270 食人村忌譚
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お礼か……そうだな 医者先生にご無沙汰してますって伝言と、先生にまた暇な時にいろいろ教えてくれって伝言でどうかな
俺はあんまり会う機会がないからさ
[男的には滅多に見られない車椅子をこうして見せて貰えているだけでも満足なのだが、流石にそれだと困るかもしれないと、そう提案する>>152]
(167) 2017/11/24(Fri) 01時半頃
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[ちなみに、男がミナカタを医者先生と呼ぶのは親父の影響だ 親父が生きていた時には良く薬を貰いに行ったものだが、親父が死んでからは特に怪我もなく疎遠になってしまっていた そして石動を先生と呼ぶのは文字通り昔は進のように教えを受けていたからだ]
(168) 2017/11/24(Fri) 01時半頃
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[返ってきたススムの申し出>>162に、一瞬眉がふわりと上がる ススムは今、学んだものを、与える立場になろうとしている 少年の成長を感じ、ゆっくりと頷いた]
ごめんなさい 殿方としては、もう磨かれていたようですね とても、立派な志(こころざし)だと思います 断る理由はございません ぜひ、よろしくお願いいたします
[私ももう、歳ですし、なんて余計な事を付け加えたのは、 彼から感じたような気がする、眩しさのせいだったのかもしれない 櫻子はどうしたか 江津子の方は、学び舎へと向かうのならばこちらも頭を下げ返し、 彼を見送ったことだろう*]
(169) 2017/11/24(Fri) 01時半頃
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そっかあ。 おそろい、良かったね!
猫さんと、おそろい。 私も、おそろい、なれるかなあ。
[江津子の返答に何かしら納得したように言い、腕の中の猫の顔をじっと見つめた。 猫に移った赤は、更に娘の襟元にも少しく移って、だがそれを気にする様子はなく――そもそも最初から猫に付いていた泥やら葉やらについても、意は介さずと]
おべんきょう。 頑張ってね。
[ふと焦り出す進の様子には、そう微笑みに応援の挨拶を向けた。彼が向かう、通う其処に、娘はいた事がない。無論、不要、無意味、と判ぜられたからだ]
(170) 2017/11/24(Fri) 01時半頃
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――…お、こいつか?
[車椅子としばらくの格闘の末 奥に引っかかっていた小石を取り除くと車輪はスムーズに動き出して]
よし、お待たせ。錠さん、直ったよ。 ……錠さん?
[縁側で待つ錠さんに声を掛けるが、疲れていたのか寝てしまったようで]
んー、とりあえず仕事はシノちゃんの家の雨漏りぐらいだけど
[客人を置いて行くわけにもいかず少し悩む]
とはいえ、ここまで来るだけでも一苦労だったろうし、もう少しぐらいならいいか
[結局は家から動くのを諦めて、家の中から毛布を持ってくると、風邪をひかないように錠さんに毛布を掛ける そして自らも縁側に座るとしばしの日向ぼっこ**]
(171) 2017/11/24(Fri) 01時半頃
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そうですね 大好きな方と、なれるといいですね 長く連れ添うお方とは、色も交わると申しますし
[櫻子>>170にそう相槌を打ちながら、 赤く色移りしていく姿に、こほんと小さくせきをつく]
お腹、空いていらっしゃいますよね 容さんのお家へ向かうか、神社で馳走になりましょうか
大事な大事な お体ですから、 もしよければ、お付き添いいたしますよ
[そう付け加えることも忘れずに]
(172) 2017/11/24(Fri) 02時頃
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[櫻子が望んでくれるなら、身重な彼女を気遣い、 せめてその場までついていくつもりだ 1人で大丈夫というならば、無理にはついていかないが この申し出だけは、添えておいたことだろう]
……そのお召し物については、お洗濯をさせてください 後日でも結構ですので、その間は、私の古着をお持ちしますから
[自分に端を発し、次々と伝播していく赤い色を、 せめて、落としてあげたいと**]
(173) 2017/11/24(Fri) 02時頃
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――無くなった方が良い……?
