60 ─昨夜、薔薇の木の下で。
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…んっ!? …ぅ、
[>>1:449瞳を伏せたままにしていると唇に濡れた感触、 びくりと大きく身を震わせセピアの瞳を開く。 触れられる場所は瞼や頬に施すものとは大きく意味を変える。 驚きに薄く唇が開くと自分のものではない何かが入ってこようと動いていて。 未知の感覚に背筋に震えが走る、突き放そうと両手を自分よりも華奢な少年の胸元に押し付けた。]
(1) 2011/08/05(Fri) 00時半頃
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なんでなんで!? 僕はザック先輩のだって言ったのに!!
『だいじょうぶだよ、ただの練習』
『君が毎晩やってるのと同じ事さ』
『気持ちよかったでしょ?』
『きっとザック先輩も喜ぶよ』
ザック先輩、も……?
[挙げられた名前に、少年はぴくりと反応した。]
……なんてことなくなんて、ないよ。
[聞こえた言葉に、ぽつりと反応した。]
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[突き放すと床へと転ぶ後輩の姿を気遣う余裕もなく。 背筋の震えは残ったまま、じわりとそれは疼きにも似て。 触れられていた唇に手の甲を強く押し付ける。 凛とした眉を寄せて浮かべる表情は誰にも見せたことのない 混乱と狼狽を隠しきれぬ頼りなげなもの。]
――…ぁ、
[音が聞こえ其方を見るとフィリップの姿がある。 見られたかもしれない…そう考えると血の気は下がり、 けれども頬は仄かな赤を差す。 ジョージの顔を見ることもできないまま目を伏せ立ち上がると ぐらりと大きく視界が揺れた。酔うような濃い薔薇の香。 それでもこの部屋から出ようと、足が動いて。]
(12) 2011/08/05(Fri) 01時頃
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ん〜 そうだね〜。
俺もセカンドはとってあるからな〜。
[とってあるのではなく、「する機会がなかった」の間違いであるが。何気に、ヘクターに水を飲まされる時に奪われているのは知る由もない…]
口のキスは大事だね〜。
[相手が中等部の生徒というのもあり、同調しておいた。]
[そんなものに夢を見ていた頃が、自分にもかつて在ったけれど。
それは無残に踏み躙られ散らされる前。
恋というほどには成長しきらなかった、仄かな思いを胸の中で大事に育てていた頃。
そんなものなんて幻想に過ぎなかったと、身体にも心にも深く深く刻みつけられたから。
フレンチ・キス程度にそんな思いを抱いているというのなら、
不浄の所を清めるかのような口淫なんて、どんなことになってしまうのやら。]
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[黙ってそのままキッチンを立ち去ろうとして、 先程も黙って置いていった後輩が小さな声を上げると 一度足を止める。]
……す、まない。 頬、だけだと…思ってた…から。 ……驚いて。
…少し、頭を冷やす。 すまない…。
[目を伏せ手の甲で唇を押さえたまま言葉を残し、 キッチンを出て行く。]
(23) 2011/08/05(Fri) 01時半頃
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…くだらない。
[ボソリと零す言葉のように、
心臓に絡まる呪いの荊棘は、どす黒く染まってねじ曲がっている。]
…………
[頭の芯が痺れるような、甘い毒に浸されて。
曲がった呪いの棘を咎めようとする気持ちも起こらない]
…エヴァンス君。
なんか、おれ、変だ……
…あぁ、おかしいとも。
俺も、君も…
[唇を介さない…まるで魂同士が触れ合うような会話だけではなく。
湧き上がる衝動はきっと、傍へ寄れば相乗効果で更に高まるか。
