52 薔薇恋獄
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『恋に破れた、とッても可哀想で、愛おしいヒトたち』
『恋を失うのは とても苦しいわ とても悲しいわ』
『あなたたちの 涙は わたしが 受け止めてアゲル』
『この 降り注ぐ わたしの 涙の 雨 のナカで』
『ワたし と いッしょ に ねむ リ ましョウ?』
ヴェスパタインは、ぞろ目するのはランくんだけじゃなかったらしい。
sakanoka 2011/05/25(Wed) 14時半頃
― IF魔法少女になっちゃったvre ―
[ドドドっと地鳴りの音がした。
反射的に蘭香の身を抱き寄せ、身を丸めた。
右へ左へ、上へ下へ――もみくちゃにされながら、
それでも必死で抱きとめた時間は永遠にも思えたけれど、
きっと実際の時はそれほどでもないのだろう。]
蘭香、蘭香!しっかりしろっ。
[気がつけば暗闇。おそらく土砂の中なのだと思う。
痛みにあまり身じろぎできない中、腕の中の幼馴染に声かける。
じゃりっと口の中に土の味。
冷えて行く相手の体温。
――……覚える絶望。]
[と、闇の中に仄暗い光を見た。
光という、言葉は間違っているかもしれない。
闇より尚、黒い故に光って見える存在。
黒光りする鎌、黒いから見えるかんばせは、しゃれこうべ。]
死神……―――?
[タロットカードに描かれるそのままの姿。
呟けば死神が此方を振り返り、にたりと笑った。]
え?
[そして、持ちかけられる契約。
――……迷いはなかった、腕の中の命が助かるというのならば。
契約を結べば、死神は満足気に姿を消した。
それと共に見える、淡い光。がむしゃらになって、片腕で蘭香を抱き止め、片手を伸ばした。
嗚呼、それはきっと、彼(楓馬)なのだと思う。
指先が触れる、嗚呼、彼の顔が見えると思ったその瞬間。
――……全ての光を失った。]
[死神との契約。
生と死を渡る紫の両目が、蘭香の命を救う対価。
そのことを誰にもいうことはないけれど。
命を救う対価としては、安いと思えども。
あの一瞬、見えそうで見えなかった記憶が妙に切なく思える。
その感情もまた、対価なのかもしれないけれど。
最後に脳裏に焼きついた彼の表情は泣き顔だから。
だから、目覚めたら事あるごとに確かめてしまうのだろう。
指先が、楓馬の頬に触れる。蘭香の頬にも。
今日もちゃんと、笑っている、か……と*]
ヴェスパタインは、ナリくんの中の人に気が付いたら抱き締められてて窒息していた。いやん。
sakanoka 2011/05/25(Wed) 21時半頃
ヴェスパタインは、ネイが………。ほろり。
sakanoka 2011/05/25(Wed) 22時半頃
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[不思議な夢を、見ていた気がした。 泣いていた。抗っていた。心に、何かが灯った。 誰かの声が聞こえた。何故か、それが苦しかった。辛いと思った。 目覚める前の温もりと幸せを抱えたまま、冷たさをも、抱えた。]
………、
[瞼を閉じたまま目を覚ます。傍から見れば、まだ眠っているも同然だっただろう。 どこか暖かくて、水っぽいにおいがして。 夢心地が抜けないまま、ただ漠然と思ったのは死だった。 それが何故かこわくなかったのは、きっと隣に誰か居たせいで……。]
………?