[学び舎へと向かう道すがら、先程と同じ声を聴いた。
風が運んだ其れを辿り視線を向ければ大人たちの姿
その中にミナカタを見つけ、記憶に残っている仕草
人差し指を口元へ立てて見せる。
群れを乱すような話を、しても良いのかと
問いかけるような眼差し一つ置いて*]
[学校へ向かうまでの道のりに
彼からの返事は聞けたろうか。
学び舎へたどり着いたススムを待っていたのは
教え子のいない教室だった。
この分では、石動と二人で授業をこなす事になるんだろう]
……先生、質問があるのですが。
[今日の授業が終わる頃
独りしか居らぬ生徒が律儀に手を上げ、問いを発する]
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[神社に――ゆりに、 容に、 「ごはんをくれる」あてについて二人が話すのは、ふんふんと頷いて聞いていた。実際のところ、村の誰に彼に世話を焼かれるのが当たり前な中でも、その二人は特に娘に施してくれる相手ではあった]
えつおばさまは、お仕事?
[お肉を作る、お仕事。それがおばさまは、とてもうまい。皆が話すのを聞いて、それはよく知っていた、それが娘の認識だった。その勇姿を見る機会こそ、そうあるものではなかったけれど。 何とはないように聞いてみなどして、]
(174) 2017/11/24(Fri) 02時頃
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もし、この村が無くなったら
先生は、どうしますか?
[唐突ともいえる問いかけだったかもしれない。
この村が無くなったら
朝聞いた狂ったような囁き声が、
どうしても頭から離れない。
自分だけが家畜に混じる人として生きていかねばならない
そうではなく
食べもしない家畜なら、いっそ全部処分してしまったら
群れに怯える必要も、なくなるのではないかと**]
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うん。 一緒に、行く。 えつおばさまと、一緒に行く。
[向けられた提案に、こくこくと頷いた。娘にとっては、江津子も、今しがた去った進も、大好きな村の、大好き、の一つだ]
おせんたく、する?
わかった。 おせんたく。
[続く言葉にも、頷いて。 猫を抱えたまま、江津子が向かうに従った*だろう*]
(175) 2017/11/24(Fri) 02時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2017/11/24(Fri) 02時頃
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[ ―― これが 可愛げだろう。 ちいさなもみじ開いたたなごころ、 思惑に沿って――添いすぎたきらいはあるが―― ころりと掌の上に転がってくれるなら、 こうも表情の変わる>>165なら、 それこそがなりばかり玩具の男がもたない「可愛げ」で “ミナカタ”の名前の奥にいる男がもつ、 拭えない「憐み」の発露で、その男の、貌ではないか。
満足げにぎゅうと細まった眼も、その下の口元も、 真相を明るみに引き出すに十分な悪童のそれ
たっぷり間を、 それこそ相手の遅れた一拍も飲み込むほどの間をあけて]
(176) 2017/11/24(Fri) 02時頃
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うん、そうだな
まだ備えがあるからだいじょうぶだよ
(177) 2017/11/24(Fri) 02時頃
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[ことさら子供じみた音程で言ったのは、 あまり怒られないように、との打算もあったが]
ああ よかった おまえはどんどんミナカタ殿になってしまって、 つまらないと思っていたが まだいるな まだいるなあ
[確かに子供の時分を思い出して、 思い起こしてもいたもので。]
(178) 2017/11/24(Fri) 02時頃
