25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[狭間のこえが増えてゆく。 うたう声、殺し喰らう さだめがうたを。]
人と獣は相容れぬ……。
交わらぬのなら、なぜ。 獣は人と交わり、子をなすのです。
それとも、月瀬殿も獣なのですか……? 夜光を、………を喰ろうた、獣。
[呟く声は、主が耳に届いたか。 憎みたいなら、獣を憎め、と獣がうたう。 その傍らで――花と胡蝶の戯る、鈴の音]
(@2) 2010/08/08(Sun) 18時半頃
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[手に痛みがある。 色硝子が光を落とす美しい床に、赤がまた散った。 イアンが手を離せば、残るのは重み。 己が手を離せば、床に酷い音ともに金属が落ちる。 殺されるを望むものなどあるはずがなく、 けれどそれは己が今まで食らった者も同じこと。
その色、という言葉が何の色を指すのかは分からなくて]
…そうか。
[ただ小さく笑った。己の目の色のことだなんておもわないまま、 喉に絡む手に抗うことはない。 ふと、思い出したように思い出した]
……お前、一つだけ頼まれてくれないか。
(70) 2010/08/08(Sun) 18時半頃
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― 納屋 ―
[何かが起こっている。 いやな空気だけ……。
書状にあるイアンの名前。]
いや、イアンが獣であることは絶対にない。 奴は何よりも獣を嫌っている。
(71) 2010/08/08(Sun) 18時半頃
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[包帯越し熱い。皮膚越しのごつごつとした骨 青年は自分の首にある痕を移すように 祓われなかった手は、緩く、力をこめて 感覚が強くなるたび眉が寄る]
……そうだ。
[目の前で首を絞められ笑む相手の瞳を見る その色のことだと知れぬまま。 けれど手が止まる……頼みごとの言葉に]
……なんだ。言ってみろ。
[頼みごとを本郷が口にするまで 喉を潰さぬよう、片手は喉を過ぎ 拒まれなければ、 いつぞは触れなかったその髪へと]
(72) 2010/08/08(Sun) 18時半頃
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[獣ではない。なら人なのだろうか?]
[獣たれ、獣たれ、獣たれ。獣より、獣たれ]
[そうやって、己の人間性を殺し
舞い続けた青年は果たして人なのか?]
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>>@2
[明の言葉にかぶりを振る。]
なぜ人と交わるのか。詳しい理由はわからぬ。 ただ、人は、交わりたがるものだろう。
人の血が入っているのならば、 それは、もう、致し方ないことかもしれない。
セシルは獣ではないだろう。 これは推測だがな。
[夜光の名が出るとしばし、沈黙する。]
交わりたい、人の部分と 食らう、獣の部分。
彼らは不安定だ。
(73) 2010/08/08(Sun) 18時半頃
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[返るとは、思わぬ狭間からの問いが答え―― 黄泉花は、そのふたつ心にひとつ、瞬いたのだけれど。
命無き者は、生者が定めに関われぬ。
それはこの身が、強く こちらに繋がれてあろうとも、同じだと。
思い知ったは、白鞘巻のあらずを見て―― 納屋の片隅幻と散った一片は、黄泉銀花の紅の花。
主の言葉が重なる]
(@3) 2010/08/08(Sun) 18時半頃
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[包帯越しに感じる血の匂いに、頭がくらくらする。 結局、ここに来てから人を喰らうことはなかったのだと思い出せば それもまた唇に笑みを作る要素になった]
もし、お前がこの邸を出たら
[ゆっくりとかかる力に目を閉じながら続ける]
貰ってくれないか。私の邸を。 ……私の子は、育たなかったから。
[枯れゆく花の名残と願った種は 生まれたその日に死んでいった。 それ以来どちらとも上手く保てなかった体]
舞殿が朽ちていくのだけは、哀しい。
[誰も舞わなくなってしまった蓮の舞殿(うてな)を あのままなくしてしまうことだけは、辛いと思った。 目の前の花になら託せると、そう、思う]
(74) 2010/08/08(Sun) 19時頃
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[ゆらぐ椿は小さく返す]
――獣も、人を求めると?
けれど、喰らう。
[す――と、主が袖を掴む。 透きとおる命無き腕]
月瀬殿の“子”……どうなさるのです。
[憎むのならば、人が憎むべきは獣だと。 獣が憎むべきは人だ、と。聴こえたうたを 思う]
(@4) 2010/08/08(Sun) 19時頃
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[心に不安が過ぎる。
ただ、殺せばよいと彼は習ったのか?
一人でなく二人な理由。
それは、片方が狼に落ちてしまった場合、
その処置もできるか?]
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[イアンは獣を嫌っている、 とその言葉にふと過ぎる]
獣をきらう…… それが、本来、あるべき姿……
[狭間を過ぎったこえ、 うつろに呟き、反芻する]
今も、其処に――…?
