25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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ええ、飛び切り切れ味の良いものを
選ばせていただきます。
[続いた言葉には小さく哂う]
そちらこそ、艶やかにお待ち頂ければ
太刀の分抱いて心地よく致しましょうか?
[口調こそ畏まったものだが、こうなれば花と主ではなく
仕事仲間。冗談に返す冗談も大概だった*]
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―大広間・窓際―
[虎鉄と別れた後、準備を済ませた華月の姿は確かに大広間に在った。ヨアヒムの趣味に合わせてか、和装が多い中、あえてか今宵は黒と紅のグラデーションのチャイナ服を着こんで、独り窓際に佇んでいる。]
誰かに似てはるおもうとったら、霞月夜様に似てはるのか。
[迦陵頻伽の名に相応しい唄声を聴きながら、ぽつり呟くのは、高嶺と霞月夜を見比べての感想。]
よう、似てはる……。
[つっと彼らの容姿に似た、夜空に浮かぶ月に眼差しを向けた。 華月はまだ、自らの芸を見せようとはしない。]
(35) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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[視線は泳ぎ 眼元に包帯を巻いた者 あまり良いとは謂えぬ顔の大男 他にも数々ある面持ちを眺め 中にはまたこちらを向く眼があった(>>27)]
ども。
[口調もそぐわなければ、服装も浮いてしまうものか 脱色して傷んだ髪も 態とにそうする理由はあれど 以後語ること有るや無しや]
(36) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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お前の歌は心地よいが、張り切りすぎて喉から血を吐くのは見たくはないよ。
[行儀良く杯を受け取る様子に目を細めて。]
皆であわせるのも、良い趣向だと思うよ。 手習いをなぞる以上の技量が必要になるものだが。
[先に立って声を掛けるイアンの様子は、昔と同じように思えて。 それゆえにその視界を塞ぐ白い布が喪章に見えて痛々しく思う。]
(37) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 02時頃
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―B棟・自室―
[供の坊主が届けた鞄の中身を検分する。 僧としての正装一式。 さて着るかどうか、と迷って、鞄を閉めた]
花祭が、始まったようだ。 花は美しく、咲く手前が一番良い。 咲いてしまったは、後は枯れるだけ。
良い蕾がいると良いのだが。
[纏う色は老竹。同色の羽織を肩にかけて廊下へと出る]
(38) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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莫迦を言え。 怯えられるの謎、いつものことだ。 独りで飲むより、都合がいい。
[飛んできた揶揄など痛くもないとばかりの返事。 まだ酒は残っているようだったので、 己の杯に少し残る雫を舐めつつ]
私にとっては、ただ楽しむだけの祭りではないのでな。 いい加減にしろと言われてもいる。
[勿論、行ってくる相手は父だ。 本郷の子としての示しをつけろ、と言うことだろう]
…己の琴線に触れぬ花になどじっくり見ても仕方あるまい。
[高嶺の視線の先を眺めた後、くる、と辺りへ視線を巡らす。 僅かに視線を止めたのは白い布で視覚を塞ぐ姿。 それから、鈴の花にも視線を僅か止めた。 どちらも一瞬のことであったけれど]
(39) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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イアン殿。
[声を掛けられ目を開く。 そう、ここは花祭の場。花主達に示さなければ]
有り難きお誘い。 では月恋うる唄の後には、鮮やかなる舞曲と参りましょう。
[舞台の端へと進み出て、黒笛構え高い一音。 そこから駆け下りるように旋律が流れる。 低き一音を保った後、動きの間を待つような一拍の休止]
(40) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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記者 イアンは、先程から、個々で聞き知った声以外にどうも知った声が聞こえ首を傾げた。
2010/08/03(Tue) 02時頃
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― 大広間/窓際 ―
[壁伝いに歩き、窓際に差し掛かる。 華月の姿は視界にはいるけれど、眼鏡なくして彼とは気付けない]
そこを退いて欲しいんだけどね。
[相手を見定めようと凝視しながら、声をかけた]
(41) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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芸を見せる気がないのなら、酌をして回るくらい気は使えぬの?
[そろそろと逃げようとする短い秋色の髪の姿に、かける声は小姑のようか。]
噂の君だとちやほやされようと、お前はいまだ咲きもせぬ花だ。 誰も買い手がつかねば、安宿で誰にでも股を開くようになるか、内臓を売られて捨てられるだけですよ。
(42) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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皆で…?
