217 【突発誰歓】幸福の壷【十二支騒動記】
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[巳 火性 陰
その方角を司る神は『おそれ』を表し、凶とされ
司る星も凶星たる星『螢惑星』 別名『火星』
方角も、星も、司りし神も、己が名でさえも
凶事ばかりを示すもの
己は生まれながらにして、凶事を招く者なのだ
特にそう負い目を感じる様になりしは、遠い昔になりつつある申とのいさかい。
己の気性は、存在は。凶事を招く。
それを自覚し、拒絶する為、己を鎮める水の気に頼る。]
[名を呼ばれることを拒むのは、その名は凶事の象徴故。
己は凶事を招く者ではない。
己は白蛇故に凶事とは関係などない。
その思いから拒み続けている。**]
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[感じる神気に>>0:#2>>0:#3一層蕩けるような笑みを深くし、 膝を折って礼を取る。]
お召しにより、只今御前に罷り越しました。
[ひらと揺れる袖は羽のように。 年若の者たちほど素直に喜色を現さなくとも、 浮かぶ喜びははっきりと知れよう程に。]
(64) 2015/02/14(Sat) 19時頃
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―少し前・寅と― [名と同じく人の乙女の姿も愛らしく無邪気に笑う櫻の姿に>>11 よかったことよ、と微笑み浮かべた。]
櫻が痛い思いをすると、我も皆も心配するでのう。 大事なくて何よりよ。
[ぽむりと、警戒心など微塵もないまま獣身を現す寅の仔を 両の腕で抱き上げる。]
(65) 2015/02/14(Sat) 19時半頃
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そなたは懐こくて本当に愛くるしいのう。
[よしよし、と甘えて喉を鳴らす寅を撫でて、 ついつい可愛さ余って、胸元にぎゅううっと抱きしめてしまった。
ねえさま苦しい、と寅の仔がやはり喉を鳴らしながら言うのに、 謝りながらそろっと抱擁を緩くする。
当事者でない、巳だか午だか辰だかが気まずげに目線を逸らしたかもしれないが。 寅の仔の毛並みを愛でる真っ最中の酉にはあずかり知らぬこと。*]
(66) 2015/02/14(Sat) 19時半頃
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[至極軽やかな声音に>>#4 返す笑顔はため息混じり。]
また無駄遣いなさいましたのか。
[いつぞやはなんであったか…。 思い返すうちに、巳の男の手の中に預けられた壺に異変が起こる。>>#5
まるで、神の手を離れる時を待っていたかのように。 何かから逃れて自由になるように。
壺は砕けた。]
(71) 2015/02/14(Sat) 20時半頃
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…おや。
[袖で口元隠し、眉を顰めたは一瞬。 場の空気を換えるように、笑いを零す。]
欠けて割れれば、次が売れる…成程成程。 商い人にとってはまさしく幸福の壺でありましょうて。
[軽口ひとつ、蒼褪めた南方の気鬱が>>46それで飛ぶとは思ってはいないが。
陰気満ちたままに捨て置くのは、 なにより十二の一つに選ばれた矜持が許さぬ。]
(73) 2015/02/14(Sat) 20時半頃
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[割れた壺から善き物は感じ取れぬ。
だが、悪しきものが、災いが、全て取り除かれるためにあるのではなく。 在り様を間違えたそれらは正道へと戻す導を待っているだけ。 邪なるは、存在そのものが間違いなのではなく、 存在の在り様を違えたことで邪となる。
長く陰陽見つめた酉には、そう映る。]
壊れて、生まれるもの。 生まれて、壊れるまで。 陰陽の永久の流転は我ら十二支の身も同じであれば…。
(74) 2015/02/14(Sat) 21時頃
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[こたびの壺の割れ方も、ただの凶事の前触れとならぬよう。 仮にそうなったとしても。
正しき道へと帰るよう、]
いずれの道も、また理の内ゆえに。
[言霊を紡ぐ。]
(75) 2015/02/14(Sat) 21時頃
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[視界の端、龍世が膝をつくのがちらりと見えて、>>79 小さく息を飲む。 それは他の誰にも悟られぬ小さな小さなものではあったけれど。
余人へと容易く真意を読ませないよう、 こぼれた吐息を苦笑へと器用にすり替える。]
龍の翁よ、飲む前から足元覚束ぬようでは張り合いがないわ。 早々に潰れてくれるでないぞ?