歯止めが効かない。感情が押さえられない。
おかしいと、心は警鐘を鳴らしているというのに…逆らえぬ。]
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[キッチンから出て、 向かおうとしていたランドリーから人の気配を感じると 行き先はそれを越えて外へ。 中庭の薔薇園に近い園芸のスペースに水撒き用の 蛇口を見つけるとそれを捻りホースから出る水を頭から浴びた。]
―――……っ、
[髪を、肌を伝って地面へと落ちていく水滴を見つめながら 手の甲で、先程まで触れられていた唇を一度拭う。 はじめての感覚を思い出せばまた背筋に何か走り]
……間違…ってる…。
[神からの教えにも、自分の信じるものにも当てはまらない。 間違った行為、苦しげにその表情が歪む。 もう一度拭う唇、あの時感じた甘い疼き… 悪寒だと思っているものは快楽にも似て、 けれどもそんなことを認めてはいけない。]
(35) 2011/08/05(Fri) 02時頃
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……外に、連れて出た方がいいかな〜。
[これから起きることを見学するつもりだったらしい。]
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―中庭・園芸スペース― [蛇口を捻って水を止める。 顔を上げると後ろ髪に重みを感じた。 流れた水が土と混じりあい、その中に落ちた真紅の紐。 何時の間にか解けてしまっていたらしい、 拾い上げても汚れたそれは結うのには使えない。 タオルなどは持って出ていないから、 髪から落ちていく水滴が着ている白いシャツを濡らしていく。]
(48) 2011/08/05(Fri) 02時頃
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…別に、見られても構いはしなかったんだがな。
[下卑た視線に晒されながら喘いだことも幾度もあったから、もう抵抗など感じなかったし。]
興味、あったんだろう?
ひょっとしてお前…
[未経験だろうか、とかふと脳裏をよぎった。
ひょっとすると同じ薔薇の木と繋がった呪縛が共有するのは、声だけではないのかもしれない。]
邪魔なら出てけ、っていうだろうと思ってたから、いいのかな〜とは思ってたけど〜…興味は、うん、正直、あった……
えっ?
ひょっとして…何〜?
いや、未経験とか、そんなこと全っ然ないから!
ないから〜!
[思いっきり動揺している。]
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[この姿のまま戻るわけにもいかない。 長い髪先を何度か緩く絞ってシャツも一度脱ぐ。 水を吸ったシャツを絞ろうとしたところで声が掛かった。 振り返る表情は驚いてはいたが落ち着きは取り戻し始めていて]
…そうだと言えば信じるか?
[ランドリーでよく会う後輩、冗談めかした言葉に 返す笑みまでは常と同じようにはいかない。]
ひどい嵐だったな。 庭を元の姿に戻すのには時間が必要そうだ。
[シャツを絞れば落ちる水滴、拾いあげた汚れた結い紐のことを 忘れて共に絞ったからシャツにも紐の汚れが移った。 穢れる白いシャツを見て、微かに眉を寄せる。]
…なあ。 嵐の後は薔薇が香るものなのか…?
(60) 2011/08/05(Fri) 02時半頃
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[差し出されたフェイスタオル、セピアの瞳を瞬かせ 濡らすぞ?と断りを入れて顔だけ拭わせてもらう。 首を振る姿に今度は笑みを返すことはできず]
…シャワーは使われているようだったからな。
[口にできるところは其処まで、タオルで拭ったばかりなのに 手の甲でもう一度唇掠めて顔を拭った。]
……薔薇は…時期じゃない…?
