233 逢魔時の喫茶店
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ハンディキャップ。 あんたが歩けば、おれは追い付く。
[走るなら、難しい、立ち止まるなら、なお易い。 例えば、今の状況のように。 立ち止まった相手>>240なら、捕まえるのも簡単だ。]
だめかねえ。
[おっさんは、フライングの有効を所望する。 裾を掴んだ指を離さない。再度、軽く引いて。 駄目か。 もう一度、尋ねて、眼鏡に、目に、リツを映した。]
そうか。 …… なら、あんたの気が向いたら、おれが見付ける。
[夢見の獏に、リツの気の向き様など 察しようもないが、なんとなく、また、を悟るくらいは。]
(257) 2015/08/04(Tue) 23時頃
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腹が空いたら、眠くなる。 ……おれは。 あんたは、違うんだな。
[人間の三大欲求を、頭に巡らせた。 感覚の違いをぼんやりと、慈しむように、笑う。]
会員制と言うか、なんだ、……紹介制。 あんたは、
[――― 此処で一度、口を噤んだ。 彼の口から、きちんと名乗られた名前>>244 それをきちんと耳に留めて、陽の所為か、別の理由か 色付いた頬を、まあ、おれは見ているわけだ。]
リツ。
[確かめるように、呼んで。]
(261) 2015/08/04(Tue) 23時頃
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リツは驚くかもしれないが、ねえ。
[夜の営業と昼の営業は、まるで異なる。
――― 欲がない、欲がない、か。 暫く口を噤んでも、別にうたた寝しちゃあいない。 いまの欲求は睡眠欲でも食欲でも、なくて。]
…… 喜ばれたいッてのは、欲じゃないのか。 次に捕まえたら おれがあんたを連れて行くッてのも、欲じゃないか。
[夜の喫茶店を見たら、どんな顔をするだろう、とか。 笑うかおか、困惑したかおか 想像するのは難しい。何せ、意外と百面相なもんで。]
(263) 2015/08/04(Tue) 23時半頃
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[客の連れから、ひとりの客としてここを訪れた時には、
ホレーショーは店員から店主に変わっていた。
働かせてほしいと頼んだのは、更に一年ほど後のこと。
ここにいれば、いつか。
養父が、帰ってくるかもしれないと。
そんな淡い期待を寄せてから、
間もなく両の手が塞がる年月が経つ。]
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ふわあ。
[ゆるい、最後が締まらないのは、おれの性質だ。 掴んだ服の裾を離して 言いたいことをぼんやり言っている間にも陽は傾く。]
ファミリアッて、そういえば何処だ。
[場所の検討は付く、何せ夢に見る男が居るので。 花屋の検討も付く、これはもっと簡単だ。]
白い花、だっけねえ。 …… うん。 探して来る。
[ハンディキャップ>>262をくれたので 眠気ではない半目で、笑い、手を伸ばした。 よし、よし、髪を撫でる心算で、これもハンデで 許されるか如何かは、彼次第である。]
(268) 2015/08/04(Tue) 23時半頃
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そりゃあ、いい夢が見られそうだねえ。
[腹が満たされて眠るなら 夢も見ないか、あるいは、見る夢も良いものか。 おれのご飯になりはしない、空腹感、漸く、ねむい。]
内緒。
[突き放すリツ>>285の口振りも 喫茶店から此処まで、大分、慣れた。 ただでさえ堪えないおれに磨きがかかる。]
はは、…… 紹介制にも、理由はある。 昼は、あんな風だしねえ。 何時でも来れば、いい。
[気が向けば、と、彼のことばを借りて。]
(299) 2015/08/05(Wed) 00時半頃
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あんたの名前は、欠伸が出ないな。
[リツの想像が、おれの知る店の実情と かけ離れていくとは気付きようがない。 人間の成りをしている以上、口に出来ない部分が多い。
眠気まなこ、ちょいと深めて まじまじ、おれを見る目>>289に首を捻った。]
欲がない、なんてことは、ない。
[結論だけを漏らして、目と口が、笑う。 しかし目が口ほどにものを語るので おれが勝ったら、教える、とはよく言ったもんだ。]
(301) 2015/08/05(Wed) 00時半頃
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[欠伸を噛み殺せない上に 口許を手で押さえるなんて芸当も出来ない。
指は無事、リツ>>295の頭に触れて よし、よし、人間がよく、やる仕草だ。 褒めたり、寝かしつけたり、そういうのに用いるらしい。]
うん。 なんとなく、分かる …… と、思う。
[辿り着けなければ、道端に花を供える。 わりとそうしかねない口振りで、頷いた。 止めろ、と、言われた指は、すこし撫でて、離れて。]
はは。 一勝一敗。
(304) 2015/08/05(Wed) 00時半頃
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また、おやすみ。
[時間帯は気にしない。
撫でた指を揺らして、手を振るのは 別れの挨拶だ。おれは、知っているとも。
足取りはいくらか確りと――― しているかは怪しいもので、公園近くの、花屋を目指した。
大丈夫だ、ここまでは、迷わなかった。 金髪のこどもの二度目の襲撃にも合わなかった。]
(308) 2015/08/05(Wed) 01時頃
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――― 花屋から ―――
[陽が暮れる前に、買い付ける、白いはな。 初めは白い大輪の百合を勧められて
それは無理 それは 本当に 死ぬほど 無理で
甘い匂いのいくらか抑えられた薔薇を選んだ。 常連は人間の年配で、男性で ブーケを断り、一本フィルムに包まれる質素なもの。]
ふあ、 ………
[公園でしゃっきりしていた現の意識が 夢を頼りにファミリアを探したものだから、うつろ。 店の扉の前に辿り着いた頃には、既に他の面子は その扉の奥に潜ってしまって、いたようだった。]
(317) 2015/08/05(Wed) 01時頃
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………
[睡魔をはらはら漏らす半目で、扉を眺めて、]
………
[ひとつ、瞬き。]
おやすみ。
[夢を見なくなった、死を悼まれるひとに。 扉の前に――― 花を、置いて行く。 この店の店主が気付くか、あるいは、誰かが
それに期待して、おれは痕跡だけ残して、踵を返した**]
(324) 2015/08/05(Wed) 01時頃
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地下軌道 エフは、メモを貼った。
2015/08/05(Wed) 01時頃
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