってみるか。
[咄嗟の思い付きを形にするべく、少女は木刀を媒介に雷の形を練り上げる。]
(118) 2016/05/23(Mon) 23時半頃
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――若雷。
[‘若’は生命の瑞々しい活力を意味する言葉。 雷は稲妻とも呼ばれ、光は稲穂を育てると考えられてきた。
生まれたばかりである故に、自在に形を変えるやわいひかり。 それはそう、しなやかな縄のように。 木霊を捕えれば、絡みついて動けなくさせるだろう。
――上手くいけばの話だが。]
(119) 2016/05/23(Mon) 23時半頃
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[恐らく、荒らしてしまったのは副産物的なものだろうが、 屋台を荒らしていた木霊が少女の方に向かって跳ねる。]
いい度胸だ。
[少女は木刀の切っ先を木霊に向けた。]
(121) 2016/05/23(Mon) 23時半頃
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アカリは、撓る若雷は、木霊を捕えられるか。15
2016/05/23(Mon) 23時半頃
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[若雷――もとい蛇の形をした雷が木霊に襲い掛かり、ぐるりと巻き付く。 ぱりり、と音がしたが、出力は落としたので身体が痺れる程度だろう。]
…よし!
[野次馬の歓声。 妖達は少女が木霊を捕まえる事が出来るかどうか賭けをしていたが、それは知らず。
少女は思わずガッツポーズをした。]
(123) 2016/05/23(Mon) 23時半頃
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『ありがとうね、お嬢ちゃん…!』
[少女に出店の主が駆け寄ってきた。 右手を掴まれたかと思えば、激しく上下に振られる。 それには驚いて目を丸くしたが、喜ばれているらしいと知れば、悪い気にはならなかった。]
い、いや、その。 どう致しまして。
『今から急いで店を綺麗にするから、ちょっと待っていておくれ。 美味しいお好み焼きをご馳走してあげるからね!』
あぁ、大きいので頼む。
[一先ずは、木霊を引き渡しに行こうと。 蛇の形をした雷を連れて、少女の元へと向かう。*]
(126) 2016/05/23(Mon) 23時半頃
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[雷の蛇を引き連れて歩く姿は、少し人目を引いた。 けれど色々なものが集まる祭りであるが故、絡まれる事はなく。 すれ違った妖に蛇遣いかと問われたが、そこは否定しておいた。]
『そこな人。賽子で遊んでいきませんか。』 『お面はいらんかね。三つ首でも安心の三枚セット!』 『今なら玉蜀黍が焼きたてだよー。』
[客引きの声を聞きながらも、目的を果たそうと歩を進める。]
…誠、とアキ?
[>>133知り合いの声が耳に入った気がすれば、周囲を見渡し。 前方に誠に先導されている形のアキの姿を見つければ、ひらりと左手を振った。]
(135) 2016/05/24(Tue) 01時頃
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[>>137手を振り返したアキ達と合流する。 蛇は木霊を戒めたまま。 共に喜んでくれるのには表情を緩め、素直にありがとう、と返す。]
いや、あたしも木霊を捕まえに行ってしまったからな。
[遅くなった、との言葉には緩く首を振ってみせる。 けれど続いた言葉には瞠目して]
……ナイフ投げか、切断マジックでもやる心算か? 先ずはコインでも…と、琥珀は昔の人だったか。
[彼には馴染みのない言葉を紡ぎ、少女は訝し気に首を捻る。 手で指し示された先には当人達はおらず。
ぬいぐるみに穴が開いたら琥珀はどうなるのだろう、と想像してみたが、別のものに宿り直すのかもしれない、と。]
(141) 2016/05/24(Tue) 01時半頃
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[>>143心配していたと知ったなら、そんなに心は狭くないから安心しろ、と言葉を重ねるだろうが。 知らないままなら、少女は不思議そうに目を瞬かせるのみ。]
…ん?あぁ、そうだな。
[物々しい、と聞けば考え直す。 けれど穴が開くような危険が伴うものと聞けば、そうしたものしか思い浮かばなかった。]
ほう。紙の、蝶。
[紙切りは見た事があるが、それは初めて聞いたもので。 手妻師である琥珀の仕込みだから期待も出来る。]
――それは、楽しみだな。
[そう応じる少女は思わず顔を綻ばせていた。]
(144) 2016/05/24(Tue) 02時頃
