194 花籠遊里
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おかあさんのように
ぼくを
おいて、おいていかないで。
いいこにするから
わらっているから
なかないから。
はしたない、淫らな“ちょう”よ。
十分喜んでいるというのに、足らんと言うかい?
欲張りなものだねえ。
[嬌声滲ませ揺れ動く体。
痴態を晒す、焔花。
中を犯すは人の熱でなく、
無機質で冷ややかな万年筆。
男はゆらりと立ち上がる。
蝶が花を買い付けに訪れたなら
その秘所晒すように言いつけよう。
時には指先で溢れる蜜を掬い上げ。
喚く口の中へと運んでやろう。]
[知っている。
重ねる色が違うこと。
知っている。
造花の振りを望むこと。
―――“私”と“お前”は背中合わせ。
向かい合うことなど在りはしない。
あってはならない。
“ちょう”になりたい男と。
“花主”たる男なのだから。]
―――おいで、丁助。
[おいでと言いながら。
圧し入る熱は硬く。
初日花開かせたのと同じよう。
否、それよりも荒さは増そう。]
丁助。
[耳に落とす冷たい声。
氷の微笑は、歪んだ想い。]
“ちょう”。
[重ね合わせてすり合わせ。
穿ち貫いては、内へと爆ぜる。]
[雁字搦めの錆びた楔。
幾度も打ちつけ。
花を *手折る*]
あゝ。
煩わしさなんて、滅相もありません。
『花』でいられると謂うのなら。
僕はなんでもいたしましょう。
[その時の僕はどんな顔をしていたのでしょう。]
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