182 【身内】白粉花の村
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――…や、め、っ、
[悪い、なんて言葉>>12に、何をする気なのかと怪訝げに一瞬眉を潜めたけど、次の瞬間口の中に捻じ込まれた指先に思わず顔を顰める。 無遠慮に奥へと進む指の動きには物理的にも心理的にも嫌悪感しか湧かない。 身動ぎながら上体を引こうとするけど、掴まれた顎が幾らか痛むだけ。 指を引っ込めでもしてくれないかと、せめて僅かにでも侵入を防ごうと、歯先に触れるそれを、ぐ、と噛んだ時。喉の奥がむず痒いような感覚と、変に堰き止められてた胃液が、こじ開けられた食道から這い上がる感覚とで胸元が不快感でぐるぐるする。]
…ぅぇ゛ぇっ、ぇ゛…、〜〜ッげほ、…っ、
[頭を押さえつけられて半ばシンクにへばり付くみたいな姿勢になったけど、最早いっそ有難い。縁に腹を圧迫されて残った内容物も全部押し出される。 呼吸をする間や咳込む間を邪魔するように、何度かに分けて逆流してくる胃液を、遠慮なく吐き出した。
漸く胃の痙攣が収まると今度は容赦なく出てくる咳に背を揺らした後、途切れ途切れの荒い呼吸を漏らす。 さっきからジャアジャアと音を立て続ける水流に紛れて、吐き出した吐瀉物が消えてくのがぼんやりとした視界に映った。]
(25) 2014/07/02(Wed) 04時半頃
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――ッ、
[左頬に感じた衝撃に踏ん張りきれず、そのまま蹌踉めく様に体制を崩す。 殴られた頬をそっと摩り、けれどもその痛みがそれほどでもないと気付けば、ちらと彼の拳を見た。赤く腫れ血を流すそこを見て、わざわざ傷ついた方の手でしなくてもいいだろうに、と。深く息を吐く。後で治療してやらないければ]
[ぽつぽつと吐き出される弱音に目を伏せて。俯き言葉だけを吐き出す彼が、もしかしたら泣いているのではないかと、そう思ったけれど、どうすることも出来なかった。 慰めの言葉をかけるのも、その肩を抱いて宥めるのも、どちらも違う気がして。結局馬鹿みたいに立ち尽くして、その震える肩を見つめる。
やがて声に嗚咽が混じってくれば、困った様に眉を寄せた。患者に泣かれるのは、いかなる理由であっても苦手だ]
(26) 2014/07/02(Wed) 08時半頃
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……死にませんよ。
[ひとつ、言葉を落とす。 彼にも、他の患者にも。何度も繰り返してきた言葉だ。……そして、一度も受け入れられたことの無かった言葉だ。 今なら伝わるのだろうか、と。掴まれた胸ぐらはそのままに、そっと彼の頭を撫でた]
――貴方は治るんです。 私が治します、から。
[震える声が彼に届くかも分からないけれど。ひたすら言葉を尽くして、彼が泣き止むのを待った]
(27) 2014/07/02(Wed) 08時半頃
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[しばらくキリシマの胸ぐらを掴んだままだったが、落ち着くと手を離し、静かにその場から離れた]
…殴ってごめん
[理不尽な事くらい知っていたが、動かずには居られなかった。右手に鈍い痛みは残っているが放っておけば治るだろう。もし前髪が無く目がキリシマにも見えていたら赤く腫れ上がっていただろうが、見えないのなら問題はなかった そのままフラフラと院長室を立ち去ろうとするが、扉の前で立ち止まり振り返ってはキリシマを見て視線を泳がせ、頬を人差し指で掻いた。キリシマから見ればそれはわけのわからない仕草だっただろう]
あり…が、と。その……
[照れ臭そうに言うが殴った相手にお礼を言うのもどうかしている、と言う考えが結局スムーズに言葉を出させてはくれなかった]
……キリシマ先生
[聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟くと逃げるように院長室を後にした。言葉を数回交わしたかもしれないが、そんな事は覚えていなかった。部屋を出たクシャミは耳まで赤く、鏡を見ていなくても色がわからなくてもそれは自分でもわかるくらいだった]
(28) 2014/07/02(Wed) 10時半頃
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[文句を言いたげ視線>>24には気付かないふりをして。退がろうとする身体は、なかば無理やり引きとどめた。自分から離れたいのは結構だけれど、今それをされたらかなわない。]
ッ痛、……っこの、
[押し開けていた口の中、指の付け根の辺りに鋭く食い込む痛み>>25に、思わず声を上げた。 僕だって好きでやってる訳でもない。相手が聞いたらまた激昂されそうな言葉を喉の奥にとどめて、短い悪態だけを吐いて。
僅かな抵抗にそのまま退がるのも癪で、あえてさらに奥へと、噛まれた指を突き入れる。 奥から込み上げるものに気付けば、今度こそその指は引き抜かれたけれど。]
………、っ、
[揺れる後頭部を押さえながら、水流に落ちて排水口へと飲み込まれてゆく吐瀉物を、無感動に眺めた。 激しく咳込む声に伸ばそうとした手は、触れる寸前で握り込んで止める。 何か、自分も知らない何かが、弟の腹から吐き出されるのではないか、と。そんな期待は、結局わけのわからない妄想に過ぎなかったかもしれない。]
…当然だ。
[むしろその思考こそが異常だと、自嘲するように呟いて。 シンクからは目を逸らして、胃の内容物を吐き出して震える背中を、ぼんやりと見詰め続けた。]
(29) 2014/07/02(Wed) 12時頃
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[酷く激しく噎せ込む音に、はっと我に帰る。 思い出したように、今度は背に手を当てて、適当に上下させた。
何もかも飲み込んでしまったシンクに目を戻して、水を吐き出し続ける蛇口へと、手を伸ばして捻る。 ぎゅっと閉まった音を最後に、再びしんと静まり返った部屋の中、不規則な呼吸の音を聞きながら。]
……落ち着いたか、?
[しばらく言葉を探して、ようやく出した気遣いの言葉は、ずいぶんと白々しく響いた。 鈍い痛みを残した指を白衣でぞんざいに拭ってから、ハンカチを取り出す。]
(順序が、逆だ)
[手にしたハンカチに目を落としながら、そんな事をぼんやり思って。先からの流れに、自分の気持ちだってまだ落ち着いていないのだと、そこでようやく知る。]
…順序が成ってないのは、こっちもだ。
[シンクにもたれかかる弟の目の前にそれを突き出しながら、無感情にひとつ呟いた。先は本気で殺そうとすらしていた相手の介抱をする自分が、ひどく惨めに思えた。 それも、震える弟の背を見れば、それなりには慰められたのだけれど。]
(30) 2014/07/02(Wed) 12時頃
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………可哀想に。
[思わず口に出た言葉は、哀れみでも同情でもない。ただ、それを有難いと思った。 ――原因不明の奇病に振り回される弟の存在こそが、自分の支えなのだから。 指に残る歯の痕を目を遣りながら、薄く嘆息した。]
(31) 2014/07/02(Wed) 12時頃
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なーに、狼になってほしかった?
[あえて明るく振舞おうとする彼女>>14に合わせて、意地悪く笑う。レティーシャがそれでいいと言うのなら、自分が踏み込む問題ではないだろう。
顔を覗けば随分と顔色が良くなっていることに気付いて。お酒はほどほどにね、と頭をぽんぽん撫でた。]
……ん?あれ、なに?