[茶下しつつも、投げる視線は穏やかに。 彼の言葉に頷くと、気に中てられやすい仔らへの背中へ 視線を転じた。]
(81) 2015/02/14(Sat) 21時半頃
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幼い…が、ゆえに逞しい。 天の川で禊をして、悪しき気祓えばあとはあれらの心がけ次第よ。
老体よりも余程回復は早かろうて。
[言の葉を羽のように軽やかに紡ぐも、 酉の注意は空すべてに巡らせる心算であるかの如く。 気を張り巡らせ、風を読む。]
ああ…やはり少しばかり澱んでおるわ。 こんなときこそ酒でも飲んで気鬱を吹き飛ばさねばのう。
(82) 2015/02/14(Sat) 22時頃
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[罅の隙間より零れたナニカ。
堅牢な器に閉じ込められていたのに。
解放されてしまった。
夢見の通り。]
[亥の内側、悲鳴を上げたその口に。
するりと入り込んだ、ナニカ。
どろりどろり、姿を変え。]
ぁ………ぁ、ア
[言葉を紡ごうとも発声器官は形成されずに。
永劫とも思えた封印から解放された喜び。
亥神の存在を侵食するかのように振るえ。]
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宴が始まる前に、酒もつまみも 美味しいところばかりなくなっても知らぬぞ?
[背に感じた辰の温もりに笑み浮かべて、 さて、御厨かあるいは座敷かと、足を向けようとする。]
他に手伝いは? 沙耶とゆりか…、主の尊のように皿など割ってくれるでないぞ。 怪我をしてはいかんからのう。
[未の後を追う卯の乙女の背へと>>69声をかけた。]
(93) 2015/02/14(Sat) 22時半頃
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これ、もんぺや。
[呑気に手をふる丑の額を>>63、徒に指先でつついて]
座っておるとそなたの分まで我が食べてしまうぞ。
[食べることが大好きなのんびり屋の丑が少し慌てるのをみて、 くすくすと笑う。]
(94) 2015/02/14(Sat) 23時頃
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冗談ゆえな、慌てずともよいわ。 気晴らしに外へ出た者にも、 頃合いを見て声をかけてくれまいか。 せっかくの酒宴に遅れては勿体ないであろう?
[頼んだぞ、とひらひら手を振って、 見知った神座、社の内を、酉はぱたぱたと軽やかに飛び回る。**]
(95) 2015/02/14(Sat) 23時頃
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[――その若さ故に、要らぬことを延々と考えるのだが。]
[己が凶事を呼んでいると。
男が勝手にそう思うだけ。
事実気にするほどは、凶事を呼んではおらぬ。
だが、意識すれば真実より多く感じるもの。
そしてそれは、己の胸中で黒くとぐろを巻く。
それに呼応したかの様に割れた壺。
壺の中にありし、禍々しきモノ。
その一つは男の中へと入り込む。
とぐろを巻く要らぬ自責の念に巣くい、黒蛇と化したそれは、男の意識を蝕もうとする。]
[しかし、後に入りし光にその侵食は阻まれた。
神の光程ではないが、同じ様に神々しさを持つ光。
何の為に入っていたのかは知らぬが。
それが辛うじて封印とまではいかぬが、侵食を遅らせることに一役買い。
男の自我を保たせる。]
[しかし一度蝕まれたものは退くことはなく。
呼び掛けがあれば、それに応じることができる程度には蝕んでいた黒蛇。
気配を探るようなものを感じれば、封印から解かれたことを悦ぶように、それに応えようと気を放つ。
この神には及ばぬこの光。応えるものは気付くだろうか。]
[どうしてどうして
厄介な光が眩く感じる。]
『のぅ、同輩。』
『―――元気かね?』
[思念はのんびりとした言葉を形作る。]
『……是』
[黒蛇の周りで輪を作ろうとする光を忌々しく思いながら、のんびりとした声に応える為、言の葉を紡ぐ。
光が男に入るまでにあった僅かな刻。
それだけあれば、黒蛇にとって都合の悪い男の意識を曲げる程度には蝕むことはできたようで。]
『ようやっと、外へ出られたぞ 待った甲斐があった』
[それでも、この光が有る限り、忌々しいのは変わらぬが。]
『ようやく、ようやっと――』
『あぁ、永かった。』
『………』
[記憶が薄れる程、永く。
沈黙。]
『して、此処は――――ほぅ。』
『神が、居る。』
[にたり。狂喜に歪むのは、形ばかりではあるまい。**]
『嗚呼、永かった 待ちわびた』
[何れ程この時を待ち望んだことか。
望み始めたのはいつ頃か。それは最早遥か遠い、記憶の彼方。
同輩と同じ様に辺りの気を読み取る黒蛇は嘲笑うかの様に、ちろりと禍々しい程に紅い舌を出す。]
『左様、神の地だ』
[くくく……と含む声を出すその顔はまるで狂気。]
『さあ、始めようではないか』
[まるで鬼灯の様な紅い目を狂喜に輝かせる。]
『吾等を閉じ込めた奴等への、報復を』
[その為に、吾は外へと渇望したのだ。
神の地なれば、神を引きずり下ろし、吾等が神になってやろうか。
神の力。その力を使い、思い付く限りの報復するのが愉しいか。
紅い目を、言の葉と同様の愉快そうな色に染めた。]
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