[信じられないといった声音、けれども園芸に詳しいこの後輩が言うのだから間違いはないのだろう。 時期ではなく、強く香る薔薇。濃い香を感じたのは二度とも――…]
…わからないな、どこだろう…
[一人の少年の姿は思い浮かんでいたのに、ヤニクへはそう答えていた。 ふるりと、また背に何か感じて露わにした半身が震える。零した吐息に熱が孕んでいることにはまだ気付いていなかった。 汚れてしまったシャツ、白に少しずつ乗せられていく汚れは何かを暗示しているようで。ジョージの名を伏せた姿は少しずつ何かに囚われ始めているのかもしれない。]
(72) 2011/08/05(Fri) 03時頃
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[何故、ジョージの名を今自分は伏せたのか。 自分の言動に気付いたのは言葉にした後、セピアが微かに見開いて。けれどもヤニクのその後の言葉にゆっくりと息を吐く。]
…香水か、ありえそうだ。 原因を早く突き止めてあの匂いをなんとかしないと…
――…ひどく酔いそうだ。
[こめかみの辺りを指先で押さえながら言葉を返す。そう、確認しないことにはわからない。だからと、裡でそう呟いて。]
…いいのか?使わせてもらっていて悪いが 拭ったのは水だから…少し干せばこの天気なら直ぐに乾く。
[指すのはフェイスタオルのこと。 濡れたままの指先伸ばしてヤニクの前髪に触れ]
これから作業するかもしれないんだろ? きっと汗をかく。
[少しヤニクへと近づけばふわりと香るのは薔薇ではなく異国の花の香。濃い薔薇の香で頭を痛めていたから常は慣れぬその香が今は少し心地よくて。]
(81) 2011/08/05(Fri) 04時頃
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[――…その後脳裏に浮かんだ言葉、 はっと顔を強張らせてヤニクから手を引く。 所作を誤魔化すように借りたタオルを絞ると 皺を伸ばして水道に掛けた。]
―――…此処に干しておく。…助かった。 熱中症には気をつけるようにな…
……?どうかしたか?
[ヤニクの去り際の言葉、口篭る様子に首を傾げ。 結局何も言うことなく去る背を不思議そうに見送った後 眉を歪めてこめかみを押さえる。]
(82) 2011/08/05(Fri) 04時頃
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――…違う…今のは……違う……。 ……主よ…、
[一瞬過ぎった言葉、 薔薇ではない異国の花の香、 それは触れればどのように甘いのか…など。 それは信じるものの中にはないあってはならぬ過ち、 己を戒めるように祈りの言葉を唱え。]
(83) 2011/08/05(Fri) 04時頃
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[あまりこれ以上人目につきたくなくて着替えを求めて自室に戻る。]
……どうした?
[部屋に戻れば同室者のベッドがこんもりと盛り上がっていて。 濡れた髪を下ろし、シャツを脱いだままの姿で目を丸くして首を傾げた。**]
(85) 2011/08/05(Fri) 04時頃
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漂白工 ピッパは、メモを貼った。
2011/08/05(Fri) 04時半頃
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―自室― [>>89窓を開けておけば少しは涼しかっただろうにそれともその余裕もなかったのだろうか。 布団の中に潜っている同室者が顔を覗かせる。 弱弱しい様が置いてきた後輩の姿と被って胸に痛みを覚えた。 また――…拒んで置いてきてしまった。 浮かぶのは罪悪感で、けれども直ぐに戻ることもできない。 一度口元を手の甲で押さえ、自分のスペースへ向かうと 積まれたタオルを取り]
…ん、少し濡らしてしまった。 ――…結い紐の替えがないな。
[詳しい説明までは避け肩に掛けたタオルで髪を拭いながら イアンに背を向ける形で新たな着替えを探り出す。 替えの紐が見つからないことに緩く首を傾げていたが、 聞こえてくるイアンの告白にひくりとタオルを掛けた肩が揺れて]
……それは…、
[イアンへと振り返ることができず、呟く声音には微かな困惑の色。]
(90) 2011/08/05(Fri) 08時半頃
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―――……、
