166 あざとい村
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セシルは、よっしゃ全部読んだ。
hana 2014/03/10(Mon) 12時頃
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─ 体育館>>#0>>#1>>#2 ─
[バスケットゴールの上から長い足が伸びている。
いつ、どうやってそこに上がったのか──
ダンが体育館に現れた時、 オレンジ色の枠に片足を乗せて 更にその膝に肩肘を突いたセシルは ふぅ──と軽い吐息をついて肩を竦めると タンと白い枠を蹴って床に降り立った。]
(9) hana 2014/03/10(Mon) 12時半頃
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[ダンからの労いの言葉>>#5に、 ありがとうございます、とそつなく答え、にっこりと笑う。
ポケットから折り畳んだA4サイズのプリントを取り出し 綺麗に伸ばしてダンに手渡した。]
はい、これが今回の評価チェックリストです。 思ったよりすぐに終わってしまったので空欄もありますよ。
でも、まぁ──スージーを始めとして、 このグループの一年生が優秀過ぎた、ということで ……仕方ないですよね?
[眉尻を下げて申し訳無さそうに苦笑して見せれば ダンはまた豪快に笑って気にするなと言っただろうか。]
(10) hana 2014/03/10(Mon) 12時半頃
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ところで────
小耳に挟んだんですが、 人狼役が勝ったら特別点を与えるって話は本当ですか?
[他の生徒には見えないようにプリントを裏返したダンに いつになく低いセシルの声が問う。]
僕はそんな話、 一切聞いていないんですが──?
[筆で刷いたような形の良い唇に綺麗な弧を描きながら、 全く笑っていない瞳でダンを見上げた。]
(11) hana 2014/03/10(Mon) 13時頃
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[こうして──。
なあなあになりそうな“特別点”を一人、しっかりと確保しつつ、 ダンの声を皮切りに走り出す生徒の後ろから ゆったりとした足取りで校庭へと向かった。]
(12) hana 2014/03/10(Mon) 13時頃
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─ 校庭 ─
[炭火の弾ける音。肉の脂が焦げる匂い。 香ばしい香りと音の中、生徒達の賑やかな笑い声が響く。
セシルはと言うと 少し離れた場所で三年生の女子に囲まれて 今回の訓練の話を面白おかしく語って聞かせていた。
セシルが動かなくても、肉や野菜、それに飲み物までもが 先輩達の手で運ばれて来る。 セシルはそれをにこやかに受け取りながら 嫌味にならない程度の上品さで 運ばれて来る串に齧りついているだけで良かった。]
(20) hana 2014/03/10(Mon) 21時半頃
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[背後からヒューの苦悶の声が上がる。 チラッと目を向けると ヒューの足元には赤々と燃える炭の塊が落ちていて 何が起きたのかは一目瞭然だった。
クス、と笑うと]
皆も、ああならないように気をつけなよ。 綺麗な足に痕が残ったら男子達が──ていうか、僕が泣く。
[親指で肩越しにそちらを指し示し 先輩の一人にピーマンを口に入れてもらいながら 冗談めかして笑う。]
(21) hana 2014/03/10(Mon) 21時半頃
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[食べた端から誰かが運んでくるものだから 皿の上には常に串が乗っていて、さすがに腹が膨れて来た。]
あ、メアリー待って! ……そろそろお腹いっぱいかも。
[次を取りに行こうとする女子の手を慌てて掴み]
ありがと、ちょっと向こう行って来るね。
[食べかけの串の乗った紙皿をその手に握らせながら 切れ長の目を細めて笑い掛け、女子の集団を抜け出した。]
(22) hana 2014/03/10(Mon) 21時半頃
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[途中で紙コップにお茶を継ぎ足し、 もう一つ、茶の入った紙コップを手に取り、 向かう先はふんわりとした髪の、 今回の訓練では唯一の普通科の三年生の先輩の元。
さり気なく隣に立つと紙コップを差し出し]
レティーシャさんお疲れ様。 どうだった? 訓練。
そういえば先輩はどうしてこの訓練に来たの?