[頂いた甘露に、喉をこくりと小さく鳴らして見上げて]
今まで誰かと合わせた事なんて、なかったけれど。 なよたけの君がそう仰るならば。
[大変美味しゅうございました、と。杯を返上し、 眸を覆う剣を腰に差す花と、笛を持つ花へと紅石榴を一つ送る]
(43) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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[>>37聞こえた声は旧友のものに似ていて。 気になりはしたが、 すぐに自分が声をかけた夜光の言葉に 舞台と彼の奏でる笛の音に集中して。]
ええ。月を焦がれる歌は 見えねど今宵の時にさぞあうでしょう。 次ぐ曲は頼みましたよ。
[即興の舞が手習いより難しいのは百も承知 そして、それぐらいこなせる自信があるのは常のこと
響く笛の音に、舞台袖集中力を高める]
(44) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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[霞の花主としての振る舞いを見るのは初めてのこと、 煽るように花達へ言葉を送る姿は他の花主と異なる。 ああいう振る舞いができるのも、霞自身が花であったから。 その姿に口を挟むことはなく、高嶺はというと 霞が気に入った様子の鳥の姿をとっくりと眺めた。]
(45) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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――…お言葉ですがね
[ふいにかかった声に視線を向ける。 しかし黒い塊にしか見えない]
真に残念なことに、つい先ほど事故にあいまして この通り歩くもままならないんですよ。
この花祭で買い手がつかずとも、一向に問題ありませんよ? ボクはまだ先もあるし ――その辺の花主では、ボクを手折る事など出来ません。
(46) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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───……。
[聞こえる言葉達に、僅か眉をひそめた。
本郷の家は、家系として狼憑きの血筋である。
親から子へ、子から孫へ。孕み、孕ませ、其の血の恩恵によって
裏社会でも表社会においても高権力者の立場を一層濃くしてきた家だ。
ただ、次の当主の性は、判明しない。
酷く不安定なのか、誰もまだ
答えを、知らない]
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[聞こえてきた笛の音に、瞠目する。 音が似るは同じ笛だからというだけでもない。 ならばこの笛の主が、彼の人の夢を継いだ子なのだろうか。
先代ほどの艶はなくとも、その音色の真摯さは耳に心地よいものだ。]
(47) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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[今まさに始まらんとする、笛と舞を見て、 鳥は月の傍から二つの花の傍へと、 羽根の代わりの薄衣を翻し、舞台を翔ける]
…………。
[翔けた後、秋と冬を纏う友人へと。 なよたけの君が向ける言葉を背中で聞いて。
僅かに紅石榴を悲しげに揺らした]
(48) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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[廊下を歩く。大広間へと向かうと、次第に楽が耳に入ってきた]
父ならば美しい音色だと申すのかもしれないな。
[大広間にたどり着くと、すでにいる顔へと会釈をして]
すでに始まっているようですね。 遅れて申し訳ない。
なにぶん、荷物が遅れて届いたものですから。
[示された場所へと足を進める。 落ち着いてから、辺りをゆるりと見回した]
(49) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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[まず館の主たる者に 丁寧な礼と挨拶を。豚は笑っている。 伸びてきた手にびくりとしながら 小さく息を飲むに、留め]
…――御戯れを。
[余所行きの笑みで答えて見せる。
まだ、見知らぬ、 言葉交わしたことのない花主も多い。 笛の音が耳に届き紫苑の視線を流す。 ――りん、と鈴が鳴る。]
(50) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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―大広間・窓際―
[天空を見詰めていた苔色は、己にかかるだろう言葉を聴いてそちらを向く。]
嗚呼、邪魔しとったかいな。
[少し前噂した花の姿に、小首を傾げる。 その顔に何かが足りない気がした。]
……酌、所望されとるけど、ええん?
[睨まれているとも思える凝視に、苦笑いをして返せば、それよりも前に霞月夜にロビンが返す。]
癇癪玉みたいやなぁ。
[思わずそう呟いた。]
(51) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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なにアンタ。 それ(>>34)、俺のこと謂ってんの?
俺は月瀬 幸得。 アンタも鳥とばっか遊ばずに 名乗るのが礼儀なんじゃない?
[鼻で笑いながら謂う が、しかし]
てめぇロビンの事馬鹿にしてんのか!?
