25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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……そのように、育てられております
[主を知っているならば、主が信仰する神と教義
それも主を通して知っているだろうと]
……無理を、しているつもりはありませんが……
[大事にしろ、そう言われても
大事にする意味を失っている青年は
頷くも否定も出来ず
また返事に窮しそれだけを零す]
ああ、そうだな。お前は何も悪くない。
亡くした主のため、すべてを込めていくのは、花として幸せなのかもしれん。
ああ、そのとおりだ。
余計なことばかりを言ってすまないな。
まぁ、気にするな。
[本当に見えぬのならば、だが、
見えて見ぬのなら、それは、何かが違うと思った。
そして、その事実は、ひさびさに気分を落ち込ませるものだったが、気にしても仕方ない。]
|
[窓から漏れ聞こえるは、本邸の宴からの笛の音か。 ゆるりと寝台に足を投げ出したまま、窓辺に持たれて耳を澄ます。]
誰を想うて、吹く笛か…
[夜風がふわりとカーテンを揺らす。]
(361) 2010/08/03(Tue) 22時半頃
|
…………はい。
[眼前の仕事仲間の口にする言葉に
青年は何度も返事を窮し]
……例え、あの人が望まなくても
それでも私の咲き方です。
私が選んだ以上、私が悪くないとは申し上げられません
……が、おっしゃるとおり幸せだとは、思います。
[それでも、外を眺める刷衛を紅で見据えながら
静かにそうと告げて
例え己が目を塞ぐ様子が
他者の気を塞いでも……己に積はないとは言わないが
曲げることはない]
|
恋すれば、芸は色香と艶を増す…
[幾人かが競い奏でる笛の音は、それを纏っているや否や。 確実に分かるのは、あの時の雛鳥の声が、幼いながらに艷めいて聞こえたことなれど。]
されども、それに溺れては…焦がれた炎は身を焦がす…か。
(364) 2010/08/03(Tue) 22時半頃
|
[ふと、こちらを見ているのに気がつくと]
おまえ、見ないといっただろう。
見たのなら、笑え。
見たのなら、貸した代償は払ってもらうぞ?
[今度はふざけた声になる。]
……見なくとも触らずとも良いと仰られましたが
見るなとは、触るなとは仰っておりますまい?
何故……?何故笑いを求めますか?
眼が二つあり、鼻が一つあり、口が一つある
皮膚があり、眉がある…けれど笑う要素が何処にありますか?
……それでも、笑えと言うならば笑います
代償をと言うのならなんなりと。
[ふざけた声にはそう、紅を細めながらも
座る刷衛を真摯に見詰た]
お前、結構屁理屈な花だな?
あれもさぞかし扱いにくかったろう。
[またおどけたように、かつての旧知にそう同情するようにわざと言う。]
ああ、目と鼻と口がついている。
歯はむき出しで、毛穴はでかい。
目は落ち窪んでて、鼻はつぶれているさ。
[そして、くくくっと笑う。]
[様々な考えの合間に思うことは多々あれど]
…何の騒ぎだ?
[鼓膜に強く響く音に、誰か理由ひとつ知らぬものかと。
笛の音であるということは、よく解るのだけど]
まぁ、代償も冗談だ。
心持たぬものを抱いても虚しいだけだしな。
まぁ、安心してあれを思って剣を振るうといい。
ちゃんと見守ってやろう。
[喋っている間も、きっと顔を触る手には、少しだけ心地よさげ。]
|
…ほぅ?
[今までの吹き手のものとは違う。 有り体に言えば「なってない」と言っても良い。
されど、その音は…誰のものよりもより強く、滲み出る何かを帯びている。
吹き手をこの目で確かめたいと思うも… さすがに今は夢のあと。母屋まで行くには身が怠い。]
(377) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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御存知ありませんか?