[>>91同性への恋情を神はお許しにならない。 それは主の教えに背く誤りなのだと、兄のように 思ってくれている相手に伝えなければならないのに。 胸中に浮かぶのは信仰への思いとはまた異なる感情、 卒業したら…、後輩のその言葉が脳裏にリフレインして]
……え? イア…
[>>92その揺れる心に追い討ちを掛けるような言葉。 何を思って同室者がそのような結論に至ったのかわからない。 一方的な言葉に呼び止める術すら思い浮かばなくて。]
(95) 2011/08/05(Fri) 09時半頃
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[言葉を失ってしまっていればそのまま出て行くのだろう。
扉の閉まる音。 ―――…もう要らないのだ。 そう言われた気がした。*]
(96) 2011/08/05(Fri) 09時半頃
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漂白工 ピッパは、メモを貼った。
2011/08/05(Fri) 09時半頃
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―廊下― [いつ廊下に出たのかもよく覚えていなかった。 姿勢は凛としていたが、視線は何処か遠くを見ていて 降りたままの髪はまだ十分に乾いておらず湿気たまま。 手には汚れた真紅の結い紐がある。 まずは其れを洗おうと部屋を出たのだろう。]
―――……、
[洗った後はどうするのか。 やらなくてはいけないことはたくさんある。 ゆあたりしたノックスの見舞い、 眠っているヨーランディスの見舞い、 洗濯物を取り込み、サイモンに呼ばれるのなら説得も。 ―――…それから。遠くを見ていた瞳が伏せられる。 置いていった少年と、出て行った少年。 そのどちらの所にも未だ向かうことができずにいる。]
(107) 2011/08/05(Fri) 11時半頃
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[所作も感覚も、興味があれば感じ取れたかもしれない。
無垢で無知なものが知るにはあまりに酷く凄惨で、それでいて刺激的な、
欲を満たすためだけの身勝手な行為。
この身体が知っているのは、この味だけだから。]
[全てが実際に伝わってきたわけではない。
けれど、刺激的すぎる感覚は、僅かな量で少年の身体を存分に蝕む。]
ふ、ぁ、
[まるでそれは、無理矢理に誰かを抱かされているかのような…]
こんなの、知らな…っ うあ、
やだっ、こわい、たすけて!! ザック先輩!!
[その場にいたらきっと面白がって煽るだろう人の名を呼び少年は怯える。]
『だいじょうぶ、すごく気持ちいいよ』
『教えてもらいなよ』
[薔薇は宥めるように、面白がるように。]
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―廊下― [ほうと、遠くを見て考え事をしていたものだから 廊下で少し賑やかな遣り取りがあっても気付かなかった。 遠くを見ていた焦点が瞬きとともに傍の蜜の色へ。]
――…ルーカス?
[同級生の姿、見つければ名を呼んで見止めて。 瞬いたセピアの色は未だつよさ保ち 常と変わっているのは解けた髪だけ。]
(147) 2011/08/05(Fri) 16時半頃
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…結い紐を落としてしまったんだ。 今から洗いに行こうと思って。
[>>149手の中の真紅に視線を落として伝える。 変わらぬ笑みと、変わらぬ声。 常ならぬ後輩の姿と、己自身に困惑してばかりだったから 同級生の常の姿に眉が僅かに安堵するように緩む。]
……丁度よかった。 ヨーランディスが出歩く姿を見かけていないんだ。 寝ているらしいのだが夜中出歩いていたらしいし 風邪を引いているようなら一度見に行こうかと…
[自分の身だけでは時間が足りぬと同じく年長の彼へ 明かすのは私情を抜かした幾つかの用事。]
…あとは郵便物の回収も今日の夕に来るらしいから… 忘れないように……お前も出すものがあるのだろう?
[そう尋ねるのは先日書いていた手紙のこと。]
(151) 2011/08/05(Fri) 16時半頃
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[宿舎の中で髪を長く伸ばしている者は多くないが そういえば彼もまたその一人だ。 ルーカスの述べる疑問は同じことをまた思っていて。]
嵐の中出ていたらしい。 ――…何をしに出ていたのだろうな?