[交わらぬ姿があると、言うのだろうか]
(@5) 2010/08/08(Sun) 19時頃
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[本郷の家が、一介の花が遺言といえど その邸宅を一つ、得れるのか… 現実的に可能なのか ……そもそも、生きてここを出れるのか]
……そうか……わかった。 そこで舞い、 そこで、子の替わりに……蓮を育てよう。
[短い髪を撫でながら頷く。 閉じる瞳、もう少し見ていたかったけれど。 笑みが消えぬなら、いいと思った。 だから、そのまま、細い首に絡む力、加速させて]
それでいいか……嘘吐きの本郷……碧
[二回目の、かなわなかった約束に、そう囁いた]
(75) 2010/08/08(Sun) 19時頃
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[殺すものの取捨選択][殺す理由、理念]
[そう言ったものは、舞い手の本懐の外]
[望まぬ舞も、
ただ、ただ請われれば舞った舞い手の外。]
[そうして、対が獣に堕ちればまた舞い殺す。]
[それで己が獣に堕ちて、終われるなら、それも道]
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[聞こえた言葉に、肩の力が抜けた。 もうこれで、本当に花主を辞めることができる。 そう思うと、それは安堵に変わった。 己の言葉がなくとも、紋の入った短剣の揃えがあれば 其れなりの効力はきっと発揮できるだろう]
頼む。 十分だ…これで、きっといつでもお前の舞姿を空から見られる。
[髪を撫でる手がくすぐったかった。 けれど、それも喉にかかる圧力にすぐにそんなものは 解らなくなってしまった]
……これで、心、置きなく…あれのもとに、ゆける。
[浅い息の中呟く。 喉が濁った音を立てているのが解る]
(76) 2010/08/08(Sun) 19時頃
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>>@4
セシルの子…というより、セシルの身柄はセンターが管理することになるだろう。 まずは無事に生まれるかどうか。 生まれても、まともであるとは限らない。
そして、人の子の形で生まれたならば、 それは、ある程度までは育てられる。
のち、人狼発症しないような処置が取られ、検査をパスすれば、以後、生活は一般人と同じだ。
[そこまで言って黙る、処置は何かとは言わず。]
(77) 2010/08/08(Sun) 19時半頃
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…………うん…
[鈍い音が、手の内で鳴る。もう、後には引けない音。 包帯を取った以上、最期まで見届けようと 開いている視界が滲んで 返す返事は子供じみた頷き一つ。]
――――………………………
[耳に届く呟き、羨ましいと思った。 ただ、ただ、羨ましいと思いながら 本郷の頭を抱えながら 首を絞める手に渾身の力をこめた]
(78) 2010/08/08(Sun) 19時半頃
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>>@5
ん?何かが聴こえてるのか?
[その時、報告がまた入る。 イアンが、殲滅≠ノ動いていると、 無差別の……。]
――……何。 殲滅許可は出していない。
ぐ……。
[もう、駄目かもしれない。 報告義務も無視し、守秘義務も違反した。 殲滅部隊だからといって、勝手にそれを始めていいわけではない。 なんのために二人いるのかと…。]
(79) 2010/08/08(Sun) 19時半頃
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懐刀 朧は、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 19時半頃
若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 19時半頃
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[桜花の処遇を知れば、 一度眉を潜めるのだけれど]
発症しない処置。 それは、いったいどのような。
[人と獣の因果を聞いたがゆえに、それを問う。 主があえて沈黙を知らず]
……発症者には効かぬのですか?
喰われるがゆえに殺すのですから、 喰われることなければ、交わる道も……
[あるのでは、と 呟けば聞こえるは“殲滅”なる言葉]
(@6) 2010/08/08(Sun) 19時半頃
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[また、中空から声が聞こえる。誰?]
……何って……看取って、いる
[小さく鼻を鳴らして。呟く]
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…泣く、な。
[声は酷く歪んで、空気ではなく骨を通して伝わるだろう。 衣が落ちて血濡れの解る掌は、首を絞める手を引きはがすのではなく ただ、慰めるかのようにそっと触れた。 裏庭で背を撫でた時と同じようにぎこちなく撫でる。
泣いているのを見るのは、苦しかった。 其の涙も、苦しさも全部一緒に自分が奪って行けたらいいのにと 花が、狂うのではなく花らしく在れるようにとの願いがそうさせる]
生き 、て。
[掻き消えそうな声は呟いて]
(80) 2010/08/08(Sun) 19時半頃
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[それから花が散るように 撫でる手は重力に逆らわずに零れ落ちた。
赤い花弁を色硝子が夕焼けに滲む床の上に散らして───**]
(81) 2010/08/08(Sun) 19時半頃
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……止めずともよいのですか。
[一瞬、惑うような主の息の音に、 黄泉花はひたり、と眸を見上げて]
(@7) 2010/08/08(Sun) 19時半頃
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>>@6
発症しない処置。 それは、発症の元になる初衝動が訪れる前に、 それを沈静化させることだ。
ひらたく言うと、去勢だ。
[あまり言いたくはなさそうだったか。]
まだ言葉も覚えるか覚えないかの時期に為すことで、人狼発症はほぼ押さえ込むことが可能となる。
だが、ある程度の年齢を超えてしまえば、もう意味はない。
[つまり、既に発症したものにはもうならぬということ。]
(82) 2010/08/08(Sun) 20時頃
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……………うん
[泣きたい訳ではない。けれど、伸びる指先が 触れる感触が、どうしても、涙腺を緩ませて。 なにか、言おうと思っても、言葉が声にならない 酷くかすれる声に、ただ、ただ頷いて。]
……………っ
[暖かな感触が手から離れる。 知っている、急速に命が消える感触。 ……自分で消した命を、留めようとするように 青年は既に意識も、息もない本郷を抱きしめて ただ、抱きしめて、静かに泣いた]
(83) 2010/08/08(Sun) 20時頃
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>>@7
まて、とりあえず、今、呼んでいる。
[だけど、どこかやはりずれた受け答えしか返ってこない。]
(84) 2010/08/08(Sun) 20時頃
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[もう、そこには、青年の望みを 叶えようとした本郷の姿はなく、 夕日が赤く染め上げていった……――]
(85) 2010/08/08(Sun) 20時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 20時頃
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