197 獣ノ國
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[一連の流れ。物語をなぞることも出来ずに、惚けた顔をしていた狼が反応したのは、布地に触れた男性の手と同時に呟かれた言葉から。]
――…赤ずきんを被る狼なんて、聞いたことがないね。
[苦笑するのは一瞬のこと。すぐに首を傾げながら行儀悪く肩肘を立てて口角を上げる。]
“仕事だらけの日常から抜け出したい”…だっけ?
[昨日、友が打ち込ん文章を口にする。そして琥珀色を揺らめかせながら、男は笑う。]
――君は目に映る存在を信じる? 信じるのだとしたら、僕は君にとって何に見える?
狩人やお婆さん、ではないのなら。
…君は、どんな物語を紡いでくれるんだい?
[赤い頭巾の括り目を弄りながらといかけた。]
(123) 2014/10/10(Fri) 00時半頃
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□獣人集まれ
20xx年10月3日 lu:ln
赤ずきんの黒鹿
今、本屋にいるんだけど、店主さんの姿が見えない
というか、昨日から本屋に人気があった気がしないんだけど、誰か詳細知ってる?
海イルカ 鎌鼬
冗談だって。シェパードじゃないし(草食CO)
シェパード
行きたいけど、上記の状態
それこそ情報交換するべき話なのかな?
>>鎌鼬
本屋、奥にいる。扉の鍵、開いてるから着いたら呼んで
□獣人集まれ
20xx年10月3日 ho:mo
海に溺れたイルカ
本当ですか?ぜひ。
僕で良ければ神隠しの話も聞きますし。
突然どうしたんです…ありがとうございます
全力で泳いで逃げますけどね
本屋さん、色んな人が集まってましたね。
黒鹿さんもいらっしゃいます…か?
ああ良かった食べられなくて。しかし敢えて言おう、僕こそ肉食であると。【肉食CO】
□Re:集え獣人
20xx年10月2日 ys:ai
鎌鼬と呼ばれた鼬
ここには随分と肉食が多いみたいだな。
黒鹿こそ、食われないよう気をつけろ?
ふふ、実は俺も【肉食宣言】狐や猛禽類は苦手だがな。
黒鹿
わかった。向かうとする。
いるか
あの顔文字、使って見たかったんだ!と中の人が。
□Re:集え獣人
20xx年10月2日 ys:ai
鎌鼬と呼ばれた鼬
店主の不在の事なら神隠し、という噂が一番回って居るものだが。
俺は連れ去られたのではないかと考えて居る。
でなければ神の逆鱗にでも触れたのかも知れんな。
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[注意>>132にはいつも通り笑みを浮かべる。正すつもりはないらしい。
足を組み、珈琲の傍に置いた煙草を取り出す仕草も様にはなっていると言えるが、とても“お行儀良く”見えない、なんて言葉はふわりと揺れる紫煙に包まれ音になることはなく、胸中で零すだけ。
視界には少し霞む友の顔。]
――何だい。刺激が欲しいって言うから身体を張って日中君のところに訪れたっていうのに。
――…恐がる君の顔、楽しみにしてたのに、ね!
[表情を崩すことなく、男が生真面目だと感じている友人から紡がれる言葉に、肩の力を抜いて落とす。
がっかりしたような、安堵したような複雑な笑みと共に口元を緩めてにやり。]
――君は、君だね。
[思い出したように男は蜂蜜色に似た果汁を喉に通す。]
(140) 2014/10/10(Fri) 11時半頃
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[煙草の煙が途切れてしまうとまた新たに作られていく>>133
灰皿がチリッ、と小さな音を立てて一時の休憩を貰えれば、彼は口遊んでいく。
男を主人公に見立てた物語を。 まだ筆の乗っていない頁には、問いかけが。]
――選べば君がその通りに紡いでくれるのかい?
――…物語の紡ぎ手は、主人公ではなく、筆者じゃあないか。 だと言うのに、選ばせてくれるのかい?
――…なら、君を散歩にでも誘おうかな。
“主人公”からのお願い、君ならどうどのように紡いでくれるんだい?