[ざわつく声もぼんやりと耳を通り過ぎていくまま。 その隣にあったはずの温もりがなかったことに、気づいた。 その隣に居たはずの人が他の誰かを揺さぶりに行った後に、己が目覚めていたことも知らなかった。]
(35) sakanoka 2011/05/25(Wed) 23時頃
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(て、つ)
[こわかった。 こわくて、けれど身体が重くて動かなくて、声さえも出なかった。 触れてほしかった。彼と同じ此処に居るんだって教えてほしかった。 そんな時に、くちびるに微かに触れるもの>>31を覚えた。]
……、……。
[瞼を、開いた。 次第にはっきりしてくる視界。その目に、映ったのは]
……て、つ。
(37) sakanoka 2011/05/25(Wed) 23時半頃
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[ちゃんと、見えた。哲人>>42が笑ってくれていた。]
……てつ。
[声が聞こえたおかげで、また少し意識はしゃんとし始めていて。 けれどそれでも、周囲を見るより前に。 また隣に横になった哲人に、そっと身体を寄せた。]
テツ。良かった。居た。 ……居なくなったって、思った。
[言葉を紡ぐ度に、涙が零れて、溢れ出してきて。 夢の名残の冷たさも、一気に忘れられるような気がして。 落ち着くまで暫く、傍らのその人の肩に縋っていた**]
(49) sakanoka 2011/05/26(Thu) 00時半頃
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『置いてなんて行かないよ』
『一緒に行こう』
きっと。それが、あの人の望んでいた言葉だろう
『大事な人』は自分じゃないから
言ってはいけないと思った
紡ぐのは逆の言葉。もしかしたら、とても残酷な真実を
結局、『置いて』いなくなった
選ばれなかった
届かなかった
もっと違う言葉をかけていれば
励まし? 慰め??
そんなものこそ、『要らない』
けれども。
ここに『居る』のは、あの人が想ったから。
想いが届いたから。
選んだから。
―…なのでは?
せめて、笑顔…で
逝ってくれただろうか
『ごめん』の代わりに、願う
次は、もっともっと幸せに生きて
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[確かに感じる哲人>>52の存在。 髪に触れられた時の微かな感触。 彼と比べても高いばかりで頼りない背中は微かに震えて。 震えながらも、はっきりと声に出した。]
絶対。うん、ゼッタイ。 おれも、勝手に消えない……絶対っ。
[……と、さっき決めたはずの目標を破っていたことに。 彼に言われて、気づいて……でも結局泣き止めなかった。]
だって、だって……
[それが自分でもおかしくって、哲人が笑うのにもなんだかつられて。 嗚咽の所為で上手くは笑えない笑い声が、微かに混じった。 情けないなって思いながら、撫でてくれる手に慰められ続けていた。]
(82) sakanoka 2011/05/26(Thu) 17時半頃
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[そのうちに泣くのをやめて、顔を起こして軽く周囲を見回した。 うろの中、かどうかも良く把握はできなかったが。 他の皆の姿……その中に、さっきの屋敷の中で見た覚えのなかった面々の姿が捉えられたなら、軽く瞬いて。 彼らの話とか睦言とかは聞こえずとも、何となく目を逸らして……。 けれど……ほっとしてもいた。
……そして、居ない人も、いた。]
(83) sakanoka 2011/05/26(Thu) 17時半頃
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[やがて克希が外に出て道を示した>>74後の頃。 なんとか立ち上がってから、哲人にそっと手を差し出した。]
おれたちも、行こ、テツ。
[やがて外に出れば、空の虹に気づく頃。 細い下り道を、哲人の後ろから降りていく。]
綺麗。
[その色は何度もキャンバスに描く程に好きな七色。 けれど今はやけに、鮮やかに見えすぎて。 癒された筈の冷たさが、まだ少しぶり返して……。 ……この七色が、忘れられない気がして、手に力が籠った**]
(84) sakanoka 2011/05/26(Thu) 17時半頃
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離れない。 ……離れたりなんか、しない。
[今交わした約束の通りに、そしてそれ以前からの想いの通りに。 うんと頷いて、哲人>>107と手をつなぎながら、その後ろを歩き始めた。 口にしても心の晴れることのなかった言葉。 ……綺麗、の言葉を、哲人も口にしていた。]
……そうだね、綺麗。
[もう一度、小さく繰り返した。 手の力が、少しだけ雲を晴らしてくれている気もして。 ぽつり、独り言の心算で零したのは、子供の瞳が見た色を示す言葉。]
やっぱり、似合う。 空の青と、赤色の……君。
[最後だけ、はにかんで、はっきりとした言葉にはしなかった。]
