217 【突発誰歓】幸福の壷【十二支騒動記】
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『例え治せたとしても、治せるとしても』
[鬼気迫る男の中で黒蛇は顔を愉悦に歪める。]
『吾等が邪魔する故、させぬがな』
[くつり、くつりと笑い声を漏らした。]
『しかしまあ、蛇とは動きが悪いものよ』
[そういうなり、黒蛇となっていたものは形のなき物に変わろうとするが。
光のせいでそれが叶わぬ。]
『ええい、忌々しい!!』
[このような物、さっさと捨ててしまいたい。
さすれば、自在に形を取ることができると云うに。]
[報復を――と、黒蛇は言う。
応―――と、黒亥は答え。]
『邪魔なのではないか?』
『その、神の力にも似た片鱗は。』
[引き剥がしてやろうかと、誘いの声は甘く。**]
『嗚呼、忌々しい 忌々しい』
[器を蝕むことはおろか、形の自由もないとは。
甘美な誘惑が聴こえれば、思わずすがりそうになるが。]
『すれば、此度は汝が』
[吾と同じ様にならぬかと、同輩の身を案ずる。]
―神が倒れる前―
[幾ら忌々しい光が在れど、此れだけ蝕めたのであれば、神を眠らす呪い位は掛けられようか。
黒蛇は思うや否や禍々しい気を、眠ろうとする神へと放つ。
それは神の中へと入り込むと、深い深い眠りにつかせる。
まるで呪いのように。
思ってたより巳と同化していたのか、それとも同輩が手を貸したのか。
神を眠らす事に成功した黒蛇は、満足そうに舌を出した。*]
『神に選ばれし十二の支』
『それらの力も、やはり強い』
[とはいえ神よりかは些か弱い。
構わぬ。生身の人間より強いならば、構わぬ。]
『だがやはり神の支』
『吾等を邪魔するか』
『ならば仕方あるまい』
『一人づつ、眠りの呪いを掛けてやろうぞ』
[邪魔をしなくなるまで。必要ならば全員を。
神と同じく、深い深い眠りの底へ落とそう。]
『して同輩よ 此奴等の中で一番厄介な者は誰か判るか?』
『一番邪魔な奴等から、吾は呪いを掛けようと思うのだが』
[黒亥に尋ねた後、忌々しそうな顔をして付け加える。]
『……嗚呼、だが卯だけは止めてくれ 巳がかなり意識しておる故に』
[巳は礼儀を尽くし、恩あるものには恩にて返す事を矜持としている。
集う前に貰った兎餅。礼を言えておらぬ事を気にして居るらしい。
取り込もうとしたがどうしてどうして。
巳の意思が強いのか、どう足掻いても其の矜持を呑み込むことが出来ず。
卯に呪いを掛けてしまえば、吾の手元を離れ、己の悪事に気付き、己に呪いを掛けるやもしれぬ。
其だけはさけねばならぬ。故の頼みである。]
『やはり憑いておったか!!』
[申告してきた清々しい、厭らしい気に顔を憎しで歪める。
だが、それも僅かな刻。やがてくつり……と笑いだした。]
『……だがまあ良い 探す手間が省けたと云うもの
炙らずとも出てくるとは……くくく、愚かな娘よ』
[見つけ出される前に、落としてしまえ。
そうは思ったが、すぐにその考えを改める。]
『吾等に与する者であるならば、そう易々と落とせぬか……
同輩よ 彼の者は如何んとするや?』
[落とした者であるならば、本にそうであるか吾には判るのだが。落とした後で気付いても、それは最早意味無きこと。]
『何を心配することがある?』
『――のぅ、同輩よ。』
『永い時を経て、忘れたか?』
[忘れたか?]