[扉の下からはみ出ている封筒に気付いて、少女に尋ねる。手紙なんてずっと貰ってないなあ、なんてぼんやり考えながら。 中身が気にならないと言えば嘘になるが、プライベートなことだろうし、ひとりで見たいと言うならばこの場から立ち去るだろう。]
(32) 2014/07/02(Wed) 16時頃
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[自室に向かっていたクシャミだが、階段を登ろうとした所で自身の空腹さに気付いてUターンをする]
…ここでのご飯最後になるかもだよね
[なら、部屋に篭るのは辞めよう。せめて少しの人でも会って自慢ではないが転院出来て生きれるかもしれない希望を話そう。そう考えて食堂へ足を向けた]
ニッハハ。ニハハハ
[ポケットに入れたままの髪飾り。外を見てみれば灰色の空と目によろしくない色の葉。これに色が付いたら、と想像すると笑わずには居られなかった]
治ったらディンさんに自慢しに行きたいなー。僕だって生きられるんだって。あの人、今何してるんだろ
[ふと、一悶着あった彼を思い出す。笑わず、人を見下したように見ていた彼の笑顔が見てみたい。物の大きさに恐怖したり、椅子に座るだけで怖がってしまう彼女が今どんな生活をしてるのか]
…想像しただけでも楽しみだにゃー
[転院する先に彼等は居るだろうか。ここを離れるのは寂しいが、その先にあるものを想像出来る喜びを今はただ味わいたかった]
(33) 2014/07/02(Wed) 16時半頃
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そーやって子供扱いするーっ!
[両頬を膨らませて子供のように文句を言えば、扉の下に挟まる封筒を拾いあげて差出人を確認する。差出人がこの間話した医者>>3だと分かれば、手紙をドアの下から差し入れるってどうなの?と首を捻りながら封筒の端を綺麗に破り中身を取り出し、目を通す。]
(ーー転院?)
[病気の治療法が見つかった、という知らせに思わず眉を寄せる。治らないと言われていた病気の治療法が見つかったとしても、完全に治るとは限らない。そもそも治療を始めるまでに生きているかだって分からないのに。もちろん、嬉しくないといえば嘘になる。ただ、こうして病気の治療法が見つかる一方で未だに死を待つだけの人も居るだろう。目の前の彼>>32もそうかもしれない。 そんな相手にこの手紙の内容を明かすのも、無理して喜んでもらうのは酷だし、なにより身勝手だ。]
(34) 2014/07/02(Wed) 18時頃
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んー、大した内容じゃなかった。
[いつもの検査報告だった、と表情を変えずに伝えると手紙を破って捨ててしまおうか、そうすれば誰の目につくこともないだろう。…流石に破くのは手紙を書いた医師に失礼だろうか。 そんな葛藤の末に手紙をテーブルに置いて、手早く紙飛行機を折りはじめた。]
……できたーっ!
[ものの数十秒で出来上がった紙飛行機は決して綺麗でも格好良くもなかったけれど、満足そうにレティーシャは頷いた。飛べば見た目なんて関係ないよ、と豪語しながら不恰好な紙飛行機を眺めた。
それから病室の窓を大きく開く。窓からは中庭の色鮮やかな紫陽花が見えて、ふ、とマリーの部屋にわたしの紫陽花を忘れて来ちゃったなと思い出す。ーーその子達も一緒にお部屋に飾って大事にしてくれるといいな、と考えると目を細めて。
手紙で出来た紙飛行機を紫陽花の方面へ向かって飛ばすと、着地するのを確認せずに窓を閉めた。]
(35) 2014/07/02(Wed) 18時頃
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少し、ひとりにしてくれるかな。
[彼から目線を逸らし呟くと、ふにゃり、と笑みを浮かべて。疲れちゃったみたい、と穏やかに続けてベットに腰掛ける。 廊下で見た男女のやりとりに、手紙のこと、1度ゆっくりと頭の中を整理したい、そんな気持ちを悟られないように目を伏せた。]
(36) 2014/07/02(Wed) 18時頃
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…っは、…、
[荒い吐息を小刻みに零して呼吸の調子が戻るのを待つ。
散々ごねて、結局吐き出したのはただの汚い胃の中身だ。
喉をゆると擦ってみたけど、胃液の通った後のひりつく感じは拭えるわけもなくて、仕方ないからむかむかする胸の辺りを数度叩いて、口の中に残った気持ち悪い後味をべって吐き捨てた。