[虚をついた言葉を、どう扱うか男は少し悩んでしまう。 それを見過ごすことも突つくことも出来ない男は曖昧に笑みを浮かべて、紡ぐは軽薄な羅列。
それでも半分程減ったグラスを傾けて、表情をそのままに目元を和らげる。]
(141) 2014/10/10(Fri) 11時半頃
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ワインはないし、葡萄味の炭酸もないけれど、柚の入った葡萄のジュースなら、あるよ? それで晩酌でもしようか?
ほら、メインディッシュも訪れた。
[男が視線を逸らした先、もう一つのアップルパイを乗せた皿が定員により運ばれる。 軽く礼を言いつつ、当然のように男は自らの目の前に皿を置くとフォークを刺す…直前。くるりとフォークを一回転。]
――お誘い、してみたけれど。君はどんな物語を書きたいんだい?僕はそれが聞きたい。それは、御伽噺のような甘やかなもの?それとも――…?**
(142) 2014/10/10(Fri) 11時半頃
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[自らを端役だと自負している男にとって、友の言葉は不可解なもの。]
――…謙虚というよりは、卑屈だね、君は。
[首を傾げながらも問いかけに開いた唇は、紡がれる物語>>146に閉ざされていく。
そしてやられた、とでも言うような眉を下げて口端は上げた表情。 やがてグラスとカップを互いに掲げれば、君には負けたよと乾杯を。
アップルパイにはアイスは乗っていなかった。可愛い小鳥が好いていたものとは違ったけれと、向かいに座る彼に倣うように一口運ぶ。
口内に広がる林檎の甘さ、パイ生地がさくりと軽やかな音を立てる。サクサクとフォークを突き刺しつつ、向かいから珈琲の香りが相変わらず鼻を突いたけれど我慢して、促すよう彼を見つめる。]
(157) 2014/10/10(Fri) 19時頃
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――…これはこれは、下手なことは言えないなあ。だって君が見ているんだろう? 僕が主人公というよりは…君の物語の中にお邪魔している気分、だよ!
[銀髪を、相手の茶色を揺らす風。 僅か灯っていた火を吹き消してしまった友人にはにかみを。追加で珈琲のお代わりを頼む時は理解出来ないとばかりに苦言。
甘いもので腹が満たされていく感覚は未だに少し理解出来ないけれど、残さず食べ終われば両手のひらを合わせる。
会計の際に流れるように支払われる代金は二人分。]
君、僕のこと甘やかし過ぎじゃあないかい?
[そんなに歳も変わらないのに、なんて笑いながらと好意にはちゃっかり甘える。礼を言いつつ、誘われるまま辿り着いたそこは、公園だった。]*
(158) 2014/10/10(Fri) 19時頃
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―公園―
[思っていたよりもカフェで時間を使っていたらしい。 ベンチに腰を下ろしていても変わることのない日差しに双眸を眇めていた時、宙を舞うペットボトル>>148を片手で受け取る。]
お揃いね。こうも揃って同じものを頼むのは新鮮だね。
[なんせカフェで珈琲を頼む男だから。そんな理由を裏側で付けながら一言。 本日2度目の礼と共に触れ合うボトルに、にんまりと唇を吊り上げる。]
いつもと違って悪くはないさ。いつも通り君と楽しむ葡萄酒は勿論好きだけれど。
[甘酸っぱい液体で、僅か火照った身体を冷やしていく。]
(159) 2014/10/10(Fri) 19時頃
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[仕事に精を出す彼とこのように外で言葉を交えることは、何処か懐かしい記憶のことのように思えた。
会話は心地よいリズムで流れていく。髪色について話題が流れれば「そう言えば赤かったね」なんて口にし「似合っていたのに」なんてその頃とすっかり変わってしまった彼の様子を面白おかしく揶揄っただろう。
いつまで続くのだろうか。ベンチに二人。ペットボトルを供に口を開いて、止まる。
横へと視線を移した際に垣間見えた表情は、>>149太陽よりも真剣味を帯びたように思え、男は彼の唇をただただ眺める。]
――僕を?