[秋色の髪の、冬色の眼をもつ彼を けなされるなら牙を剥く 相手が花主であろうとも]
(52) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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[昨日会わなかった花や花主の名前は使用人を呼び止めて覚えておく。そうしているうちに、ふと視界に入ったのは白い布で目を覆った花]
……彼は、何をするのかな。
[一目見た時からその印象からか、それとも別の何かなのか。気になっていたからか、じっと見つめ。聞こえてきた笛の音に耳を傾ける]
(53) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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それは、失礼。 手負いでは仕方がありませんね。
[溜息一つ。 酒が入ると些か口煩くなるのは玉に瑕か。]
ですが不注意も、お前の実力のうちと見られますよ。 ようやく見せた芸がそのそそっかしいドジではあまりに笑えぬ。 お気をつけなさいな。
[ふと、気を利かせた下男が愛用の琵琶を持ってくるところか。]
(54) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 02時半頃
手妻師 華月斎は、奏者 セシルの怒号に「なんや、短気なんが多いなぁ」と再度呟きを零した。
2010/08/03(Tue) 02時半頃
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ほう?
[若桜の様子に、すいと目を細めて。]
彼が怪我をして役に立てないのなら、お前が彼の分まで皆を楽しませてごらんよ。 見たところ、大事な友達…
いや、コレは恋人同士かい?
(55) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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[止まった後、広がるのは常になく挑戦的な音。 負けるものかという気迫を込めて。 それでも濁りは混ぜないように]
……。
[瞳で合図を送っても、覆いした人には伝わらない。 間と調子を徐々に変えて、そこから先は舞をというように静かな一音を長く響かせた]
(56) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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[歩むたびに響く痛みは、少しずつ少年を染めていく。
じくじくと響く痛み、滲む朱
与える悦びを、知っている。
交える悦びを、知っている。
黒い塊にしか見えぬ彼を
翳った暗い瞳はしっかりと映している]
――私がこの身を使ったなら
海に巣食う魔物の唄でも
安宿では味わえぬ舌技でも披露してやれるがの。
ふふ……ふ
[たとえ少年に自覚は無くとも
生まれながらに、立派な男娼であった。
この時代で望まれぬ子が何処から出てくるのか
――…元を辿れば少年の血族に行き当たる。
血を受け継いだ親に放り込まれた花の為の学園は、良い餌場。
記憶の無いまま、幾度ひとを魅了してきたか
そうして作られた噂の真相を、少年自身知りはしないけれど]
門下生 一平太は、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 02時半頃
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…ふ、くく… 本郷に怯えて、他の花達が一向に歌わない。
[例年とは異なり随分と大人しい花達の姿を、 本郷の所為と言って笑う。都合がいいのは同じで、 高嶺の飲む杯からはなかなか酒が減ることはない。 楽しむだけの祭ではない、その言葉には黒檀を細め 本郷を見る。この男もまた、家の名を背負う花主。 其処に揶揄を入れるほど高嶺の名も愚かではなく]
―――…まだ、わからん。
[花にあまり興味を示さぬ態の花主にそう言って。 丁度見ていたのは、迦陵の方であったか。]
……花祭で化ける花も多い。
[それだけの数、祭と花を見てきているから言える確信の言。 ただ、>>52怒声が聞こえると笑みを零して]
(57) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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[本郷の姿見えれば礼を向け 叶うならば酌をする。
はなやかなる宴の席、 霞月夜と高嶺が同じ視界に入る。]
――…
[似ている。 視線は霞月夜へ。 なにやら言い合いが発生しているらしい]
…何をしているのだ…
[呆れ調子、それも笛の音が聞こえれば 折を見て絡むかと窺う算段。]
(58) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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咲く前に萎れる花も、同じ数あるが。
[それは、広間にいる花に向けた言葉であったか。 ロビンの毒言にも、セシルの怒声にも 高嶺は文句を言わず常と同じ色で其れを眺める。
パチン、パチン。
脳裏に響くのは隣の男がよく鳴らす、剪定の音だ。]
(59) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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[広間へと響く笛の音。舞台で舞う目隠しの花。
どちらも見知っていたからか、興味深く舞台を眺めた]
この笛は、あの花とは、違う音だな。 当然か。
[客殿の花のことを思い出した。 どちらの音が良いかといわれても、わからない。 ただ違うことはわかる。
笛の音に合わせて舞う姿は少しだけ、気を引くもの]
(60) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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― 大広間 ― [高所から降りた旋律が 低く音を伸ばし……消える。 それは舞手にとっての合図。 次いで来る音が舞曲のはじめ。
その調子は平穏なものではなく。]
[おもしろい][白布の裏で楽しげに目を細めて]
[曲のつながりから、流石に武舞や走舞ではなく 平舞の動きを選び響く一音に乗る 鮮やかに、けれど媚を感じさせるようなしなはなく 凛とした立ち振舞いをみせて ……月に恋し難題を出され破れるのが物語なれど 舞の場では、その難題を笑うように舞う]
(61) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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