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[蛇が捕えた木霊をちらりと見て。]
あっちで出店を荒らしていたのを捕獲したんだが、店主が気前のいい人でな。 お礼にタダでお好み焼きを食べさせてくれる、と。
良かったら、アキも食べてみないか。
[そう語る少女の顔もまた、生き生きとしていた。]
(145) 2016/05/24(Tue) 02時頃
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…あぁ、何だ。
[>>146言葉が返れば、ふ、と笑い、>>144言葉を重ねた。 穴が開く危険を伴う手妻の真実は、当人達に聞くのが一番だろう。 今も何処かで修行でもしているのだろうか、と少女は考える。 彼がもう一人の闇星と邂逅しているとは知らぬまま。]
期待を膨らませておくとしよう。
[勿論、斎本人にプレッシャーをかける心算はないが。
頂いても、と問われれば、少女は大きく頷いてみせる。]
大きいのを頼む、と言っておいたからな。 お好み焼きは小麦粉に刻んだキャベツや卵を混ぜて、鉄板の上で焼く料理なんだ。 肉が苦手なら海老や烏賊、明太子を入れても美味しいぞ。
[マヨネーズは口に合わなかったようだから、全体に掛けない方がいいだろうか。 そんな事を考えながらも、嬉々としてお好み焼きについて語った。]
(147) 2016/05/24(Tue) 02時半頃
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[>>148お好み焼きは作る手順もそれ程難しくないし、野菜や肉と魚介類も一緒に摂れる。 週に一度食卓に出ても美味しく頂けるくらいには好きだった。 そもそも少女は苦手なものが少ないのだが。]
どんな具材があるか、店主に聞いてみよう。 烏賊と海老辺りはあると思うんだが。
[そんな話をしていれば、また空腹を感じる。 結果を得る事が出来なかった先程と比べれば、気分は晴れやかだった。 腹の虫が鳴らない内に店へ向かおう、そう決めて。]
(149) 2016/05/24(Tue) 03時半頃
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取り敢えず、こいつを引き渡してしまいたい。 逃げられたら厄介だからな。
[そう言って、一先ず、予定通りに木霊を少女に引き渡しに行く事に。 はぐれないように、時折互いの位置を確認しながら進んでいく。
道中、煌星の気配を近くに感じれば僅かに耐えるように眉を寄せるが、 闇星の気配がその近くにあれば緩く首を捻った。 亀吉の気配とは違うそれが、何者のものかは分からずに。
やがて白い少女の元へ至れば、]
危害は加えていないから、安心してくれ。
[そう言って、蛇の拘束を解かせて少女に木霊を手渡した。 ちろちろと舌を出していた蛇は、役目を果たしたばかり、ふわりと消える。]
(150) 2016/05/24(Tue) 03時半頃
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[そうして道を引き返し、 お好み焼きの出店に辿り着けば、主は笑顔で出迎えてくれた。]
『あ、お嬢ちゃん。良く来てくれたね。 そちらはお連れさんかい。』
あぁ、彼はお好み焼きを食べた事がないそうなんだ。 とびっきり美味しいのを頼むぞ。
『それはそれは。腕によりをかけて作らないとね。』
[からりと笑う彼女と幾つか言葉を交わし、 烏賊と海老、そして明太子の入ったお好み焼きが熱された鉄板の上で焼き始められる。]
(151) 2016/05/24(Tue) 03時半頃
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『さて、出来上がりだ。』
ありがとう。凄く美味しそうだ。
[そうして渡されたのは、普通のお好み焼きよりも二回りほど大きなもの。 紙箱から溢れんばかりのそのボリュームはなかなかに壮観だ。 ソースの上には鰹節がかけられ、何とも食欲を誘う香りが鼻を擽る。]
アキ、先に食べていいぞ。 出来たてで熱いから注意してくれ。
[二つ貰った割り箸をアキに差し出しながら紙箱を彼に向けた。 彼が食べたら、少女はマヨネーズをかけて食べる心算。]**
(152) 2016/05/24(Tue) 03時半頃
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[>>157全部乗せ、という豪快なチョイスも少女的にはアリなのだが、 アキに食べさせるなら、彼の好むものにした方がいい、と。 口に合うと良い、と願いながら、少女は木霊を引き渡しに行く。
道中の変化については、深く追及されなければ腹が減っただけだ、とのみ答えるだろう。 飢えを感じたのは少女の腹だけでなく、闇星もなのだが。
そうして、お好み焼き屋に至る。 >>158一見すれば普通の女性に見える妖は手際よくお好み焼きを作り上げていく。 その手際を珍しそうに見ているアキの姿を少女は微笑ましく思いながら見守っていた。]
