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[打ち付ける音が、耳に届く。
鼓膜を震わせた音が、頭を痺れさせる。
ただでさえ頭が追い付いていないというのに、その口付けにより酸素の供給が阻まれれば更に、追い詰められることとなるか。
身体に浮いた汗は、背で滲んだ血液と混じりあい、シーツを赤く汚していく。
精の独特の香に混ざる、赤い鉄錆の香り。]
……っ、ぅ、 ん、 んン、っ、
っは、 くあとろ、 ……ッ、……い、きそ、
[そう口にしていながらも、既に何度か達していたのかもしれない。
熱く融けていく思考。
それでも裡の動きを察せば、更にきつく、きつく抱き締めて。]
ッ、 ん、 っぁ、 あ、 ――――……、
[一際大きく身体を跳ねさせれば、咥え込んだ茎ごとを締め付ける。
しゃくり上げるような呼吸を繰り返せば、最も大きな波に耐えるように。
内側へと精が注がれるのに、そろそろと身体の力を抜いた。]
……もう少し、このままで、
[背に回していた掌を頬に添え、小さな声で囁く。
絡めた指からは、既に力は抜けていただろう。
それでも、腰へと絡めた足は解かれない。
呼吸がある程度まで落ち着けば小さく頷き、その腰を解放しただろう。*]
[二人が立てる音が聴覚を犯す。
ぞくぞくと背筋が震えるのは、先が近いからか。
口付けから開放すれば、肌に浮く汗を舌が舐め上げる。
背では血と共にシーツへと吸い込まれて匂いを漂わせる。
本来は不快なものなのかもしれない。
けれどそれは嗅ぎなれた、ヒューの匂い。]
ん、わしも… やっ ば、…
[蜜を溢れさせるそこに手を伸ばせば、何度かぷくりと精を溢した。
それでも終わらせることなく、指先が先端を擦る。
抱きしめる力が強くなれば、同時にぶるりと背が震えたか。]
ひゅ…───ッ !
[締め付ける裡の奥を穿ち、腰が軽い痙攣を示す。
舌足らずな喘ぎが、しゃくり上げる呼吸になり
その奥へと放つ飛沫は熱い欲望。
数度に分けて、注ぐ。]
……も、少し?
[放ちきって、呼吸を数度。
その間止まっていた腰を、意地悪く旋廻させれば
中に注いだ白濁がこぷりと溢れるだろうか。]
だ、ぁめ。
ヒュー…、ん、もっかい。
[解かれない足に、にぃと口角を上げた。
繋がるままに、力の抜けた体を抱き上げてぐるりと反転させる。
後ろから包み込むように座った状態で、ゆるり、腰を動かして。]
後で、包帯、巻き…なおさん、っ、とじゃの?
[ベッドは余計に軋む。
男はまだ、彼を解放してやるつもりはなさそうだ*]
あんまりあっしを人前で
紅く染めるような事を言わないでおくれ。
恥ずかしくって散って仕舞うよ。
[誤魔化すようにくすくすと笑いながら彼の先を行った。]
[その後、部屋からバーへ行く途中の戯れの答えに、笑ってしまう]
俺はそこまで言ってないよね
それが望みなら
あなたを貪らせて
あの日、酔って俺に跪いて、何してくれた?
期待していいのかな
ー路地裏の或る日ー
[吸血鬼にとっても永い年月が経ち、街には高い建物が立ち並ぶようになった。
人目は嫌いだ。
人間のいるのが嫌で夜を選んで出歩いてきたのに、最近では人間は闇夜の恐ろしさを忘れてしまった。
人の気配を避けるように建物が壁のように並ぶ路地裏に私は歩みを進めた。
だというのになんてことだろう、歩みを進める先には沢山の人の気配がする。
嘲笑と微かな血の匂い。暴力の匂いだ。
まだ若く力の無かった頃に、人間たちに嬲られた記憶が蘇り顔を顰める。
気が付いたらそちらの方に移動していた。]
[そこでは一人の金髪の男が大勢の人間に棒を使って苛められていた。
人間たちはその行為に夢中でまだ私には気付いていない。
何処からか唸り声が聞こえた。
狼人間が満月につられて出たのかと思ったら、唸っているのは自分自身だった。
男を嘲り甚振る人間たちの顔が醜悪な悪魔のものに見えてくる。いや、人間だから醜いのだ。
"殺してしまってもいいじゃないか、
こんな奴ら。"
もう何百年振りだろうかというほどの激しい怒りに支配される。瞳どころか思考まで真紅に染まっていくようだ。
足に力を込めると、音も無く跳んだ。
棒を持つ人間の首を爪で一閃。
その隣の人間の腹を。
その隣の隣の人間の胸を。
項を。眼球を。
一閃。一閃。一閃。一閃。]
[一拍おいて、彼らから紅く美味な芳香を放つ液体が噴き出した。]
はは、ハ、ハハハハハハッ!