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……だから、 まだ薬湯はあるから、 熱冷ましと咳止めだけ頼みたい……頼めるか、 遊びが過ぎてしまったが
[相手の生業に付け込んだ、 薬にはなりようもない毒をなめる遊びだ。 怒られるなら楽し気に、けれど、 神妙に受け止める用意はできている。 その怒られるのを次回以降に活かせるのかは、また、違う話だが。
とかく享受するべく物は享受し、 遊びが毎日だった時分を懐かしむ顔ぶれとは別れがあるのだろう*]
(179) 2017/11/24(Fri) 02時半頃
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発明家 源蔵は、メモを貼った。
2017/11/24(Fri) 02時半頃
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[遊ぶが毎日だった頃には、 書き記さんと思って筆を執ったことはなかった。
かたちの変わらない原因を、 それが原因だと思われる言葉を聞き、 母といえる女がいなくなったあと、筆先を墨に染めた。
とはいえ、始めた時分は、なにも考えず、 単に紙の上に線を引く程度、書き記したものをどう保管するのかなど考えもせず。 であるから、今も残る当時の紙は少ない。 血の緋色の似合う女が身籠る時期>>22>>25が 書き起こしのそれと重なったとしても、 紙面が残っていたとしても、それは紙片のようにみすぼらしい記録の塵芥になって読み解けるかは、それを行う者によるところが大きい。]
(180) 2017/11/24(Fri) 03時頃
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[それと同じ話だ。 口伝により守られた、薬師が薬師である所以の知の薬棚>>3>>71 得意げに指し示し語られた、受け継がれた知識は。 記憶に残れどもかすかな残滓、 ――文字に残れば墨の色あせるまで。紙のほどけるまで。 書き起こし、記し、子供の手習いの文字の踊った古い頁になった*]
(181) 2017/11/24(Fri) 03時頃
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[まだ備えがあると聞いて>>177 まだいる、と言われて>>178 詰まったのは躊躇いからではなく、 もっと胸の奥を刺された気がしたから]
……源蔵こそ本当に変わってないな。
[やっと絞り出せたのはほっと吐き出した安堵か 溜息かは俺の胸の内のみ]
判った判った。
今手持ちはこれ位だが、十分だろう。 ミナカタ様からだ、大事に大事に使えよ?
[空いた間と同じだけ息を整え、望み>>179を渡し]
(182) 2017/11/24(Fri) 07時頃
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まだ渋が抜ける前の干し柿盗み食って 腹壊すんじゃねえぞ?
[先ほど丞さんが見せてくれた干し柿を引き合いに、 懐かしい幻は駆け抜け終わる。 変わったのか変わらないのか。 度を越す源蔵に呆れた表情で、見ていたなら 石動さんにも恥ずかしいところを見せたと 笑ってから離れよう**]
(183) 2017/11/24(Fri) 07時頃
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[これでも憐れむ心は持っている。
憐れむからこそ、この村自体不要なのだと得心する。
この村に戻ってくるからこんな事が起きるのだ]
この村は、もう要らない。
そうは思わないか?
[人差し指を立てた眼差しに
唇だけを動かして。
問う目は細く、狂気を隠さず。
さて彼に届いたか**]
[唇を読む事が上手く出来たかはわからない。
むらは、いらない――か?
彼への返事は瞬き一つ。
きょとん、と
かんがえたこともなかった、という風。
けれどその直後
その先を考え実行に移す事が出来るだけの術が過ぎる。
ミナカタの薬の知識があれば
己が教わった技術で少しずつ間引いて――
ススムは思わず足を止め、彼にもの言いたげな眼差しを向けた。
如何すれば良い?
