3 ビー玉坂〜卒業式の前に視るその場所は…
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[困った顔に、帽子の奥から鋭い視線を向ける。]
お前のために言ってるんだ。
そうやって、お人よしの血ばかりを吸いたいか?
嫌だろうが……。
[それは同じ衝動をもっているからこその、助言ではあるが…。]
――血なんか
吸いたくない、んだ
身体――勝手に、……
[唇を、噛む。]
[二人の会話に口を挟むことはないまま。
ただ、ぽろりと零れた名前に、低い声の主が思い至る。]
……ああ。
[あのおじさんか、と、ぼんやり思う。
飼育小屋関連で世話になることは多かった。]**
当たり前だ、血なんか吸いたくない。
同じだ。
同じなんだよ。
[その吸ったあとの虚しさも……。]
――……、
……嗚呼、
[そうだ。
そうなのだ。
酩酊の後の、――自己嫌悪は]
……、…―― でも、…どうするんだ。
…血なら、…やるって、謂っても。
お人よしの血が吸いたいなら、そうすればいい。
ただ、そのほうが苦しいだろうと思っただけだからな。
あと、鬼になる決意はついたよ。
お前らみんな、護ってやるよ。
はは はは
はは はは
鬼は、やっぱり、化け物になるしかないなぁ。**
――……、
[見えないところで]
[表情を、痛みを堪えるようにゆがめた。]
[鬼になりきれない鬼。]
[半端な、黒い染み]
……、――バーニィ……
[渇く、わらい。
何も、謂えなかった。]
―屋上から降りた頃―
……みんな結構度胸あるね、こんな中を散歩中みたい。
ほとんど連絡係に使っちゃってごめん。
[あちらこちらで人を見かけたのだ、
昼に一度戻った保健室とは様子が違うだろう。]
そっちは、大丈夫?
音楽室でまた騒ぎがあったけど、今は落ち着いたらしい。
……今度こそ、そっち戻るよ。
皆わりと自由だよねぇ。
[聞こえてきた言葉に答えながら、
クスクスと笑う声に、呆れに近い響きが籠もって。]
気にしてないよ。
こっちはこっちで動いてないんだから。
[そろそろ動かなきゃ行けないな、とかちょっと思った。]
ん、対して変わってないよ。
ドナルドとキャロライナが戻ってきたくらいで。
[他はまだ保健室にはいないと言外に言って。]
…待ってるよ。
…… 護る?
[何、から。 誰 から?]
…… な。 ケイトは見つけろって
でも、
黒い染み は ―― 彼女は 何処なんだろう。
―保健室に着く少し前辺り―
こういう時は単独行動した奴から危ないのにねえ。
[声が笑ってしまっているので冗談とは分かるはず。]
キャロ、ちゃんと人と居られる様になったんだ。
……良かった。
[詳細は語らないものの、彼女は立ち直ってくれたのだと知る。]
先生達は……まだ戻って無いんだね。
一番頼りになるはずの人がこれじゃあ、ばらばらにもなるさ。
[そんな他愛も無い会話の後、姿を現しただろう。]
[――…
ケイト。
ケイト。
――それは誰の 名前だったか]
――…、 …?
[思考を途切れさせる、誰かの声。]
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― 保健室 ―
腹黒宣言するような奴と、ウマがあいたくねぇよ。
[心底嫌だという風でなく、冗談の色を強くキャロライナの言葉に乗った。ディーンが眉間に皺を刻む様を、やっぱりプリントが10枚くらいはさめそうだななどと見やっていると、かかる声。嗚呼と頷く。]
まぁ、吸血鬼になったりする訳じゃねぇみたいだしなぁ。
[吸われてもいいと思った理由、訳。やはり皆までは言わない。 言えないからこそ、400mlまでと伝えた。 言えないからこそ、ドナルド本人は知らないが、一番この世界の侵食が少ないのか――嗚呼、死んでもいいと思っている人間こそ、そうならない世の常なのかもしれない、が。]
(742) 2010/02/28(Sun) 13時頃
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[やがてやってきたミッシェル。 その話を、シガレットチョコを1本食べ切りながら聴く。]
結構、思ったより人のこってんのな……―――
[少し考え込むような仕草を見せる。]
おぅ。キャロルも気をつけて行けよ?