[こんなに愉しい気分になるのは初めてだ。
私はぐいと口角を歪めてまだ息のある人間を踏みつけにする。
これくらいじゃあ足りない。苦しんで死ねば良いのだ。
腹の傷をグリグリと踵で捻り潰す。人間は顔を歪めてその痛みの程を露わにした。]
ハハ、は……。
[だがその内妙な気持ちが湧いてきた。
苦しんでいるのを見ても先程のようには面白くない。]
……………死ね。
[もう助かりようのない程傷の広がったその人間の首を裂いた。]
人間はずるいな……。
[一思いに殺しても一方的に私の心を傷付けていくし、それならと苦しませて殺してもそれはそれで私の心を抉る表情をするのだから。
これからは人間を殺す時には大人しく首だけを裂こうと私は心に決めた。
金髪の男は気絶していたようで、ちょうどその時目を覚ました。]
おや、目が覚めたかい?
こんなに人を殺したのだから疲れただろう?
[この寂しさを、悲しさを埋めるものが欲しくて私は彼にそう微笑んだ。*]
[そして最後の旅。
一口目を嚥下した彼に口付け
口の端を舐めとる]
あはは、わからなかった
[得られたのは甘い香りだけ]
[その後酒の力を借りるまでもなく耳まで真っ赤になることになる。]
ばっ……!
[罵倒の言葉すら出ずにパクパクと口を開けたり閉めたり。人前で接吻するなんて!
そういう気障ったらしい事を一々するから、あっしがお前さんに夢中になる事になるんじゃないかい!]
[少し待てと、そう口にしたのは、達した後の身体では急に動きたくなかったから。
注がれたばかりの精の感覚だけで、頭がどうかしてしまいそうだというのに、そこに更に急な刺激が加わったらと思うと身動きが取れず。
そんな風に身体を落ち着けようと思っていたものだから、急な世界の反転に応じられる筈が、無かった。]
……ッ、あ、 やッ……
[上がる声は、妙に情けなく響いた。
再び始まる抽送に、再び声は甘く漏れだす。
止めろという『命令』は、決して口にはしない。]
……ッ、当たり前、だろ、……
俺じゃ、巻けねぇんだか、……ら、ッ ぁ、
[視界の端、寝転がっていたシーツが赤く汚れているのが見えた。
抱きかかえられる格好では、結局彼の身体も汚れてしまうだろう。
何よりも、常ならば直ぐに包帯で覆われてしまう古傷の背を、こんな格好で晒すというのがどうしようもない羞恥で。]
【人】 負傷兵 ヒュー[開放されたのは夜がどれほど更けてだったか。 (102) kirisame1224 2015/01/03(Sat) 00時頃 |
まあ、あなたが
たたなくても
俺は好きにすればいいのかな?
[そう耳元で囁いて]
うん、好きにして?
[上目遣いに強請った。
ついでにアイスを乗せたばかりの舌でべろりと彼の唇を舐める。]
今なら甘いよ、ふふ。
[彼が何事か抗議するなら
シャツを濡らすのを厭わず、彼に口付けし、
その口をふさぐ]
たたない相手なんて
俺はやだよ
それでも覚めないなら
口に指突っ込もうか?
[そう口元でささやき、彼に忠告したでしょうと仄めかす]
お前さん、いっ………んっ
[抗議しようとした口は彼に塞がれた。]
……………、
[酒の所為ではなく赤面した顔で彼をただ見つめる。
だから囁くのは反則だと言ったじゃあないか。
様々な種類の恥が胸の内で蠢く感じがして、
彼から目を逸らした。]
ご、御免なさい……
[なんだか怒られた気になって謝った。]
[男は優秀な犬ではない。
命令以外の『待て』など聞くはずもないのは、わかりそうなものだろうに。
それも達したばかりで敏感だとわかっているから尚更
更なる悦びを与えるため、更に自分を刻み付けるため。
快楽と愛しさで繋がる場所を深めていく。]
っく、 はぁ、ひ ゅう…!