(114) sakanoka 2011/05/26(Thu) 22時半頃
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[たぶん、降りきるまでに自分でも口にできた言葉は、それだけだった。]
[麓に近づくそのうちに、近くなる騒ぎ。 今まで経たものこそ、まるで現実から離れた出来事のようだったはずなのに。 今目にしているものに、聞こえてくるものに、現実を感じなかった。 ……多分、感じたく、なかっただけだった。]
…………。
[立ちすくんでいた。 そうしてただ引き寄せられて、抱き締められた。 少しの間の後、そっと、俯いて哲人の背に手を伸ばした。 ただ彼を守るように、自分をも彼に守ってもらうように]
だいじょう、ぶ。
[声は明らかに、泣きそうに震えていた。 けれど泣かないまま、泣けないまま……。 喧噪を避けるように再び歩き出したのは、それから幾らか後のこと**]
(119) sakanoka 2011/05/26(Thu) 22時半頃
|
/*
延長の話が出ましたので、ちょっと日向さんで。
今のままですと、あと25時間ほどでエピローグが終了します。
【★延長を希望される方はメモでその旨お知らせください】
村建としては、2回延長フルで使って日曜日までまるっとエピローグでいいのではないかなと思っていますが、皆様もご都合とか色々あるかと思いますので……。
アンケートとさせていただきます。よろしくお願いします。
/*
日向だ!
[むだに赤ログ。
えあーぎゅむぎゅむした。ぎゅむぎゅむ]
/*
ありがとうございます。延長しました。
楓馬
『あなたって本当に変わってるわね』
[ エアーむぎゅむぎゅを貰った ]
[ 勿論、触れられはしないけど ]
『言ったでしょ。気持ちだけで十分』
ヴェスパタインは、家にはちょっとかれs……友達のうちに遊びに行って遅くなるからと電話しておいた
sakanoka 2011/05/27(Fri) 00時半頃
/*
だって日向すきだし。
[あふれるほどのらぶを送った。
とっても一方通行]
そして延長りょうかいっす。お疲れ様!
ヴェスパタインは、日向の横のランくんに、おやすみなさいノシ
sakanoka 2011/05/27(Fri) 01時頃
|
―― あれから ――
[少しだけ、周囲の目線が変わった気がした。 もともとよく保健室に逃げるような生徒だったから、少し浮いてはいたのだろうけれど……。 受ける目線があまり好きになれなくて、時々俯いていた。 気遣うような言葉であっても、何も返したくなかった。
けれどそれでも、あの日以来、保健室に通う頻度は少なくなった。 別に身体が良くなった訳ではなかったのだけれど。 ただ、もっとたくさん一日を確り生きていたい気持ちが強くなっていたし。 教室でも、……離れたくないなって想いが、やっぱりあって。
で、家に帰ったら、また今日も頑張った、明日も頑張ろう、の繰り返し。 ただ、頑張り過ぎて帰ってきた途端に倒れてしまうことが増えたのと、 自立した姉が多く電話を寄越すようになったのと、 母がぎゅっと抱きしめてくれることも多くなった、という違い。]
(174) sakanoka 2011/05/27(Fri) 12時頃
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[放課後の訪れを無事に教室で迎えて、3人で足並み揃ってまた部室に行ければいいな、って思う。 ただ、部室に行けば……無意識に、居ない人の姿があるような気がして。それに気づいて、塞いだりもする。 内緒話は内緒話のまま。 気づけなかった秘密や恋心はおそらく気づけないまま。 受けた気遣いに対する感謝も……まだのまま、だった。
それでも落ち込んだりするのはきっと誰も望まないことだし、 あの人にわざわざ叱って貰うことになるから。 だから、なるべく、しゃんとしようって決めていた。]
(175) sakanoka 2011/05/27(Fri) 12時頃
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[その日は、少し部室に来るのが早すぎたのかもしれない。 ゲームしよう、ってなる前に、部室の隅にひっそりと佇んでいたものが目に入った。]
……これ、よく、塗られてたんだったっけな。
[墨汁。 なんとなく、黒いものを指先に垂らして、うっかり垂らし過ぎて。 その指で頬にそっと触れてみた。
……むなしくて、結局、指を下ろした。 頬を擦った所から緩く落ちた痕が、黒い涙みたいになって。 行き場のない黒い指がテーブルの余った紙に描いたのは、黒い虹**]
(176) sakanoka 2011/05/27(Fri) 12時頃
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ヴェスパタインは、うん、まっぱでも何の問題も……ノノ 行ってらっしゃいの方はいってらっしゃいませ。
sakanoka 2011/05/27(Fri) 14時頃
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―― ある日の部室>>188 ――
[ぼんやりと黒い虹を眺めていたところで、ふいに背中に力を受けた。]
っ……!