[答えは出ず本人に聞くのが早いのだろう。 後輩が深い眠りに落ちたことも、隔絶された宿舎には いくら待っても配達人が訪れないこともまだ気付かずに]
…出しても私の場合は相手が忙しくて読む暇もないだろう。
[苦い顔を浮かべる同級の姿にセピアの色を細める。 常ならば相槌を打って話は区切られるのだが]
(153) 2011/08/05(Fri) 17時半頃
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……私にはやはりお前が少し羨ましい。 お前はあまりよく思っていないようだが、 手紙や迎えの話を聞くとさぞいい家族なのだと思う。
…返事、まだ書けていないのか…?
[更に言葉を続けてしまったのは誰もいない実家の独り部屋と 出て行かれ独りになるかもしれない自室が過ったからで]
(154) 2011/08/05(Fri) 17時半頃
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…そうだな、それがいい。 どうやら中庭の園芸スペースの辺りも荒れてるようだから、 下級生達はあまり其方へ行かないようにも…
[一人で考えるよりもスムーズに纏まって行く、同級生の言葉に頷き細まるセピアは目の前の相手を信頼するもの。 園芸スペースには薔薇園もある、会話する最中にも廊下には消えることのない花の香が漂って。]
――…どこにでもある家だよ。 両親は仕事で飛び回ってるから滅多に会えないだけで。 ……ああ、そうだな。…手紙、いいかもしれない。
[ルーカスからの助言には瞬くと喉を鳴らして柔く笑んで。言葉がすとんと胸に落ちた心地がする、胸中に潜む寂しさがそう思わせたのかもしれないし、同級生の手紙を書く姿を羨慕する気持ちもあったからで]
(168) 2011/08/05(Fri) 19時頃
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[慰めを貰ったからだろうか、その後の目を逸らす仕草と言葉がやけに気に掛かった。]
―――…ルーカス?
[呼ぶ名の手が震えているセピアの瞳がそれに気付いて。 返事は書いているのに出さないのだと言う。 苦い顔は偶に見ていても、その震えを見るのは初めてで。]
ルーカスの家の事情は偶に聞くだけであまり知らないが… …お前が、家族が大切だと聞いて…安心した。
[だからこそ、尚更彼の言葉が引っかかって。]
……何か、出せない事情でもあるのか…? 私で何か力になれるなら…
[小刻みに震える手は寒そうにも見える。緩く眉を寄せてそれを見つめた。*]
(169) 2011/08/05(Fri) 19時頃
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漂白工 ピッパは、メモを貼った。
2011/08/05(Fri) 19時半頃
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…ヤニクが処置してくれているみたいだ。 早く元に戻ればいいんだがな。
[物干し場から見える中庭の風景と濃すぎぬ洗剤の匂いに混じる花の香が好きだった。先ほど話したヤニクが処置に向かうのを見ていたから少しでも早く元の庭に戻ればいいと。薔薇園の花が折れたことはまだ知らなくて。
誘ってくれた申し出は嬉しいもので。笑みが零れ]
文面まで手伝ってくれるのか? ありがたいが…なんだか気恥ずかしいな。
[微かに生まれつつある不安、揺れているのは薔薇の香の所為だけではなく。信じてきたものが、足場が、穢れなきと信じてきた世界には勿論目の前の彼の姿もあって。]
(182) 2011/08/05(Fri) 21時頃
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[だから、目を逸らされると小さく鼓動が鳴った。]
…何を言っている? 私はお前と話しててそんなことは一度も…
[言葉を紡いでいくのが、少し苦しくなる。 形は違うけれども既視感。 微かに生まれる不安、それを信じたくなくて。
震える手が隠され見つめてくる青磁色。]
――……? なんで、そんなことを…?