[転んだ言葉はまずそれ。主人公を彼はどのように捉えているのだろうか。小さく唸りつつも、笑みを浮かべた男は答える。]
(160) 2014/10/10(Fri) 19時頃
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君と二人旅…か。なかなか面白そうだね!
男二人なんてむさ苦しいけれど、間近で僕に対する君の観察日記を聞きながら歩くのも悪くはない。
[二人を纏う空気はカフェにて男の頬を撫でたそれとは全く異質のものだというように感じた。けれど、それでも男は口を閉ざすことなく紡ぎ続ける。]
――君の紡ぎたい物語に、僕がいるのかい?
曖昧な表現は嫌いじゃあないけれど、ね。 この話が冗談でないのなら、御伽噺でも無いというのなら…、
――選ぶ言葉を間違えているよ、トレイル。
君がなりたいのは、筆者なのかい?それとも主人公? 端役で満足?
[筆者だと喩えた人に、“主人公”は問いかける。それは余りにも行き過ぎた行為かもしれない。
それでも男は彼に問いかける。]
(161) 2014/10/10(Fri) 19時頃
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――君が、どうして僕を誘ったのか…分からないけれど。
旅に出るのは悪くはないと思っている。もとより出ようかと考えてもいたんだ。
いくら考えても、この魔法が…呪いが、解ける気配はない。
御伽噺らしく、真実の愛でも知れたら解けるのかと思っていたけれど、それならおかしいだろう?
僕には、愛してる人がいる筈…なのに。解けないんだから。
だから一層旅にでも出て、確かめてみるのも悪くはないし、イイかもしれないから、行ってみたいとは、思っていたんだ。
――でも、それに君が僕を誘ってくれた理由が、僕には分からない。
…君には、君を育ててくれたおばさんやおじさんもいるのに。
(162) 2014/10/10(Fri) 19時頃
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[いつの間にか、両手で包み込むようにして持っていたペットボトルを握り締めて男は笑う。]
――たとえ話に熱くなり過ぎてしまったよ。こんなに暑いのが良くないね!
[空気を切り裂くように態とらしく作った調子の良い声は相手にどう思わせただろうか。
注意されたところで男は訂正するつもりも無いのだが。]
――君との旅。素敵だとは思う。君の心が変わらなかったのなら、ついていくのも一興だろうね。
だからもし、変わらずに思ってくれたのなら…そうだね。
(163) 2014/10/10(Fri) 19時頃
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今度こそ、君が、僕を、見つけてよ。
[男は立ち上がる。そして彼を見下ろしながら猫のようだと喩えられた笑みを向ける。]
忘れ物を返しに行ってくるよ!
[そして頭に被せられた頭巾を指しつつ、口早にそれだけを告げたのなら、ご馳走様と一言残しその場を後にしようと踵を返す。
たとえ止められたとしても、動きを拘束でもされない限り、足を止めることもせず飄々と足を前へと赴けただろう。]
(164) 2014/10/10(Fri) 19時頃
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―公園―
[そのメール>>174が届いたのは昼に差し掛かる頃より後>>159 つま先を公園から一歩外へと向ける途中>>164
震える端末に指先を伸ばす。同時につるりとした表面の指輪が触れたけれど見向きもせず、素直に取り出したのは携帯。
表示された宛先を確認する。]
(180) 2014/10/10(Fri) 22時半頃
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―――――――――――――― 差出人:黒ヤギ 宛先:クラリス ―――――――――――――― Re:君こそ配達は順調? 20xx年 10月4日 ――――――――――――――
被せられたんだよ
僕が捨てないとでも思っているのかい? 君も大概ロマンチストらしい
人の持ち物…それも女性のものなんて持ち歩く趣味はないから君に返すよ
残念、呪いは一つで十分さ
夕方か夜ね 君と初めて会った場所 そこでいいかな? ――――――――――――――
(181) 2014/10/10(Fri) 22時半頃
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[数行、手早く打ち込めば再び足を動かそうとする。 方角は商店街の方。訪れることが出来たかどうかは相手次第。]
(182) 2014/10/10(Fri) 22時半頃
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□獣人集まれ
20xx年10月3日 lu:ln
赤ずきんの黒鹿
…このコミュ怖い。(怖い)
海イルカ
ごめん、やっぱり止めておく
仕事出来るかは別として、店番がいた方が良いだろうし
…シェパードに齧られないようにね
鎌鼬
神隠し…まあ、分からなくもないけど
店主さんも実は獣だった…それは流石にないか
□集え獣人
20xx年10月4日 ss:ft
シェパード
あれ、肉食COの流れ?種族的な意味でも僕は肉食だけど
ああ、でも、鼬とか鹿とか、野性味あふれる者はあまり食べる気にならないかな。
食べやすい物が好き。ほら、飼い犬だから
鼬
もう、戻らない道を進むと決めた
自分の幸せを追っても、いいんだよね
僕らも
鹿
本屋さんが?