[驚いて、振り向こうとした。 振り向こうとして……結局、そのまま俯いた。 抱きついてきた腕の高さ、手の触れ方……。 目で見なくても、それが誰なのか、判ったから。
その腕の温もりに、少しだけ口許が緩んだ。]
(205) sakanoka 2011/05/27(Fri) 21時半頃
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[白い紙の上、自然に指が描いた弧の形。 暫く見詰めていれば、その形はいつかの空に架かった橋に。 その墨色は、昔の思い出と、今も抱えたままの暗さに見えた。
……でももう泣き虫じゃないし、へこんだりもしない。 だから、泣かない。 温もりに、心が緩んでも、それでも泣けない。]
………テツ。
[口許を緩ませたまま、ゆっくりと、振り向いた。 振り向いた側の右の頬に、墨の滴が伝っていた。 何か、口にした。けれど、声が霞んで何も伝えられなかった。
黙り込んだまま……制服のズボンのポケットに右手を入れて。 墨がべっとりと移ったキャンディの包みをそっと持ち上げた。]
…………。
[気づいたのはポケットから取り出した後、だった。]
(206) sakanoka 2011/05/27(Fri) 21時半頃
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>>208 [びっくりしーませーんでした、とばかりのしれっとした顔でも、この時浮かべられたら面白かったのだろうけれど。 何故か、それも咄嗟にできなくて。 ただ、上手く明るくは振る舞えないままの、余計につまらない反応になってしまっていた。
振り向いてからも、おれはきっとそんな様子で……。 下から向けられた哲人の瞳の色に、また少し、目を伏せて。 けれどキャンディの方に視線が移れば、一先ず緩やかに身体を彼の正面に向けようと捻りながら]
……あの、さ。 これ、前、貰ったお菓子の、お礼。
[キャンディを胸の上の方まで持ち上げた。]
だったん、だけど……汚しちゃった、な。
(210) sakanoka 2011/05/27(Fri) 22時頃
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>>214 [人目を気にするにも、気にするだけの力は今なかったのかもしれない。 今はただ、くれんの、という哲人に小さく頷いた。]
拭く、けど。 それでも墨取れないかもだけど、良い、なら……。
[ティシュはこっちかな、ともう片手で軽く手繰り寄せて、右手の指とキャンディの墨を拭いはじめた。]
……ばかみたい。 ユリにこんな顔見られてたら、呆れられる。
[一滴、零した。]
(217) sakanoka 2011/05/27(Fri) 23時頃
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―― 文化祭準備中の>>216 ――
[何年か前なら、この時期は毎日がキャンバスに向かい合う季節だった。 今となっては、そんなことはまるでなくて。 けれどそれでも、後ろ髪を引かれるでもなく、過ごして……]
………、…。
[いなかった。 今の自分は、傍目に見れば邪魔でしかない見物人。 そう解ってても、なんとなく、美術室の近くまで赴いてしまう。 尤も、廊下の奥から遠目に見守るだけだったのだけれど。]
……、……あれ、モモくん?
[その視線の先、美術室に、見知った顔があった。 思わず、判り易く首を傾げてしまった。]
(220) sakanoka 2011/05/27(Fri) 23時半頃
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