[キャロライナがメアリーを探しに行くならば、やはりついて行くという選択肢なくその背を見送った。その直後、ケイトの声が聴こえて、駆け出すミッシェルに、ドナルドは小さく肩を竦めた。]
(744) 2010/02/28(Sun) 13時頃
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―保健室を出て直ぐ―
[ごぼごぼと水の中で何かが暴れるような音。
常とは違い届くのはその音だけ。
問いかけられてもしばらくはその音以外何も聞こえないだろう。]
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さて、俺もちょいと出かけてこようかね?
[とんっと、壁から背を離した時か。 メアリーが帰ってくる。 対応はディーンが。 だから、特にそれに関しては口を挟まなかった。
その間も、足は、保健室の外へと向かって動いて……―――。]
(750) 2010/02/28(Sun) 13時半頃
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― 保健室→ ―
この状況で愚問だろう。
[ディーンに呼び止められて、振り向いた。 浮かぶ表情は苦笑い。さっき着いていけばよかったといいたげな。]
―――……残念ながら、俺の身は1つしかねぇからなぁ。
[全て守ろうとも思わない。 かといって、特別誰かを守ろうというわけでもない。
―――……唯、自分に出来るだろうことはする。 それだけだと、示すように保健室の扉に手をかけた。]
(760) 2010/02/28(Sun) 13時半頃
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― 保健室→南棟1F廊下 ―
―――……だろう?
[正しくディーンの応えを冗談と受け取ったのか。 ただ、単にドナルドの気質からか、にぃっと笑ってみせる。]
メアリーは、どうすんよ? 腹黒元会長と一緒に此処にいるかぃ。
[保健室の外に出た段階で振り返り、メアリーに問う。 その間に、ヘクターが南棟にやってくるなら、気がつけるだろうか。]
(767) 2010/02/28(Sun) 14時頃
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[メアリーも共にと言うなら、ラルフも一緒か連なって歩き出そうとした。]
ん?ありゃぁ……―――
[購買へ向かう人影が見える。 少し考える間があり]
わりぃ。先、行っていてくれねぇか? ちと、購買の方行ってくる。
[2人か、3人か、グランドに向かうだろう人に告げる。 ディーンに、服の代え持ってきてやらぁと、ついでに。 セシルの時を思い出し、いるというなら、サイズはきちんと尋ねるつもりだ。]
(779) 2010/02/28(Sun) 14時半頃
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――ケイト。
……ケイト。
――鬼も
…ケイトを探す?
――何処に居る?
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― 購買部 ―
[舞い戻る形になるか、購買部へとグラウンドに向かう組と別れて足を踏み入れる。]
なにやってんだ。 応急手当もすぎんだろうが。
[ガムテープで傷を覆っているヘクターを見つけ、呆れ顔で話しかけた。]
(788) 2010/02/28(Sun) 14時半頃
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ふざけてる
―――ふざけてる
鬼は、 鬼を、
――鬼。
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― 購買部 ―
やけに気がたってんなぁ……――― 何かあったんかい?
[いつも陽気なイメージがあるカポエイリスタの、どこかささくれ立ったような言動に片方の眉を上げながら問う。]
俺が、包帯巻いてやってもいいが。 そりゃ、剥がすほうが大惨事になりそうだ。
[ガムテープ巻きの切り傷部位を隻眼で見ながら、ヘクターの近くに腰を落とした。]
(797) 2010/02/28(Sun) 15時頃
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― 購買部 ―
いやいやいやいや……――― なんもなかったんなら、そんな怪我してねぇだろうが。
[嘘に対してでない、少しの違和感を覚える。]
ヘクター。お前、眼に問題でもあんのか?
[それは、バク転の後の言動ではっきりとする。 思い出すのは、ドナルド自身が隻眼となった後、距離感を上手く計れずにいた時のこと。 先ほど感じた違和は、視線が少しずれていたのだと、悟った。]
(808) 2010/02/28(Sun) 15時頃
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― 購買部 ―
[ヘクターの剣幕に、ドナルドは隻眼を見開いた。 次に、嗚呼と息を吐きながら、自身の赤い髪を掻く。]
事情は良く分かんねぇけど。 あんま、自分の所為だって思うなよ。
まぁ、無理なんはわかっけど……―――
[クリアになっていた思考が、また過去に少し引きずられる。指先が落ちて、自身の首筋に落ちる。
―――……あの時、先頭を走ると言った『 』を、もっと強く止めていたら。
自分の所為だと思いたい。でも、自分ではどうしようもないことも世にはあることも知っている。]
(830) 2010/02/28(Sun) 15時半頃
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