[問われる言葉に、返す声が微かに掠れる。 その後告げられた告白に――…]
(183) 2011/08/05(Fri) 21時頃
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[ルーカスは見てしまっただろうか。 明かされる言葉に呆然と彼の姿を見つめ、 少しずつ蒼ざめていく姿を。]
…っ ぁ、
[ルーカスが去っていく背に気付くのが少し遅れる。]
ルー…
[名を呼びかけて最後まで紡げない。 ジョージの時と、イアンの時と同じく。 追ってくれる姿を、離れていく姿を、 待つことも、追うこともできずに。]
――…私…は…、
[俯き、顔を覆う。隠れた表情は苦しげに歪んでいた。*]
(184) 2011/08/05(Fri) 21時頃
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…私は…どうすればよかった……?
[ルーカスが去った後顔を覆ったままぽつり呟く。 信じていた世界が軋んでいく。 大事にしていた者が離れていく。 均衡を保っていた天秤は揺らぎ傾きはじめて、 白の中に小さな色が点々と落とされていく。
どちらもなければならないのに、どちらかを取ればどちらかは落ちて。
ふらりと僅かによろけた足で歩きだす。 話さなければいけない――…大事な友人なのだ。 きっと少しの気まずさはあろうが、話せば元に戻れるだろうとそう信じて。
ルーカスの去っていった方向へと彼を探しに歩きだす。 ヨーランディスの騒ぎが起こるのはその後のことか、そこには姿を見せず。
はらり、気付かぬまま去ったのだろう。廊下には汚れた真紅の紐が落ちていた。*]
(224) 2011/08/06(Sat) 00時頃
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漂白工 ピッパは、メモを貼った。
2011/08/06(Sat) 00時頃
やだ、やだぁ……っ!
[暴れる少年の魂は、薔薇の蔦に押さえ込まれ。]
『落ち着いて』
『気持ちいいでしょう?』
『教えて貰いなよ』
『ぼくを咲かせて』
[くすくすと笑う薔薇の声と、未知の快楽に怯える様は、呪いに囚われた仲間達にも伝わったのだろうか。]
[身体が落ち着いてきたところに、聞こえてきたのは]
……え?
エミルトン君?
[幼い彼の、怯えたような声がふっと聞こえた気がして。
さらに、不思議なあの声も聞こえてきたから、戸惑った]
…どうせ、こいつも……
[ポツリと心から零れる、歪んだ疑念。
何処か遠くで、快楽に流される嬌声を感じれば、
やはり人という愚かな生き物は、結局そこに行き着くのだとしか思えなかった。]
あっ、あっ……!!
[悲鳴は嬌声へと変化してゆき、少年が快楽に堕ちていったことを伝える。]
『それでいいよ』
『想いを頂戴』
[擦り込むように薔薇の精は囁いた。]
…………!
[午前中から何してんだ 中等部一年生、ていうか俺もまだなのにとか色々思ってしまったが、そんな思念を伝わらないようにシャットアウトさせるのには何とか成功したようだ。
ただ、喘ぐ声というものは…刺激的で。
困ったように足を止める]
ん……?
[ザックの悪い噂は「遊んでいる」程度はヘクターから聞いていたが、特に接点のない相手だったから、然程印象に残っておらず。
でもそういえば、ジョージはザックのものだとか言っていた、ような。そのザックは、自分の記憶が正しければ、確か既に帰省していたはずで…]
んん……
[ようやく気づいた違和感。
あれ、ひょっとしてまずいことになっているのでは?
…ただ、嬌声を聞いてしまった後で、そのことを聞くのは憚られた。]
[助けに行った方がいいんじゃないか…
そんな考えが頭をよぎったけれど。
今行っても手遅れなのではないか。
そもそも、自分が行ってどうにかできるのか。
かえって傷つけたりしないか。
それに……]
『これでいい』ん、だよね…?