神隠し、本当にあるのかな
あるとして、神隠しがあるなら、どんな人たちが消えてるんだろう
イルカ
ごめん、いろいろと混乱してる中で、結局収まるところに収まれたから
ん、でも、齧っても良いなら、会うのもいいかも?
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―公園―
[向き合う瞳>>193を真っ直ぐと捉える。相変わらず照りつけるような陽射しは男の背も灼いたけれど、気にはならなかった。
友の言葉を耳で拾うために。決して聞き漏らすことのないように動かすのだ。]
――…そう、それが君の答えなんだね、トレイル。
[彼が主人公に憧れる理由。
彼の髪色が男の被る頭巾のように鮮やかであった頃から知っていた男は、彼の家庭事情についてどのくらい知っていただろう。
御伽噺の主人公へと思いを馳せる言葉を、筆者として、主人公として、端役で満足だと言う彼の口から零れる言の葉に、目元を和らげる。
誰に見せていたでもない、猫でも鶴でも山羊でもなく、狼とも違う…彼の友としての笑みを浮かべた。]
(204) 2014/10/11(Sat) 00時半頃
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――……。
[言葉は紡げなかった。代わりに唇には穏やかな弧を乗せていただろう。]
――また、戻ってくるよ。
[やっと音となり言葉と形を成したのはそんな言葉。 追い払うような仕草に戯けた態度を取ろうとして失敗。
いつも通りの仕草をする友人に、男もまた同じように片手を上げる。
決して振り返らない。けれど、耳元を微かに揺らした音>>197には一度]
――…ありがとう。
[面と向かって告げることの出来なかった礼を、捻くれた男が口にしたのは、公園から踏み出した後。]*
(207) 2014/10/11(Sat) 00時半頃
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―公園の後・自室→夕方・商店街―
[商店街へ足を向けたものの、忘れ物をした男は一度自身が住まうアパートに戻る。
自室に戻れば筆を取ろうとしてやめた。 代わりにチェーンを取り出し銀色の輪っかに通してやった。 無造作に詰め込んでいく。
部屋にあったのは2枚の紙切れと、空になった一本のペットボトル。そしてまだ何も綴られていない空色のレターセットと、本屋にて取り寄せたファウストが一冊。玄関には、透明のビニール傘。
獣耳が生えてくる前日から今日に至るまで、男が手に入れたものを全て置いていく。
まだ半分ほど残る僅か温かくなったペットボトルも、全て。
そうして商店街へ向かう道すがら、様々なことを思い出す。]
(210) 2014/10/11(Sat) 00時半頃
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[時計の家に住まう蜘蛛のこと、その蜘蛛の罠に自ら捉えられた夢見鳥。
白を纏う人は、「0時を過ぎても解けない魔法」だと確か言っていた。 そして、追いかけるのだと。
飛ぶことの出来ないと告げた金糸雀は、足を動かし微かながらも自らの翼を動かし空に近付けたという。
彼女の紡ぐ物語の先は分からないけれど、探し人と出会うことはあったのだろうか。 それは何れ知ることが出来るのかは、分からないけれど。
男よりも幾分も小さな背中。 華奢な身体。細い指先。あんな少女ですらも誰にも縋ることなく、唄を紡いでいくのだろう。]
(211) 2014/10/11(Sat) 00時半頃
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[御伽噺を強請っていた少女は、自身の物語をどう紡ぐのだろうか。
夢を望む姿は男が昔、思い寄せていた人の姿に酷似していたものだけれど、彼女はひとりでも歩き出せる力があった。 男は彼女を侮っていたのだ。