そう問いたげに。
音は無く。
会釈一つでその場を去るが]
[植え付けられた新たな知識が頭の中を埋めていて
授業が終わったその後に
石動へと思わず問うてしまったのだった。
彼になら、話しても大丈夫
確信が何処かにあった
異端な思考を他者へ漏らさずにいてくれた相手であり
己に知識を授けた相手
弟という家畜を大事に飼って居る
ミナカタから教わった基準で言うなれば
彼もまた群れに紛れた人間に違いない
それに、うまくゆけば
彼にも協力が得られたら等と打算をひとつ。
昨日彼の兄弟の結びつきは見聞きして学んでいる
其処から交渉の余地があるかもしれない**]
[物問う視線はやはり彼が人間の証。
だが此処で長々と話すものでもないし、考える力も充分養われているはず]
お ん な。
[解を求めるような眼差しに、人差し指は唇から去って行った娘の音がする方へ。
女を間引けば仔は産まれぬ。
解まで辿り着けたら。
褒めてやろうか、それとも手を取ろうか。
距離を縮めず愉しげに目だけが細くなる**]
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拗らせてなど……。
[ない、と言えなかった。 後を追って欲しい、後の世もまた一緒になどと、どの口で言えようか。 そう願った女は置いて先に逝ったというのに。
何も言えず口籠っていれば薬師がやって来て、恋の薬などと言い出す始末。 弟は大事だしそこに確かな情はあれども。 それに名前を付けるのならば恋ではないだろう。 付けるとするならば。]
私に薬はいらん。 この歳になって恋などと馬鹿馬鹿しい、あまり私を揶揄わないでくれないか。
私はただ弟の行く末が心配なだけだよ。
[愛だろうと思う。 恋し狂う激しさなどなく、しかし静かに絡みつく妄執は愛情の一つの形。 どちらにせよ付ける薬などあるまい**]
(184) 2017/11/24(Fri) 13時半頃
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―― 神社 / 朝食の席にて>>156 ――
[命をいただく。骨の髄まで。
薄らと湯気を立てるご飯と、頬肉の味噌汁。 先月亡くなり、塩漬けにしていた氏子の肉だ。
志乃とも親交のあった壮年の男ではあったが、 私がそれを彼女に告げることはない。
何度も“お清め”で私の胎に精を吐き出した男が、 今は私の腹に収まろうとしている。 これほどめでたいことがあるだろうか]
何か変わったこと、ね。 私は相変わらずよ。
[私は困ったように笑うことしかできない]
(185) 2017/11/24(Fri) 19時半頃
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[姉さんは帰ってこない。 男女を問わず村人たちと日々交わり、 その心と体を慰める毎日。 取り立て話すようなことはない。
沈黙が気まずくなった私は、 矛先を志乃に変えることにしたのだった]
……で。 志乃はミナカタさんの子はもう孕んだの?
[ミナカタのところに 志乃が度々出入りしているのは聞いていた。 “そういう間柄”と邪推する気持ちが半分、 旧友をからかう気持ちが半分**]
(186) 2017/11/24(Fri) 19時半頃
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―出立の時―
お仕事は、もう済んでいますから
[櫻子の問いかけに>>174そう微笑んで、 だから、と同行を持ちかけた>>172 自分の仕事について少し話すべきかと思うも、それは思いとどまった 屠殺の話を伝えたところで、櫻子の足しになるとは思えない お洗濯の契りを交わし、『一緒に行く』>>175と託されたなら、 行先は、江津子の選択では、1つしかない]
では、『ゆり様のもと』へ参りましょうか――――
[奔放に村を駆けることのある姉の元 社を鎮守する妹の元 異なる在り様の姉妹を思えば、 すれ違いなく櫻子の腹を満たせるのは、きっと後者だ
猫と卵を抱いた2人で、神の麓をゆっくりと目指した*]
(187) 2017/11/24(Fri) 20時頃
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―道中・壱―
[櫻子が退屈しないよう、所々で言葉を交わした
途中でふと卵を手にとり、こつんとおでこでひびを入れ、 片手で割ると舌の上へと中身を乗せて、 ごくんと呑み込んで見せる]
櫻子さんも、召し上がりますか? あまり、お行儀はよくありませんが……
[腹の足しにもなろうかと、1つ取り出し問いかけた 産みたての卵は、濃厚ですよ そんな言葉も、言い添えて。
櫻子が望むなら、彼女のおでこでこつんとやって、 その舌先へと落としてあげたことだろう]
(188) 2017/11/24(Fri) 20時頃
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卵の白ぃろいところからは、 メレンゲという菓子ができるんですよ
[どちらにしろ、抱いた卵を撫でながら、 どこか遠くに微笑みを送る]
甘くて、雲のようにふんわりしていて 焼けば、香ばしい風味も帯びて――――
[そこまで言って、口をつぐむ この村で、あの菓子を作れたものなど、いたことか 村の多くの者が、まだ生まれおちる前のもの、 遠く彼方の地の記憶をもとに、話してしまうことも、ままにある]
ときに、櫻子さん――――
[だから、強引に話をすりかえ、 はぐらかすように、問いかけたのだった*]
(189) 2017/11/24(Fri) 20時頃
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