[と、マイペースに喋り始めた。]
(23) hana 2014/03/10(Mon) 21時半頃
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[適当に並べられたパイプ椅子を二つ運び 一つに座るようレティーシャを促し、 レティーシャが座ればセシルも隣に腰掛ける。 勿論、レティーシャが座らなければ、そのまま立っているが。
レティーシャの返事を待つ間、 セシルは長い足を見せつけるように軽く足を組んで 涼し気な眼差しを校庭に巡らせた。]
(31) hana 2014/03/10(Mon) 22時半頃
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────。
[食い気の鬼と化していたカイルがアオイを手招きし、 応じたアオイの皿にグリーンを乗せるのを見る。
軽く睫毛を伏せて、紙コップからお茶を一口、飲んだ。
あの後──>>3:+36、 手を繋いで体育館に戻る二人を見送った セシルの心境は複雑だった。
アオイを一人にしたこと。 迎えに来るのが遅かったこと。 ちゃんと迎えに来たこと。 アオイを落ち着かせてくれたこと。 だけどアオイを泣かせたこと。
───最後のは、自分のせいでもあるのだが。]
(32) hana 2014/03/10(Mon) 22時半頃
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[我知らず、小さな溜息が零れた。
──悩む。
今回のケースは、単なる訓練ではあるが 将来的に起こりうる未来の構図でもあったから。
自分の手で守ってあげたいと思っている子が もしかしたら自分のせいで泣くことになるかもしれない、なんて わかっていたけれど、今までは目を背けて来た。
卒業するまでに強くなってくれることを願って来たけれど こうして涙を目の当たりにしてしまうと、決心が揺らぐ。]
(33) hana 2014/03/10(Mon) 22時半頃
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[カイルがもっとしっかりアオイを捕まえてくれれば 安心出来るのに──と、八つ当たり気味に思う。
けれど──]
…───フッ……、 なかなか、思い通りにはいかないね。
[アオイの手から渡されるピーマンに 必死の抵抗を見せる少年を眺めていたら、 思わず独り言が漏れた。
ピーマン如きに梃子摺るようでは当分期待は出来ない──。]
(34) hana 2014/03/10(Mon) 22時半頃
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[いっそ────]
(しばらく、少し距離を置こうか)
[そんな考えが浮かび、 また、伏し目がちにアンニュイな溜息を零した。
側にいなければ、離れることもない。 将来、いなくなって泣かせることもなくなる。
だから──。 訓練の終わりが告げられて、 嘘をついていたことを一言二言冗談混じりに謝ったきり、 寄って来た先輩達に取り囲まれたのを良いことに アオイとはまだまともに口を利いていなかった。]
(36) hana 2014/03/10(Mon) 22時半頃
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[ふと気付いて、セシルはレティーシャの口許を見詰めた。
月は明るくても辺りは暗く 隣に座って落ち着いて見るまで気付かなかったけれど よく見ればレティーシャの口の回りには タレがべったりと付着している。
なんとなくそれに心和まされて、クスッと笑うと セシルはポケットからハンカチを取り出そうとした。]
……、
[けれど、いつも持ち歩いているハンカチはそこになく、 朝ヒューに貸したままだったことを思い出し、動きを止める。]
(41) hana 2014/03/10(Mon) 23時頃
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[ちょっと悩んだ後、 紙コップの中のお茶で指先を濡らし、 レティーシャの唇の端を親指で拭った。]
──突然ごめんね? タレ付いてたから。
[拭ったタレで汚れた親指を見せ、その指を舐めて笑う。]
(42) hana 2014/03/10(Mon) 23時頃
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──? ……だから?
[>>52実際、レティーシャは幼く見える。 音楽室で見かけてもいつもどこかぼんやりしているし、 菫色の目は遠くを見ているように見えたから。
それが口の周りを肉のタレで汚していたから いつも先輩達を相手にするのとは少し違って 幼児の口を拭ってやるような心持ちになっていたかもしれない。]
……あぁ、
[だからつい、>>54続く言葉を聞いて頷いてしまった。]
うん──確かに、そんなところはあるね。
(55) hana 2014/03/10(Mon) 23時半頃
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それで……実際に参加してみてどうだった?