払い落した筈の手は再び背中に当てられていて、上下するその動きが子供をあやすようにも思えて、惨めさがじわりと募った。
途絶えた水音が室内に妙な寂寞感をもたらす中で、自分の呼吸音がいやに耳についた。
なんかごちゃごちゃ言ってんなあ、なんて適当に考えながら、一度閉められた蛇口のノブを捻ろうとして。それを回す力すらうまく入らないことに舌打ちを零す。再度力を篭めて何とか水を出すと、腰を深く屈めて流れ出したそれを適当に口に含む。
口内を濯いだ水を吐いて捨てると、横から突き出されたハンカチ>>30を雑な動きで受け取ろうとして。]
(37) 2014/07/02(Wed) 18時半頃
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[――"可哀想に"
その一言に、ぴたりと動きを止めた。
のろり、と気怠い動作で顔を上げて、相手を見た。 元から大凡健康的とは言えない肌がすっかり色を失ってる。]
…ふざけんなよ、 どこまで俺を見下せば気が済むんだよ…、
[向けられたその言葉>>31に、沸き上がった怒りで語尾が無様に震える。 自分がどんな表情をしてるのかもいまいち分からない。
未だに残る倦怠感を振り切って、俯せていた上体を起こすと、相手の首元を掴みに腕を伸ばした。
勢いなんてなくて、ひどく緩慢な動作にはなったけど。]
(38) 2014/07/02(Wed) 18時半頃
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[黙々と後始末をする弟の様子>>37を、惰性で背を摩りながら眺めた。 今度は振り払われなかったのは、いい加減に観念したのだろうかと。子供じみた我慢比べの勝者になったようなつもりになりながら。
差し出したハンカチを受け取ろうとして、けれどその直前で止まった弟の手に目を遣る。 ゆっくりと向けられた顔>>38は、未だ蒼白なままで。表情を無くしていた顔を、痛ましげに歪めてみせながら、震える声を聞いた。 マスクの下で歪みかける口角を、きゅっと引き結ぶ。]
……ふざけても、見下しても、いない。 だって――そうだろう、
[治療法の見つかっていない奇病なんて患って。 やり場のない感情を持て余して、自分に向けて爪を立てて。 死にたいとすら思うまでに、追い詰められて。 けれどそれさえも果たされなくて。
自分の先の発言を裏付ける言葉は、次から次へと浮かんだけれど。 さすがに口にするのは憚られて、ただ一言。]
(39) 2014/07/02(Wed) 19時半頃
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――、…僕が守ってやるから。
[幼少の頃から繰り返してきた言葉は、紛れもない本心だ。 それが、どんな感情に由来するものであっても。歳を経るごとに歪んで、変わり果ててしまったとしても。]
(…どこでこうなってしまったのか、なんて)
[思わない訳では、ない。ないのだけれど。 感傷だとか自嘲だとか、そんな感情よりも勝る"何か"が存在するだけだ。 ――そして今の自分には、それが無ければならない。
起こされた身体に眉を上げて、けれど身を引くことはせずに。 常に比べて随分と覇気なく伸ばされる腕を、伏せかけた瞳でひたと見つめた。]
(40) 2014/07/02(Wed) 19時半頃
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[暫く頭を撫でられていれば、落ち着きを見せたのかそっと顔を上げて。 そういえば、彼女はカップを持って此処にやってきていた>>23。と思い出せば、]
……なにか、たべにきたのか?
[ゆるり、と首を傾げつつローズマリーを見上げながら問いかけて]
(41) 2014/07/02(Wed) 20時頃
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[伸ばした腕に身動きもせず、逃れる意志の見えない兄の様子>>40には、余計に苛立ちを煽られる。 重い動きの割に随分と呆気なく掴めた喉元に当たる指先に、ゆっくりと力を篭めた。まだ少し、乱れた呼吸の余韻で手が震えるけど。
そうやって受け入れる振りをして。献身的な振りをして。 同情と保護を盾に自己保身の道具に使われている事くらい。 気付いていないとでも思っているのか。僕だってそんなに馬鹿じゃない。
例えその中に純粋な献身があったとしても、それを汲み取ってやれるほどの余裕もないし、兄に対する解釈はもうすっかり捻くれて凝り固まってる。]
それが見下してるって言うんだよ…!