『我らの「罪」を。』
『神が定めた、「罪」を。』
[罪の重さでいうならば、黒亥の方が重く。]
『………なに。亥は既に我のもの。』
『安心すると良い。』
[もうひとつ。
思い出してはならないことがあるから。]
『……のぅ、「同輩」?』
[殊更に強調し。
黒き気であらば。そぅと伸ばして黒鱗に触れられるだろうか。
赤き舌、吐息。
感じる距離で、――――くんと匂いを嗅ぐ。]
『さぁ、我に。』
『罪……』
[遥か彼方の記憶。吾等の罪。己の……――。]
『神が定めた、傲慢で身勝手な「罪」』
『……もはや、思い出すことすら、叶わぬわ』
[遠く遠く、刻すら忘れてしまうほど。
数えることすら、叶わぬほど、気が遠くなるような……――。]
[敢えて。黒亥は返答を先伸ばしにする。
全ての神光は、砕き散るもの。
同胞も、同輩も、不要なもの。
いつだって黒亥は―――――――己しか、信じない。
信じていない。]
[神光あらば、きっとこの黒蛇も裏切るのだろう。
全てを奪えなかったと同じように、「邪魔」をするかもしれない。]
『……… ゃ、だ。』
[それは嫌だと小さく独りごち。
主の持つ全てを奪うのは、我だと―――赤眼は焦がれるように黒蛇を見詰めた。]
信じていないんじゃ、なかったの?
[黒亥に届いた幼子の声。
聞こえない、 ふり。]
『……では、汝に託そう』
[既に意の中だと言われれば、それに安堵したかのように息を付き、光を渡す。
確かに、吾よりは此の者の方が力は強く。
――それが、罪の重さなの差かは知らぬが。]
『何か』
[呼ばれればそれに応え、近付くのを払わず、されるが儘になりながら。]
『……応』
[恥じる仲ではなかろうと尋ねられれば、返事を返し。
相手が望むものを差し出すだろう。]
[焦がれる様な視線の意味はわからず、同輩を疑うということを知らぬが故に、
延ばされた返事の真意も汲めぬ愚かな黒蛇は、何も知らずに提案す。]
『呪いの気を吸いとった酉 厄介かもしれぬなぁ……』
[そう酉を見つめながら、どうするかと尋ねてみよう。]
[遠い時の彼方で定められた「罪」。
覚えているのは自分ばかりか。
故に。寂寥が増す。
渡しを助けるかのように鼻を動かし、牙を掛けた。]
『そうだ。 ――それで、良い。』
『我が同輩よ。 黒蛇、よ。』
『……襲え。』
『見定めるを待つなら、そうすると良い。』
『なに。「同胞」は他にも居るだろう?』
[それは。代わりが居るという意味か。
それとも、仲間を増やせという意味か。
どちらも取れる言葉を残し。
神光に触れた。]
[掛けられた牙を拒まず、そのまま渡す用意をしつつ。
先程言われた「罪」を思い出そうと、遥か昔の記憶を掘り起こす。]
『吾等の罪は……――』
[忘れたくとも、忘れられぬ筈だったのに。
憎悪に負けて、記憶すら飛び。]
『……吾等は 存在するだけで罪なのか』
[神の定めし、傲慢な決まり。
吾等に全ての罪を擦り付け、「悪」とした。
黒蛇に思い出せるのは、今はそれだけ。]
[吐息を溢すは安堵故。]
『誰が邪魔者か、呪いをかけるべきは誰か……』
[黒鱗を包んでいた黒気は、今は神光を包み。
ハハと乾いた声が洩れる。]
『なぁに。主が知っておるだろう?』
[白餅の。
けれど、黒亥の牙は言霊の強き香りに惹かれ。
水音を 消すだろう。*]
[どちらにも捉えられる言葉を聞き。
それが前者の意味だと捉えた黒蛇は、にたりと笑った。]
『……応 代わりは幾らでもいよう
最後に吾等が立っておれれば、それで良い』
[やっとこの、忌々しい光から解放されることを喜びながら。
次の呪う先を、決めた。]
『誰が邪魔者か……』
[くつり、くつり]
『それもそうだな』
/*
つまり襲撃はこちらに任せると言うことでOKですか?
/*
お魚だろう紅羽ねーさまにセットはしてますが、
そちらのセットはお任せで。
揃えます?
システムに任せます?
/*
幾らなんでも、最初に占だろう子のを落とすのはガチすぎるかなと思うので、此方も酉のにセットします。
これ以降はどうしましょうか。
各々でセットするのも、それはそれでまた一興かと()
/*
子は魔術師な気もしてるのですけど、どうでしょう、ね?
面白そうな方向で!w
セット先、了解です。
襲撃結果のチップとか気にされますか?
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