25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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ちょっと外の空気吸ってくる。 大丈夫、すぐ戻るから。 刷衛か明が来たら散歩だって謂っといて。
謂っとくけど 自殺とかしたりはしねーから 心配しないで?
[ひとつ寝たからか 優しさが在るからか 辛く苦しい中で それでも揺らがぬ唯一の約束 使用人へと謂いつけて 少し重い身を引き摺る]
―B棟から本邸への廊下―
(170) 2010/08/09(Mon) 01時頃
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[密やかなる場所に聞こえるは二つの荒い息遣い。 喰らう獣と、喰らわれる獣が、 零す声は艶やかなものだけではなく。 暴くのは白い肢体だけではなく、その本性まで。]
[裂かれるたびに滴る果実は白の花を赤へと染めて。 喰らわれていく痛みを噛み殺す憂いの黒檀は、 それでも喜びを伝えるかのように涙を零すと
赤い手で、白い頬を撫ぜ]
(171) 2010/08/09(Mon) 01時頃
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― 本郷の部屋 ― [本郷の部屋にたどり着くと 既に死後硬直の始まった身体を そっと寝台に寝かせられる方向に寝かせて。]
……ごめん、ちょっと……失礼……
[先程しまった短剣を取り出し その髪を二房、削いで切った。
この件が無事に終わったら、一房は親族へ もう一房は……託された邸宅にあるであろう蓮畑へ]
[着物の見えぬところを切った白布にそっと包んで 懐にしまえば、最後にもう一度だけ その頭を撫でて、そっと部屋を後にした]
(172) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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記者 イアンは、本邸に向かう道すがら、珍しい髪色を見かける
2010/08/09(Mon) 01時半頃
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―――…かすみ…
[痛みが 遠のく…残るのは、 望み叶い、満たされたという 喜びだけ。]
(173) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/08/09(Mon) 01時半頃
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[白い肌が映えるのは、灯火の下だけではなく。 鮮やかな返り血に染まっていく、その姿がおそらく一番映える。
積年の渇望を満たすように、息を荒らげてその肉を貪る。 それでも別れが惜しいのか、心の臓と顔には手が出せぬ。
血の気の引きゆく片割れの肌は、己の白い肌と同じ色。]
(174) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/09(Mon) 01時半頃
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―――…おぼろ…
[見つめ合えば、きっと鏡写しの笑顔。 血濡れた唇で、血の気の失せた唇を彩る。]
(175) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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……生きろ……
[朧月が己が死を望む姿ならば、 目の前の月はその対なる位置にあるはず。
―――痛みはもう感じることがない。 だから、穏やかに笑って そう言えていただろう。]
(176) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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― 廊下 ―
……月瀬………?
[白い服、淡い色の髪が夜の闇にぼんやりと、 青年はその姿に声をかける
ああ、そういえば、彼は…… どうなのだろう?獣の種は彼の中にあるのだろうか?]
(177) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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―廊下―
………。
[煙管に刻み煙草を詰めて 身に、子に悪いと知らぬ故 吸い込み吐き出す紫の煙 まだ桜の色をした髪が やはりふわりと風に揺れ]
外もあんま いい空気じゃねーな。
[血生臭い ぽつりと呟く姿は 紅い眼の男に 映るだろうか]
(178) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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[狼の鉄色の瞳は、自分を部屋へと運んでゆくその後ろ姿を 色硝子の光の落ちる廊下でただじっと見ていた。
もう、自分の時間は追いかけているだけの余裕はない。 逝かねばならないと己の姿が伝えている。
狼の姿は揺らめいて、人の姿へと変わる。 もしも紅色の花がその姿を月瀬の向こうに認めることができたなら
きっと穏やかな表情で何かを口にして 幻は色硝子の光の中でするりと───消えた**]
(179) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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[その身体がもの言わぬ果実と成り果てたのは、何時か。 滴る雫全てをも、その半身へと明け渡して。]
[脳裏で滴り続けていた水音も、
もう、聴こえない。**]
(180) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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…あ、……あぁ、ッ!
[爆ぜる白、爆ぜる赤。 彼の灼熱をその身で受け止めながら、一思いに心の臓を握り潰した。]
(181) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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……その笛、夜光の……
[黒の笛をそっと受け取り、夜光の髪と同じその色の表面を撫でて]
……ありがとう……
[それは夜光へ向けてか、明之進へ向けてか、刷衛へ向けてか。それともそのすべてだったかもしれない]
(182) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2010/08/09(Mon) 01時半頃
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[最後に耳に届く言葉。]
されど、もう決めたのです…。 ひとつになった月は、共に沈むのだと…
愛しい雛鳥を迎えに行って、共にそちらへ旅立ちます。
(183) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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懐刀 朧は、メモを貼った。
2010/08/09(Mon) 01時半頃
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イアン…? 随分と酷い姿だな。
[かけられた声に振り向いた 夜にぼんやり浮かぶ姿は 独特の艶在る佇まい]
………。
[何か話すかと眼が誘う]
(184) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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欲しいものは、全て手に入れたから。
わたくしに、未練などもうありませぬ…。
(185) 2010/08/09(Mon) 01時半頃
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