[こんな行為ですら、受け入れようとでもするような相手が存在することに、何処までも甘えて安堵を得てきたことは事実ではある。分かってる。それを望んですらいる。でもそれじゃあ、劣等感に苛まれて自分を保っていられない。
複雑に捩れた感情は混在しすぎていてどれを優先すべきなのか、自分でも分からないから。今抱いた目先の苛立ちに身を任せた。]
"可哀想な弟"がいなきゃ、 自分が立ってられないだけのくせに…っ、
(42) 2014/07/02(Wed) 21時半頃
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(検査報告、ねえ)
[無邪気な様子で手紙で飛行機を作っている少女>>35を眺めながら、ゆるりと考える。封筒をちらりと伺えば、宛名がキリシマ院長だったことに気付いて。ただの検査報告ならば、こんな風に彼から手紙が送られることなどないだろう。 表情を変えずに読み終えた彼女からは、それが悪い内容なのか、良い内容なのか。自分には、分からなかったけれど。
紙飛行機を飛ばし、ベットに腰掛ける一連の動きはそのままぼんやりと眺めて。 掛けられた言葉には、そっか、と軽く応える。 不意に、目を伏せたレティーシャへ近付いて、しゃがみ込んで目線を合わせれば。]
会えてよかったよ、レティーシャ
[手紙の内容は、やはり分からないけれど、近いお別れを、何と無く悟って。くしゃりと笑って、でこぴんを一つくれてやった。 優しい彼女は、色んなことに悩んでしまいそうだけれど。そんな思考を吹き飛ばす、おまじないなのだ。彼女からしたら、また子供扱いをされたように思ってしまうかもしれないけれど。
徐に立ち上がれば、そのまま扉の方へと向かう。呼び止める声がなければ、そのまま部屋を後にするだろう。]
(43) 2014/07/02(Wed) 22時頃
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[食堂に足を向けていたクシャミだが、途中ある玄関でふと足が止まった。色んな人がここから出て行ったが、それをただ見送るだけで自分が出る事が出来なかった。その境界を自分があと少しで跨ぐ事があるのか、と考えると心躍らずには居られなかった]
…院長が言う事が本当なら、なんだけどね
[どちらにせよここから出れるという事実は有難かった。ついこの間までごく普通の年相応の生活をしていたのに寿命を宣告されてここに軟禁状態となっていたが、親は心配しただろうか]
そういえば…。朝顔ちゃんはお姉ちゃんにも会えなかったんだよね
[自分の家族にすら会う事が出来なかった事。ここに来る時の事は覚えていないが親はどういう反応だっただろうか、それはクシャミにはわからない事だった]
未来の事考えるって楽しいな…なんちゃって。ニハハハ
(44) 2014/07/02(Wed) 22時半頃
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[喉に当てられた手のひら>>42は、まるで先の自分の行動の反復のようだと思った。 じわじわと力を込められて、それに比例するようにぐっと眉を寄せる。]
………っ、
[そのまま力を入れ切って骨をへし折るのは、きっと無理だろうと、そう高を括ってはいるけれど。だから、振り払いもしないけれど。 それでも他人に急所を晒して触れられるのは、ひどく居心地が悪い。 目の前の弟はどうしてそれを自分に許せたのかと、思考を飛ばしかけて。 荒い語調のまま、尚も言い募られる言葉にすぐに引き戻される。]
理解できないなら、それでもいい。 けれど――…、
[それならばこれ以上話すことはない、と。 話の通じない子供を宥めるように、わざと呆れ混じりで吐き出した言葉は、最後まで言い切ることはできなかった。]
(45) 2014/07/02(Wed) 22時半頃
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……ッ、もう一度、言ってみろよ。
[その後に続けられた言葉に、冷静ぶっていた頭にかっと血が上る。 耳が熱くなるのも自覚はしたけれど、そんなことに裂けるような思考の余裕なんて、一気に吹き飛ばされた。
もう一度なんて聞きたくない。よりにもよってその対象から、事実を突きつけられたくなんてない。]
立ってられない?…僕が? ひとりで居られないのはおまえだろ…!?
