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[ 暁様が再びの逢瀬を望むならば ]
[ 有明けの空にわたしは黄泉帰り ]
[ ともに愛でた薔薇の姿になって ]
[ 二人の時間を紡いでいけたのに ]
[ あの方の隣にはうつくしい女性 ]
[ そのままわたしを忘れて幸せに ]
[ どうか幸せになってくれますか ]
[ 嗚呼なんで幸せになるのですか ]
[ *あなたわたしをみすてましたか* ]
[ツキリとまるで薔薇の棘に刺されたような、痛みを胸に覚える。]
……俺は、珀と違って同調はしない筈なんだがな。
波長の問題だろうか。
[その痛みを、幾多の魂の想いの残滓とすり替えて、ポツリと呟いた。]
【人】 道案内 ノックス―回想・自室― (482) 2011/05/19(Thu) 10時半頃 |
【人】 道案内 ノックスせんせい? (489) 2011/05/19(Thu) 10時半頃 |
【人】 道案内 ノックス―大広間― (490) 2011/05/19(Thu) 10時半頃 |
……に、しても……
[じりじわじりり。
肌が焼けるような、痛み。
生きている人間のそばに居る時は気にせずにいられる程度だが、ひとり廊下へ出れば、少しでも距離をとろうとするかのように、壁際へ寄ってしまう]
……薔薇の方から、だよなあ。やっぱ。
[何を語りかけてこられる訳でもない。
ただ、無数の想いの欠片を、体質が感じ取ってしまうだけ]
日向っ!
[たしかに、痛みも感じたのに。
そこに居たのは日向ではなく。
庭の近いせいだと、自分に言い訳することもなく、ただ、静かに諦めの溜息を吐き]
……まだ濡れてたか?
[掃除は自分に任せた筈なのに、と言外に問う響きで、首を傾げた]
[1度目、日向を迎え入れた時の雫は珀が拭いたことは知っている。
2度目、日向が化け物に変わった後、珀が気を失って後の事は知らない。
拭かれていたならば、珀が拭いたのか……と。その言葉に思う。
大丈夫か?と視線で問うのは、幾多の薔薇に宿る想いが視えるから。
その1つ1つに同調してしまえば、身がもたなそうだと。]
あの中に飛び込みたいかっつーと、お断りだけど。
んな無謀はしねぇし、ひとと居る時はわりと、平気。
[とはいえ、必要とあらば飛び込みもするだろうが。
問われる視線に、へらりと笑って、軽く腕を擦った]
それよか、悪ぃ。……ちょっと、へばってて。
お陰でさっぱり何が起きたのか分かんねーから、蛍紫の知ってること、教えてくれ。
[蘭香を……と、話を振ったのは、これまでの説明の布石でもあった。
蘭香を選べといったことに対し、珀がどういう反応を示したとしても、ぼそりぼそりと状況の悪さを紡げば、何故そう言ったかは判ってくれるだろうか。
おそらく、雷が鳴る前に中庭に居た誰か――蓮端が濃厚か、が切欠で、日向が化け物に転じてしまったらしいこと。
その誰かは、暁様――怪談の屋敷の息子に、何か関係があるかもしれないこと。
大須の姿が視えないのは、多分、化け物となった日向の所為だろうということ。
己が判る範囲で、伝えられることは伝えた。
出来れば、蓮端に会って確認してみて欲しいとも。]
……話は、分かった。
夕輝先輩も、探してみる。危なそうだし。
[何故、そう言ったかは分かった。
分かったが、はいそうですかと笑って頷いてやれる言葉ではなく]
ああ、頼む。
今は、石神井先輩と一緒に部屋にいると思う。
でも、少しだけ時間はあけた方がいいかもしれない。
……それと、鳴瀬先生には、俺の眼のことは伝えている。
いい忘れていた。
[激情の色を見返しつつ、淡々と伝え漏れた情報を付け足した。]
[夕輝が哲人と居ると聞けば、広間前での様子を思い起こして僅か、ほころんだ気持ちにもなったけれど。
湧き上がった熱さに、あっという間に掻き消え]
それで、お前はどうすんだよ。
士朗せんせを選ぶってか?!
[普段だったら、何も気づかずに居た頃なら、何時の間にそんな仲良くなったんだ、なんて茶化していただろう言葉。
けれど今は、それすら裏切りのように感じて。
士朗へ感じた八つ当たりの憤りと、蛍紫に対するもどかしさの混じった憤りを、叫んだ]
何故、そこで鳴瀬先生がでてくるんだ?
