137 海の家 『nave Di mare』
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海はキラキラと光り、砂浜はどこまでも白く。
雲は気まぐれに流れ、空は海と溶け合うよう。
夜には星が見下ろし、月の船はたゆたい。
それは絵にもかけない、美しい場所がありました。
その海の側に打ち上げられた船は
どんな航海を見せてくれたのでしょう。
(#0) 2013/08/21(Wed) 03時頃
ようこそ、海の家 『nave Di mare』 へ。
ここは都会の喧騒からはなれた小島。
知る人ぞ知る、リゾート地です。
目の前に広がる海、照りつける太陽。
勉強の気晴らしに訪れた貴方も。
いいバイトがあると訪れた貴方も。
毎年訪れる貴方も。
将来に迷う貴方も。
スランプ中の貴方も。
スケッチブックを持ち歩く貴方も。
この 『nave Di mare』 でひと夏の思い出を作りませんか?
(#1) 2013/08/21(Wed) 03時頃
まだまだ、夏は始まったばかり。
ひとときでも、貴方の思い出になりますように。
(#2) 2013/08/21(Wed) 03時半頃
[メールをみて、少し慌てる。そういえば誘われたまま、何も言ってなかった。
文面を見るに、いろいろと予想はされてそうだけど、焦りながら返事を打つ。]
「TO:トレイルさん
Title:すみません
もしかして、待っててくれてましたか?
お手伝いもですが、ちょっと、予想外のできごとが。
ふわふわがきらきらになりそうなので、
俺、頑張ります。
トレイルさんも、頑張ってくださいね;)
今日はわからないですけど、明日は、きっと行きます。」
[ピッと送信。]
……顔文字、可愛い。超意外。
[それに合わせて、絵文字や顔文字はあんまりつけたことはないけど、つけてみた。]
[キッチンに向かいながら、メールを一通。]
「TO:トレイルさん
Title:無題
いきなりすみません。
緊張して、女の子に触れないときって
ありますか。」
[トレイルに一体何を聞いているのだろう。
そんなことは思うけど、こんなことは今までなかったことで。
友人に相談なんてしたら絶対バカにされる。
そもそも相談とかあまりしないのだけど。
気を落ち着かせるためなのか、送らずにいられなくてそのまま送信してしまった。]
―五年前の日記―
△月◎日
今日は珍しく雨、台風も近くに来てるらしい。
お客さんがいなくて良かった。
そう思っていたら、たった一人ずぶ濡れになってやってきた。
オレンジの髪、胸元のタトゥー。
恐い見た目の割に優しい人だった。
雨戸を閉めるの、全部手伝ってくれたし。
夜には本当に嵐になって、雷が鳴るわ停電するわで。
だけどずっと傍に居てくれた。
肩を抱いて寄り添って居てくれたの。
好きになるのは一瞬だったわ。
時間なんて関係なかったの。
でもそれはそんなに簡単なものじゃないって。
アタシは、あのヒトの瞳を初めて見た時からわかってた。
△月#日
あのヒトに告げたの、アタシの事。
隠さずに全て、嫌われることも覚悟で。
だけどあのヒトは何も云わずに、私を抱きしめてくれた。
それから立った一度だけ、額に唇を寄せてくれた。
その日の夜、アタシたちは一緒のベッドで眠ったの。
やましい事なんて何もなかった。
ただ、寄り添って眠ってくれた。
部屋の歌鳥たちはきっと知っていたから。
だから鳴かなかったのね。
次の日の朝、あのヒトはいなくなっていた。
家中を探した、隅から隅まで。
暫くして玄関に、数日分の宿泊代と書置きの手紙が置いてあったのを見つけた。
アタシはそれをみて、泣く事しか出来なかった。
嗚咽はひとつも出なかった。
だって、それは初恋だったから。
『タバサへ』
大きくなったお前を見られて、よかった。
お前がどんな姿をしていても、お前はお前だよ。
ありがとう、ごめんな。
Hector=Estate
『ヘクターおにいちゃんへ』
大切な人が、できました。
アタシはアタシなりに頑張っています。
貴方もどうか、お元気で。
Tabitha=Estate
[潮風に吹かれるタオルの合間にはさまれたスマートフォンは、数件のメールを受信していた。
男がそのメールに目を通したのは送信された時間の少し後、今更返事をしても遅いかも知れぬと、しかし指は自然と動き]
『TO:サミュエルくん
Title:無題
女の子に限らず沢山あるよ。
緊張してマイクに触れないときも。
でも、触れられないってことは
それだけ大事にしたい、ってことじゃないかな?』
……サミュエルくんなら、大丈夫。
[文字にはせず、ただ呟くのは願いか祈りか。
返信の文面は、あっという間に電子の海へと飲み込まれた**]
[ポケットからスマフォを取り出し、返事をしようと打ちこんだ文字は、急いでいるのでとても簡素なもの。]
『TO:トレイルさん
Title:無題
俺、できました。
彼女、よりもむしろ、
大事にしたい人。』
――…… ありがとうございます。
トレイルさん。
[スマフォをポケットに滑り込ませながら小さくつぶやいて、ようようと歩き出す。
さあ、早く戻ろう。
そんなことを思いつつ、キッチンの、甘い香りに包まれた。**]
いかがでしたでしょう?
皆様、このリゾート地で夏の思い出を作ることが出来たでしょうか?
大切なものを見つけたり。
道を探し続けてみたり。
がむしゃらに書きなぐってみたり。
弱い部分を見せ合ったり。
自分も知らなかった顔を見つけたり。
想いを告げることが出来たり。
きっと、心の中にキラキラした何かが残った事でしょう。
(#3) 2013/08/24(Sat) 02時頃
もうこの夏は過ぎてしまうけれど。
過ぎてしまう時間は取り戻せないけれど。
記憶は、想いは、この海の家は。
きっとこの場所でずっと、貴方がまた訪れてくれる事を待っています。
(#4) 2013/08/24(Sat) 02時頃
ようこそ、海の家 『nave Di mare』 へ。
ここは都会の喧騒からはなれた小島。
知る人ぞ知る、リゾート地です。
この 『nave Di mare』 でひと夏の思い出を作りませんか?
(#5) 2013/08/24(Sat) 02時頃
薄いチラシがひとつ、風に運ばれていく姿は。
まるで雲のようでもあり、花火のようでもあり。
鳥のようでもありました―――……
(#6) 2013/08/24(Sat) 02時頃
Thank you...
*END*
(#7) 2013/08/24(Sat) 02時頃
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