彼女の腕を、夢の世界から導き出すのは向日葵のような存在なのだろうか。それは男の知らぬところではあるけれど、しあわせであれば良いと思う。
砂糖二つ分を足した珈琲ならば、男だって口に出来るかもしれないから。葡萄柚を飾りには否めないけれど。
花屋の店先にて少し言葉を合わせた学生は今頃どうしているのだろうか。
随分と憔悴し切ったように見えたけれど、男の残した土産を彼を安心させることは出来たか。
掲示板に綴られた獣人と近い存在であるのことは知っていたけれど、結局再び会うことは出来なかった。]
(212) 2014/10/11(Sat) 00時半頃
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[会うことが出来なかったといえば、本屋で働く青年もそうだ。 約束を取り付けた割に、連絡も無しに姿を消してしまった。
妙な噂が出回っているから不安に思うものの、少女や少年達のために早く戻って来てくれればいいと思う。
そして、少年の一人。鹿角を持つ少年に押しやって来た赤ずきん。
彼がそれを身に纏うのは想像しにくく、酷く不似合いだろうな、なんて見たこともない勝手な感想を抱く。
大人しそうな顔をしている割に随分と“素直”な彼とのやり取りはなかなか新鮮であった。
本を好むのは男も同じ。もっと早く会えていたら、なんて今更なことを少し思って苦笑した。
手紙を綴ることも考えた。けれど、やめた。手紙を送る人は素敵な人らしいから。それは彼女の主観であるようにも思うけれど、残るものは何も無くていい。今はそう思ったから。
けれど削除出来なかったから、未送信フォルダにひとつ、隣人宛の物を残して置いた。もうひとつは綴る前にやめた。]
(213) 2014/10/11(Sat) 00時半頃
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[御伽噺の筆者は一人で十分なのだ。男は時間に縛られる白ウサギではない。彼女の言葉を借りるのなら、“チェシャ猫”なのだから。 いつか、なんて口約束は軽薄なままで良い。
ああ、そう言えば花籠を頼まれてくれた彼には一言くらい礼を言いたかったかもしれない。
雨の中傘もささずに寝こけていた不審な男に声をかけてくれた青年。 雨がすきだと言った彼に対して晴れた日での再会を並べて見送ってしまったけれど、彼は今日の空に何を思うのだろう。
そして、友のことを。思い描く。 共に旅を、なんて。
一瞬、それも悪くないかもしれないと手を伸ばしかけた事実を、男は口にすることは無いだろう。
真実を映し出す鏡を、相手の瞳に置き換えたとしたら、彼の目に映る男は正真正銘、人間あらざるべきだというのに。]
(214) 2014/10/11(Sat) 00時半頃
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小鳥は男を狼だと。彼は、男を友人だと、告げた。
それが、人か獣か、どちらなのか。 惑う男の胸にどれほど響いたのか、きっと彼らは知らない。
全てを捨ててしまえたら、また新たな物語を紡げるのだろうか。
それは分からないけれど、今ある自分の中に絡み付く柵を全て捨てることが出来たのなら、世界を知るのも悪く無いと。
だからこそ、彼女にとても会いたくなった。
同じウソつきの末路を、自分に一番近しいと感じた少女と、言葉を交えたくなった。
そう考えていたところで商店街へと、辿り着く。]
(215) 2014/10/11(Sat) 00時半頃
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――…君“も”迷子?
[少女の頭巾を被った男は、少女と出会ったのならあの日と同じ言葉を、彼女>>208へと向けただろう。
あの日とは異なって、男を照りつける茜色はきっと、男の身体を夕日色に染めていただろうけど。]
(216) 2014/10/11(Sat) 00時半頃
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