(164) 2016/05/24(Tue) 22時頃
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[>>159大きめのお好み焼きは、同年代の少女では食べきれない人もいるだろう。 けれど少女にしてみれば、食べ甲斐のあるご馳走である。
目を瞬かせながら紙箱に入ったお好み焼きを見る彼は、少女が手渡した割り箸を割ってお好み焼きに箸を入れる。 割り箸を割る仕草は少しだけぎこちないが、恐らくナイフやフォークを操らせるよりはずっとスムーズで。 一口食べるのには少し緊張はした。]
――良かった。
[>>160食べた事がない者にとっては味も食感も不思議な感じはするだろうが、 美味しいという言葉が零れれば、少女はほっと胸を撫で下ろす。]
(165) 2016/05/24(Tue) 22時半頃
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いい経験になったかな。 いや、どう致しまして、だ。
[>>166アキが食べ終われば、少女もお好み焼きに手を付けようか。]
――いただきます。
[言いながら割り箸を割ると、嬉々として先ずはマヨネーズなしの味を楽しむ。 海産お好み焼きの味が口の中一杯に広がるのを無言で数口堪能してから]
店主、マヨネーズはあるか。 『はいよ。』
[そうして手渡されたマヨネーズをお好み焼きに掛けて食べる。 酸味とまろやかさが加わってまた違った表情を見せるから面白い。]
(167) 2016/05/24(Tue) 23時半頃
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…うん、至福だな。
[少女の顔は綻んでいた。]
(168) 2016/05/24(Tue) 23時半頃
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――ご馳走様でした。
[お好み焼きを平らげた少女は手を合わせる。 割り箸や紙箱は屋台の方で引き受けてくれた。]
…さて、
[きょろりと周囲を見渡す。 祭りが終わる気配はない。]
これからどうする、アキ。 出店でも回って時間を潰すか…?
[腹もくちくなった少女はそう問いながら緩く問い掛けた。]
(169) 2016/05/24(Tue) 23時半頃
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こうすると、味が変わって二度美味しいんだ。
[>>171マヨネーズは不評らしい。 店の主にマヨネーズを掛けないでおくよう交渉しておいて良かったと思う。]
そうだな。 射的とかヨーヨー吊りでもやってみるか? 探したらありそうだぞ。
[もっと色々見たい、という彼にはそんな事を言って。
流石にまた何か食べようという気にはならなかった。]
(178) 2016/05/25(Wed) 00時頃
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[>>172誠とアキのやり取りの邪魔はせぬよう、少女は雑踏に視線を向ける。 河童と思しき妖が胡瓜を齧っているのはいいとして、 牛頭の妖が牛肉らしき串を食べながら歩いているのは、なかなかシュールな光景だった。
>>173木彫りの人形は言葉を語りはしないが、持ち主であるアキには何を言いたいか伝わるらしい。 凄いな、と純粋に少女は思っていた。
誠に命を与えたという妖は、一体どんなモノなのだろう。 そんな風に考えながら、かの小さき人形に視線を遣った頃、アキから声が掛かり。]
いや、大丈夫だ。
[首を振りながら応じて、再び人混みの中に戻ろうかという頃。]
(179) 2016/05/25(Wed) 00時半頃
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――!
[>>175鋭い音と共に木霊がアキの傍を飛ぶのに少女は瞠目する。 気付かなかったのは速度故か。
行くよ、と相棒に声を掛けるアキは木霊を指さす。 先程までとは様子が違うのに、少女は無意識に息を詰める。
飛び上がって繰り出された一閃は狙いを外し、木霊は逃走していった。 >>176着地した誠を、少女はじっと見つめていた。]
…アキ、今。
[自分の意思で誠を動かさなかったか、と問おうとしたところ、 思ったように動かすのは難しい、と言うのが聞こえて。]
(180) 2016/05/25(Wed) 00時半頃
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――人形遣いの才能でも眠っていたのか?
[それとも新たに才能が開花したのか。
先程何事か遣り取りをしていたのが、先程の立ち回りに繋がったのだろうかと考えながら問い掛けた。]
(181) 2016/05/25(Wed) 00時半頃
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