[甘く、どこか情けなく上がる嬌声に応えるよう囁く。
何度も耳元に落とすのは彼の名前。
打ち付けに声が揺れても、何度も囁いて。]
そ、…じゃの?
────おまじ、ない。
[擦れる皮膚が胸を、腹を、かるい赤に染めていく。
痛々しい傷だと、何度見ても思う。
耳朶からうなじ、肩、そして背中にキスを降らせる。
傷のある場所にそっと触れて、呟くおまじない。]
[傷のことなど気にせず、深く繋がる未来を求めて。
包帯など巻かなくてもよくなる、未来を願って。
後ろから抱き締めた体を、下から何度も突き上げる。
貫くに等しい行為は、ベッドに組み敷くよりも奥まで熱を捩じ込むだろう。
軋む音も水音も、一度目よりも激しく。
やがて二度目の飛沫を上げたなら、きゅうとその体を抱き締めて
奥へと数度に分けられた精を放った。]
風邪、ひくなよ?
[目を閉じる彼にそんな一言を。
窓が開いてるんだからな、と付け加えて。]
……───おやすみ。
[閉じた瞼にそっと口付ける。
これも、『怖い夢』を見ないように。
夢でもあえますように。
そんな、おまじない*]
そんな顔しないで
怒ったりしてないよ
俺の我が儘なんだから
[酔いが少しは覚めたのか、
ふわふわと浮ついたとこの無くなった彼の頬に口付け]
頭洗ってあげようか?
[にこりと笑って
シャワーでぬるい湯を彼に注ぎながらそう問う]
あ、また頬に接吻した!
[別に今は人前でないからいいのだが。
繰り返されるうちに彼の頬への接吻が好きになってきた。]
怒ってないならいいけど……
頭洗う?しないのかい?
[未だ酔いの心地よさが残っていて、彼の笑顔をぼんやりと見つめる。
あーあ、彼のしゃつがびしょびしょになってしまっている。脱げばいいのに。
なんとなく彼の濡れたしゃつをきゅうと掴んでみた。]
甘やかしたいだけ
それとも、したいの?
[先ほどまでの性急さは棚に上げて
にこりと笑いながら、そんな事を言う。
濡れたシャツを握りしめた彼の指を一瞥
再び頬に口付けし、口元へ
ちゅ、ちゅと湯に濡れたそれを啄ばみ]
じゃあ、脱がせて
[傷が塞がったとしても、傷跡は消えない。
それを良きことと捉えるか、悪いことと捉えるか、それは考え方の問題だろう。
このクランで過ごした時間、自分はこの傷と共にあった。
もしこの傷が癒えたとしても、傷跡としてこの時間は身体に残り続ける。
そう思えば、残る傷跡もきっと、厭わしいものではなくなる筈。
なにより、最も傍にいてくれるという彼が、この無残な背を見ても嫌悪を抱かないというのならば。]
……あッ、……あっ、はァ、 ……ん、ッ
ッ……、 ……血、不味いだろ、……
[それは“吸血鬼”にかける言葉ではなかったのかもしれない。
薄い皮膚に触れた唇に、大きく身体は跳ねる。
深く、深くを抉り、貫く熱に、次第に呼吸すら覚束なくなる。
突かれる度に達しているのでは、などと錯覚するほどに。
内に放たれた精の感触にも、そのまま体重をその身体に預けていたか。
繋がりから抜ける感触にすら、軽く達しそうになっている事が悟られなければいい。]
【人】 負傷兵 ヒュー[先程迄の乱れが嘘のように、包帯はきちりと巻かれ、シャツの釦は留められる。 (116) kirisame1224 2015/01/03(Sat) 20時半頃 |
[閉じた瞳、触れた唇。
応える声はなかったけれど、口元は穏やかに笑んで。*]
【人】 負傷兵 ヒュー−翌朝 自室− (117) kirisame1224 2015/01/03(Sat) 20時半頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー→ 主の部屋 − (118) kirisame1224 2015/01/03(Sat) 20時半頃 |
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