[きょとんとした表情をしていただろう。
何を言っていると……。
少し息を吐いて、押し倒された格好のまま、手を伸ばす。
怒るとは思っていたけれど、ここまでとは思わなかったので、これ以上は言わない方がいいと、口を紡いで。宥めるように頭に伸ばす手。
触れたなら、それに何かを思い出す。]
……そうなったら、俺はお前を選ぶよ。
[けれど、何かを掴むことはなく、その代わり零れる飲みこんだ筈の言葉。はっと、それに気がついて、誤魔化すように]
お前が蘭香を。俺がお前を……そうしたら3人だろ。
[苦笑を浮かべた。]
[それだけ状況が悪いというのは、蛍紫自身が話したこと。
だから、たとえば、なんて仮定で済ませられるとは、感じられず]
……何で?
[きょとんとした表情に、問い返す声は、きっと眼差しに反して冷やか。
そんなつもりも無かったけれど、そうなってしまった。
だから、手が髪に触れたときも。
思わず、つよく振り払ってしまった手のちからだって、そんなつもりじゃなくて]
……っ、ごめ 、
[蛍紫より、自分のほうが驚いた。
まるく見開かれた瞳は、いま庭園で雫にうたれている薔薇の葉と、似た潤みを湛え]
…………それでも、オレは、蘭香だけを選ばない。
[苦笑に、きっぱりと答えた表情は。
おなじ場所で、意識を失う前、ごめんと告げた、泣き笑いに似たそれと同じだった]
[髪を撫でれば、首にかかる圧力に、思わずぐっと喉を鳴らすけれど。抵抗せぬまま、濡れた葉の色を見て、苦笑を深める。]
何もかも……と思っていると
そのうち抱えきれなくなって、全部取り落とすぞ?
[つっと眼を細めた段階で、眼鏡が飛んでいることに気がついた。
泣き笑いのような表情から逃げるように、指先が眼鏡を探った。]
そうなったらなったで、……蘭香とお前には、迷惑かかんねーようにするさ。
[逸らされる視線には、気づいたから。
ちいさく苦く笑って、身を起こした]
俺は、別にお前に迷惑かけられても良いのだけどな。
今更だろう……。
[冗談を言えというから、冗談を言ってみたという声音で、重くならぬように言う。]
俺が言っているのは、そういうことではないよ。
お前が心配なだけだ。
[己の放った言葉に、またデジャビュを覚えながら、身を起こす際に揺れる相手の髪を見つけた。]
もう、十分掛けてるじゃんか。
[これ以上どうしろと、と肩をすくめて笑う。
今更といえば、今更でもあり]
オレだって、お前が心配だよ。
[甘えている自覚はある。
けれど甘えられた覚えは無い。
迷惑かけようとしないのはどちらだと、思う]
そうか……。
[珀の言葉に、ふっと唇の端を持ち上げた。
その言葉だけで十分だという思いと。
そうでない想いが混ざって。
その話題に関しては、それ以上言葉を紡げない。
まるで無意識に、百瀬の質問から逃げたように。]
【人】 道案内 ノックス―大広間― (543) 2011/05/19(Thu) 15時頃 |
【人】 道案内 ノックス―良数の部屋― (545) 2011/05/19(Thu) 15時頃 |
そうか、世界は3人だけで閉じている訳ではないものな。
[ぼそっと呟いたのは、百瀬が去った後だろうか。]
決めつけられれば、怒る、か。
[判っていたけれど、実際の所、判っていなかった事実を百瀬につきつけられた形。
世界は3人だけでないということだけでなく、幼馴染達もそれぞれ恋愛をするだろうということも、実際に同性同士に芽生える恋愛感情があるということも。
……と知らされて、ん?と何か引っかかったように、眉間に皺を寄せる。自身については、まだ、判っていないという風。]
お前まで何言ってんだ。
[調音の言動だけでも分からないのに。
妙なことを言い出す幼馴染を、じとり]
うん、怒るな。……分かったなら良い。
[脈絡は分からなかったが、多分自分が怒った理由を納得してくれたのかと思って。
うんうん頷いている。
根本的な解決にはならないけれど、それだけで少し嬉しかった]
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