[薔薇の精の言葉の響きは、自身の迷いと言い訳を正当化させる。
惑う。だから結局、行為の邪魔をするような行動は起こさなかった。*]
|
[降りた髪が微かに汗ばんだ首の辺りに張りついて心地悪い。 束ねようとして、紐をなくしたのに気付いたのはその時にだった。]
―――……、
[濃い薔薇の香、くらりと揺れる視界と微かに上がる熱は暑さの所為だけではないのか。 ―――…酔ってしまいそうだ。 思考力が落ちていくかのような…眇まるセピアの瞳が仄かに潤む。]
……?…薔薇…の…
[香りが充満しているのは一階だけだと思っていたが、 花の香は階段の先も続くようで――― あるのは屋根裏と開かぬ筈の屋上くらい、滅多に行く場所ではない。 けれどもそこに足を踏み入れたのは探し人があったからか、それともその香に惹き付けられてか。]
(350) 2011/08/06(Sat) 10時頃
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ピッパは、薔薇の香を追う。**
2011/08/06(Sat) 10時半頃
漂白工 ピッパは、メモを貼った。
2011/08/06(Sat) 10時半頃
…おい、薔薇の精。
お前…一体何を…
[日常が狂っていく。
寮内に満ちるのは、妖しく誘うような薔薇の香りと…
おかしい、何かがおかしい。
このまま流されてしまえばきっと…]
あぁ、でも…それもきっと…
[楽しいことに違いない。
染み込んだ甘い毒はそんな思いを胸の中に注ぎ込む。]
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――…ヴェスパタイン…? …大丈夫かお前…顔色が悪い…。 気分が悪いようなら医務室へ…、
[昇れば散る間際の如くいっそう、花の香は強く香る。 薔薇の香を辿って着いた先、銀髪の後輩を見つけると 一度足を止めて。すれ違う形となる相手に手を伸ばそうとしたがそれは適っただろうか。 触れればまたくらりと大きく視界が揺れて。]
(401) 2011/08/06(Sat) 22時頃
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漂白工 ピッパは、メモを貼った。
2011/08/06(Sat) 22時頃
『君の命の欠片をちょうだい』
[咲くために生気を貰う、その手段なのだと薔薇は悪びれず。]
『気持ちいいでしょう?』
『楽しいでしょう?』
[薔薇の精は銀髪の彼が喘ぐ姿を知っている。苦痛の中から快楽を拾い、慣れて壊れてゆく様を知っている。そうしてなお、その言葉を紡いだ。]
……く、
[ギリリと内側を絞め上げるような痛みに、思わず歯を食いしばる。
あぁ、こんな苦痛にさえ、魂は甘美さすら感じているのだ。]
『安心してよ』
『眠るだけ』
『もっと頂戴』
[くすくすと笑いながら蔦は絡む。]
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――…っ ぁ…、!?
[銀の髪に触れる、指先。 かくりと、足元から力が抜けるような気がした。 支えを失いぐらりと揺らぐ、それを支えたのは誰か。 揺らぎだけではなくイアンに支えられる身が大きく震える。 零れた声に混じるのは困惑と普段にはない艶めいた響き。]
…ぁ…、…すまない…。 ――…大丈夫…。
(442) 2011/08/07(Sun) 00時頃
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[アディンセル、ルーカスの名が耳に届けば イアンの腕の中でその身がまた大きく震えて]
……ぁ…、
[行かねばならないのに、足に直ぐに力が入らない。 それに――…それだけではなくて。 同室者に支えられ触れる場所からじわりと 広がっていくのは疼きにも似た熱が広がっていく。]
…すまない…、行ける…から… ――…離して…
[身動ぎをすれば擦れる感触にまた小さく震えて。 じわじわと薔薇の香におかされていく… 瞳を伏せ熱っぽい吐息を吐きながら支えてくれる者には 懇願にも似た言葉を零した。]
(451) 2011/08/07(Sun) 00時頃
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[離れた屋上の戸から見えた人影>>409]
―――…っ
[閉ざされていく扉に熱に潤んだセピアが大きく開かれて。 薄く開かれた唇はルーカスへと届くまでの声を発せずに、 掠れた吐息が切なげにその名前を紡いで消えた。]
(461) 2011/08/07(Sun) 00時半頃
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