25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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書籍なら、
広間を出て間も無くの部屋が書庫だった。
[記憶を辿る。
子供が隠れた暗い部屋]
書庫の場所なら…知らねばそこらの使用人に聞いておいたほうがいい。
くれぐれも…ここで通じていることを知られてはいけないよ。
わかっている。
…必要なら庭から回る。
あちらからなら書庫の位置もわかる。
全く手間のかかる事
……センターの人間など、招くから。
[イアンは彼に招かれた
そう言っていた、昨夜の記憶。
溜息を洩らす]
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随分顔を合わせぬうちに、わたしは染まり変わり果て…そなたを幻滅させてしまったでしょう?
[自嘲めいた苦笑い。 それでもそなたの立派な姿を見られてよかったと、その言葉は呑み込んで。]
戻ります。雛鳥がまだそこらで迷っているかも知れぬし。 そなたも…無理はなさらず。
[子虎は高嶺が元の花達に、白拍子は刷衛にとお願いして。 名残惜しげに一度似た顔を眺め、下駄を鳴らして部屋を出て行く。]
(510) 2010/08/06(Fri) 04時頃
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ランタン職人 ヴェスパタインは、懐刀 朧に「ならば後ほど、庭の朱塗りの太鼓橋にて」と小さく託けて去る。*
2010/08/06(Fri) 04時頃
報告ごくろう。
そして、大役、しかと見た。
邦夜さんの動向は、任す。
さて、怪しいのはどいつかねぇ。**
舞うは花の務めですから……お言葉ありがとうございます。
邦夜殿のお力は判断出来るのは一日一人、
また、体調の関係等も考慮し判断の先は
邦夜殿にお任せにするつもりです。
……傍目には動揺の少ない刷衛殿が
怪しく映りましたよ?
[そう言って小さく笑って]
……疑われ過ぎる時は、
名乗り出てくださいね。 ……投票は、絶対ですから、万が一な事態になったら
私が貴方を殺める*ことに*
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─ 自室にて ─ [部屋に戻りても、結局一睡もできず。 月がいやに明るいせいか、それとも籠から逃げた小鳥が気がかりか。
弦張り変えた琵琶を膝に、片手だけで戯れに爪弾く。 包帯まいた指先は、そっと唇を撫ぜて。]
みなもへと そまりしゆびを のばしても うつりしつきも とりもつかめず
…やはりわたしは、幸せになるためには、少し穢れすぎたのかもしれぬ。 これが、報いであるならば。
[月見れば胸の奥がただ痛む。 やはり居てはおられず、下駄の音は庭へ…]
(535) 2010/08/06(Fri) 10時頃
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[廊下をちらりと見れば、イアンと共に居る秋色の… その意外な取り合わせにしばし首をかしげつつ、庭へと響く下駄の音。]
立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む
[遠くへ旅立つものが、残されたものへと詠んだ歌ではあるけれど、 逃げ出した迷い猫が帰ってくるようにと願う呪文でもあって。
籠から逃げてしまった鳥に効くかは判らずとも、心配そうに枝を眺める。]
(539) 2010/08/06(Fri) 10時半頃
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このまま、ひとの気無ければ
イアン……
背後から襲って
……流石に無謀か
[ちらと視線流し、首を振る]
彼の人は、もののふの舞を得意とします。
目覚めたてのお前で…太刀打ちできるかどうかは。
[慎重に、と促す心の奥底には、やはり旧き友への想いも無いわけではない。]
――返り討ちが関の山か。
坊主にも謂われた。
喰らうなら報いを着せると
[溜息]
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お前が勝手に誤解して、去っただけでしょうに。
彼の朧月の方は、血を分け共に生まれたわたしの半身。 しばらくぶりに再開した兄弟の情、ただのそれだけ。
[互いに年経て変わり、今は守るべきものを持つ身同士。 もうあの頃には戻れず、戻らぬ。]
あの方と遠い昔を共に重ねた月日は…お前には重いだろうか? されど、それよりも長い時を、これからお前と重ねていきたいと…
(546) 2010/08/06(Fri) 10時半頃
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…出ていらっしゃい。 出てこれぬなら、潜む獣として… [帯に収めた懐剣に手を添え、枝踏む音にそちらを睨む。 己を庇おうと出る子の健気さに、胸が痛い。]
(547) 2010/08/06(Fri) 11時頃
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[こぼれ落ちた涙へ伸ばす指先は、朱滲む白の包帯姿。]
枷などでは、無いよ。 寧ろ…伴にいてくれなければ、わたしは月の向こうへ連れ去られてしまう…。
[雛鳥をそっと手元へ引き寄せながら。]
夜光、そなたはそこで何を? [出てきた姿に未だ警戒を解かず。
庭に隠れていたことならば、雛鳥も同じであろうに。 月の瞳が曇るのは、恋に狂うている故か。]
(557) 2010/08/06(Fri) 11時頃
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居心地が、悪い
視線で犯される気分だ。
[遠くを見遣り、眉を寄せる]
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…闇に潜んで、人には言えぬことでも?
[縋る愛しい子を守るように袖に包んで、髪を解いた夜咲く花を見る。 解けてうねる髪は、無数の蛇のようにも見えた。]
(563) 2010/08/06(Fri) 11時半頃
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…あぁ。そうだな、戻ろう。
[雛鳥の手を引いて帰り際ちらりと見返り、夜光る蛍を射抜く視線は酷く鋭く。 何か在れば容赦はせぬと投げる氷の刃のような。
下駄の音はただ踵を返す。]
(567) 2010/08/06(Fri) 11時半頃
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[手へと落とされる口づけに、身を屈めそっと抱き寄せて。
他人のそら似で通してきた、高嶺の家に伝わる秘密の断片を、うっかり漏らしてしまった事と、それを雛鳥だけでなく、恐らく夜光にも聞かれていたと、この時には気付いておらなんだ。]
(572) 2010/08/06(Fri) 12時頃
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あぁ、今宵はわたしの腕の中でお眠り。 [額へと淡く口付けて、小さな手を引き自室へ帰る。]
(580) 2010/08/06(Fri) 12時頃
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[今も必死でこらえているのは、このまま雛を喰らいたい想い。
…今喰らえばきっと足が付く。それでは…]
いや、それを逆手に取れば…
花か主かを喰らってしまえば…
[彼を喰らうその日がくるなら
それは人食花散る日]
……?
此処にあるは
花か、主のみと
ロビンと今話しておる
ロビンもそなたを疑っており……月瀬が
お前の傍にあるのを案じておるな。
それと、どうも法泉殿はロビン曰く
なにやら不思議な力がある、そうな。
後、邦夜殿は夜光を確認すると言っておった
いろいろ、錯綜してきたなぁ…
いま、つがいと謂うなら
私と、貴方と、……高嶺の
片方と謂うても
如何する
いや、研師と桜の猫も。
あのドラ猫が、彼奴には懐いて寝ておった。
ああ、そうだった
が
研師の彼は、明之進と主がなにやらと
……桜の子、
まだ違うだろう
私になんの報告も無しに。
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[法師へと去り際に会釈して… 問う幼子へ声を潜める。]
あぁ…夜光。 同じ名を持つ昔の花に、わたしはかつてひどい事をした。
彼がその花の養い子なら、恨んでいるかもしれぬな。
…綺麗事だけでは、ここまで生きては来れなかった。 [ぽつりと、そう弱々しく零し、南端の角部屋へ。]
(604) 2010/08/06(Fri) 13時半頃
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お前には、そんな思いをさせぬよう… わたしが後ろ盾として、確りせねばならぬな。
(605) 2010/08/06(Fri) 13時半頃
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