[伏せていた目を見開いて、目線より下にある弟の胸倉を掴み上げる。 まともに取り合ってはいけないと、理解っている。理解っていても、そうせずにはいられない。
掴んだ手に力を込めて、未だ健康とは言い難い身体を、衝動のままに押し遣って。 大した抵抗がなければ、自分よりも小さい子供の身体をシンクへと叩きつけるのは容易だっただろう。]
(46) 2014/07/02(Wed) 22時半頃
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ーーネル、またね!
[向けられた背中に、明るい声色で述べると手をひらひらと振った。彼に心の内を見透かされているように思えて、敵わないなぁ、と素直に思う。 折角出会えたのに、明日から会えないのはなんだか寂しくて仕方が無くて。ーーいつか、彼の病気の治療法が見つかって再会出来たらいいのに。そうしたら、彼の絵本を読ませてもらって、色んなお話をして、もっと仲良くなれるだろう。そんな未来がきっと訪れると信じて、「さよなら」ではなくて、「またね」と言ったのだけど、彼には伝わるだろうか。
ーーそれでも人との別れは寂しいもので、涙がこぼれそうになるのを静かに耐えながら扉が閉じるのを待って。]
ありがとう、
[扉が閉まりきったあと、彼に聞こえもしないお礼を言えば、堪えていた涙が次々と頬を伝い落ちた。]
(47) 2014/07/02(Wed) 22時半頃
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[紙コップの中味に興味を示す>>41少女に問われれば、ぐぅ と腹の虫が嘶きひとつ。目の前の食べかけのオムライスを見ては空腹が刺激されてしまったか。彼女は椅子を引き、少女の隣に座る。]
そうね、ご飯はちゃんと食べなきゃねっ。 本当はミルクを飲みに来たのだけれど…何だかお腹が減ったから私も食べるわ。 [そう言うと、紙コップの中のミルクをちび、と口に運んでは 好きなの。子供みたいよね?と少し戯けて笑って見せる。それが少女にとって残酷な行為だと言うことは知る由もなく。]
(48) 2014/07/02(Wed) 23時頃
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[暫く頭の中を整理していると、涙はいつの間にかとまっていて。未だに濡れている頬の涙を両手で拭い取る。 ーー悔いの残らないように、と先程まで一緒にいた青年の言葉を思い出す。ちらり、と壁掛け時計を見ると、思いの外この場所を去るまでの時間がそこまで長くないことを思い知らされて。]
(なにか、やり残したこと……。)
[真っ先に頭に浮かんだのは、最近この病院で出会った人達で。ここで出会った人の顔を見ておきたいな、と考える。明日から会えなくなるし、最後にそんな思い出を作りたい。もちろん、転院することは告げずにだが。 なんて身勝手で我儘なんだろうと自分でも呆れてしまうけれど、どうしてもこのまま誰にも合わないで転院するのは寂しくて。 もしも転院したことを知られたら嫌な奴だと思われたり、失望されるかもしれないけれど。それならそれで受け入れるだろう。 ゆっくりと立ち上がり、いつものように鏡を覗き込む。涙を拭き残していないかを確認して、髪を簡単に整えると部屋を後にした。]
(49) 2014/07/02(Wed) 23時半頃
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[骨なんかよりは随分柔らかいその部分に指先を食い込ませるのはそう難しくなくて、徐々にかける力を重ねていく。
掌に触れる喉が、呼吸の度、言葉を紡ぐ度に動いて、 今握り緊めているそれが人形やなんかの物ではないと実感させられるのは、少し気持ち悪くて、僅かにだけ眉間に皺を寄せた。
反論できるもんなら、してみろよ。誤魔化させなんてしない。 そんな意図をもって睨みつけるような視線を向ける。
常の調子のような、言い聞かせるような、そんな語調>>45にはぴくりと片眉をあげたけど。そんなの無かったかのように崩れた冷静さに、双眸を細める。
別に何度言ってやったって構わない。
開きかけた口は胸倉を掴む動きに阻害されて、再度先の言葉を口にするタイミングを失ったから、一度唇を引き結んだ。]
(50) 2014/07/02(Wed) 23時半頃
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い゛ッ…、
…っ、の、やろ…、 図星だからキレてんだろ!?いい加減認めろよ!