チャールズも普段は温厚なれど
神学と言うなの論争の場では名うての論客
……床では伽話の変わりに艶もない論戦に遊んだものです
[そう言って少し紅が遠くを見て
それから現在へと焦点を合わせる]
刷衛殿はそれで刷衛殿です。
そしてその眼は刃脈を真摯に見つめ、
その歯は熱される釜の前でも怯まず結ばれ
熱から守るため身体は汗を毛穴から流し
その花は上質な鉄を香りからも見極める。
右に倣えのモノばかりが良きもの等馬鹿げている
形なぞ様々だからこそこの世は面白いのです
[己が欠点をあげるような刷衛の笑いに
そう返してから、心地よさげな刷衛から
指を離し戸口に向かう]
心がなければ楽しめぬ御仁ならば
そればかりは、満たすことが出来ず申し訳ございません。
[ゆるりと戸口に向かいながら笑って]
……ありがとうございます
ああ、そうだ……明日の宴までには
封鎖と根回しは終わるとのこと。
明日の宴には告発をおこないます。
お見守りよろしくお願いいたしますね。
なるほど、
じゃ、その屁理屈は、あれ仕込みか。
[そして、泣く笛の音は己にも響いたか。]
本当に、普通の花祭にはないものがここにはあるな。
[そして、また考え込みつつ…]
あの月瀬も紅い月を描いていた。
あと、月のつく名前もなんと多いことよ。
やはり、まんまるは早く捕らえて何かを吐かせるべきだな。
ああ、頑張れよ。
[戯れに誰かを抱くなどということは、
昔ならば喜んでいたか。
だけど、年齢を経れば、それも、また、心なければ、終わり虚しくなる。]
ああ、見守ろう。
くれぐれも、用心だけはしろ。
[そして、去りいく花を見送った。]
これもまた、おもしろき音色よ。
[返す言葉は気怠げに。]
宴席はまだ続いているようだけれど…今少しは身を休めたくてね。
[ひとときの淡い眠りだけでは消えぬ甘い余韻に、今は酔うばかり。]
ええ。12の時からの主ですから。
なにもかも、あの人の名残です。
……趣味の悪い豚狼なれど
この趣向は悪くありませんね
……狩の舞場まで提供なさりますし
[月と獣の病の関連性を思い
刷衛の言葉に狂狂と赤を細めて]
豚狼への尋問はお任せいたします。
……刷衛殿も御用心を
[聞こえた音、ふたつ]
この身宴に在らずして
知り得る事叶わぬが
[病の元は、いま此処に。
硬い蕾が人食い花に化けるまで、動けずに居る]
先刻の
夜光の音とはまた違う
食欲そそる音――…嗚呼、私の目覚めは
満月は、未だか**
あぁ、月が…満ちる、ね。
[くす、と微かに笑う音は、蕾が花咲く時を待つ。]
まぁ、こんな男を食おうとはあまり思わないだろう。
大丈夫だ。
それに俺は死ぬ気は全くないんでな。
[とそこまで言ってから…。ああ、と何かを思い出す。]
…まったく。
[慾深い花達だと思えど、己もまた変わらない。
喰らいたい。月が真円へと近づけば近づくほど
喰らいたくて堪らない]
[イアンが部屋を出てしまってから、その言葉は届いただろう。]
明之進という花だが、
俺の友人の花でな……。
こんなところにいるはずがないんだが、なぜかいる。
そして、俺を主と呼んでいる。
肝心の主には連絡がつかん。
不思議でならん。
口外して、その明がきちがい花呼ばわりされるのはたまらないので、このことは誰にもいうな。
知っているのは、白鳥と本郷のみだ。
[何かその件でもわかれば教えてほしいと告げた。]
勿体無いことを
[小さく笑って零すのはそんな言葉]
ええ、刷衛殿はこれからも素晴らしき業を
振るっていかなければなりません。
研者が血に溺れてはいけません。
ですから死地には赴くことなきよう。
[廊下を歩きながら答え、
もう一つ届いた話には、ふむりと思考する]
花が主を違えて呼ぶですか……
あの儚い花がなんらかの策略でそうするとも思えませんね…
わかりました。なお気にかけながらも
何方にも申し上げません。
本郷殿と白鳥…鵠ですかね…は知ってると…
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[つかの間の眠りを破ったのは、こいに溺れた水音か否かは…さて。
いつもとは違う刻限に眠りに落ちてしまったがゆえか、 それとも、あまりに月が明るいからか。 すっかり目が冴えてしまって、落ち着かぬ。 夜着の合わせのみを整える程度で、下駄の音と夜風を伴って漂うは霞。 未だ足元は少々危ういが、そのふらつく足の運びすら艷めいた所作に見えてしまうか。]
(483) 2010/08/04(Wed) 04時頃
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[やはり大人は穢いと、思われてしまうかも知れないけれど。 それでもいつしか歌に誘われて、姿を見れば手を差し出すか…**]
(485) 2010/08/04(Wed) 04時半頃
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[眠っているとは知らず]
高嶺が鵠と華月を摘もうとしているらしい。
さて、これをどう見るか。
高嶺はもう少し、慎重に剪定をする男に見えたがな。
―――…んぁ?
[聞こえた通信機器をとうした声
意味もわからず返した声は眠そうな声だった]
寝ぼけてやがる。
それとも色事の最中か?
[くくくと笑いつつ…。]
――……かんぴょーまき
[敷布にまるまるロビンに添い寝中と
言いたかったらしい。
うとうと眠る青年は聞こえた笑いに答えた]
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