[叩きつけられた衝撃を受けた背に痛みが走って、苦痛に顔を歪めた。 それでも相手の首を掴んだ手は離す気もなく、変わらずの力を篭めたまま。
またそうやって俺に惨めさを押し付けるのかよ。 押し付けられたシンクの硬い表面にずきずきと背骨が痛む。
苛立たしげに声を上げて、むかつく相手の顔面でも殴ってやろうかと空いた右手を握ろうとして骨が痛む。ああ、くそ。苛々する。何もかも、思い通りにいかない。 代わりとばかりに相手の腹部にむかって膝を蹴り上げた。 うまく発散できない苛立ちや言葉を、こうやって暴力に換算してるのは、相手にはもうとっくに知れたことなんだろうけど。]
(51) 2014/07/03(Thu) 00時頃
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[取り敢えず1Fを彷徨いてみよう、と歩みを進めていると病院の出入り口付近に見覚えのある猫耳を見付けて。一瞬、マリーのことが脳裏に過ったけれど、最後に話すだけなら許してくれるよね、なんて考えて。]
ーークシャちゃん。 ここで、何してるの?
[近くまで歩き、声を掛ける。ほんの少し声が上ずったのを誤魔化すように笑みを浮かべる。彼が人と話したくないようならばこの場を立ち去ろう、と密かに心に決め、相手の反応を待った。]
(……拒絶、されなければいいけれど。)
[彼に心の中を悟られないように、あくまでいつも通りを演じたつもりだが、気付かれていないだろうか。ただ、それだけが気掛かりだった。]
(52) 2014/07/03(Thu) 01時頃
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[彼女の紙コップの中身を飲み、嬉しそうに微笑む姿>>48。いつも大人びている彼女とはまた違う、無邪気な表情。 きっとあの中に入っているのはミルクだろうな、と思いながら。]
…ああ、でもあいらしいとおもうぞ
[昔は自分も良く飲んだな、なんて思いながら。もう飲めないんだろうか、なんて少しの不安を心に滲ませて、小さく笑って見せた。 何かを飲む、と言うのは彼女達にとってごく当たり前の行為であり、いつもそれを敏感なくらいに気遣うネルをふと脳裏に思い出しながら、そっと悲しさと焦りは胸にしまった。]
でめてるは、ここでまってるから いっしょに、たべよう
[すとん、と椅子に座りながら投げ出したスプーンを手繰り寄せつつ、彼女に告げた。冷え切ったオムライスもそれはそれで美味しいかもしれない]
(53) 2014/07/03(Thu) 01時頃
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[突然かけられた声に特に驚く様子も無く、近付いてくるのが前々からわかってたかの様に振り返ると、色が見えていた頃とは違いそこには白と黒だけで表された少女(>>52)が立っていた 色が見えていた頃はもっと綺麗だった。色が戻れば、きっとその頃よりも…と考えた所で嬉しく、そして今が悲しくなった]
レティやっほー。ニハハ、どしたの?散歩?
[玄関の扉をずっと眺めてる自分を疑問に思ったのだろうか、それとも単純に居たから声を掛けたのだろうか、と的外れな考えをしながらレティに質問を交わしてみる。そんな事より自分は何故?という質問も予測したようで]
ーー僕ね、病気が治るらしいんだ。それでもうすぐ転院する事になっててさ。…死ななくて良いんだって
(54) 2014/07/03(Thu) 01時半頃
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