レティーシャさん、あんまり怖そうにしてなかったけど 全然平気、だった?
[ふわりと揺れる柔らかな髪に目を細め、 この人は、 一人でいたらどこか飛んで行ってしまいそうだと思った。]
(56) hana 2014/03/10(Mon) 23時半頃
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セシルは、メモwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
hana 2014/03/11(Tue) 00時頃
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そっか。 うん、そうだね。 得体のしれないものは怖い。
でもレティーシャさんはそれを表には出さなかったんだ。
[頭に合わせて揺れる髪を見ながら、 偉いね──と感心したように言う。]
(73) hana 2014/03/11(Tue) 16時頃
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[レティーシャの視線を追うように空を見上げ 鋭利な輪郭を描く月と瞬く星をじっと眺めた。]
……そんなもん、か。
───… フフッ
(74) hana 2014/03/11(Tue) 16時頃
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……僕ももっと頑張らないとな。 レティーシャさんみたいな可愛い先輩が、 恐がらずに暮らせるように。
やっぱり僕は、人狼を捕まえなきゃ。
[うん、となにやら一人合点して、 隣のレティーシャに、月光にも負けない微笑を見せた。]
(75) hana 2014/03/11(Tue) 16時頃
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[そのうちに、どこからか花火の打ち上がる音が鳴り 空に大輪の炎の花が咲いた。
同時にあちこちで色とりどりの光のシャワーが吹き上がり 校庭を明るく照らし出す。]
花火が始まったね。 行こう、レティーシャさん。
あっちでダン先生が配ってるよ。
[椅子から立ち上がり、励ましてくれた先輩に右手を差し出す。 掴んでくれるなら、その手を握って花火をもらいに行くだろう。]
(84) hana 2014/03/11(Tue) 16時半頃
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[ひとしきり花火を──と言うより、 花火を楽しむレティーシャを眺めた後、 生徒達の輪から離れ、校庭の端にある朝礼台に足を向けた。]
──何やってるんだよ、こんなとこで。 花火なくなるぞ?
[朝礼台に寝そべった幼馴染>>89を見下ろして声を掛けると、 地面を蹴って自身も朝礼台に飛び乗った。]
ほら。
[何本か持ち出して来た、手持ち花火のうちの一本を アオイへ向けて差し出す。
月を背にしたセシルの表情は影になってよく見えない。]
(91) hana 2014/03/11(Tue) 18時半頃
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[アオイが花火を手に取ると黙ったまま隣に座る。 影になっていた表情を、月が照らし出した。:]
───。
[どこか物憂げな瞳はアオイを見ずに、 正面の、花火に興じる生徒達にばかり向けられている。]
(95) hana 2014/03/11(Tue) 21時頃
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[アオイとはまだ、 訓練が終わってからまともに口を利いていない。 当然、泣いている所を見ていたこともアオイは知らない。
いつになく長い沈黙の後、 借りて来たライターをポケットから出し、 持って来た花火の一本に火をつけた。]
(96) hana 2014/03/11(Tue) 21時頃
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[薄い紙を舐めた火は、 こより状の根本まで行き着くと火薬に着火し 先端からすすきの穂のような白い炎のシャワーを吹き出す。
朝礼台の端に片膝を立て、反対の足を空中にぶら下げて、 セシルは花火の終わりをじっと待った。
一本終わるともう一本、新たに火を着ける。]
…───アオイもやりなよ。
[言って、花火を持つ腕を少しアオイの方に近づけた。]
(97) hana 2014/03/11(Tue) 21時頃
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[自分の手中の花火からアオイのる花火に火を移し、 アオイの目が花火に集中すると、おもむろに口を開いた。]
本音を言っていい?
[セシルの目は、 花火を見つめるアオイの横顔をじっと見詰めている。]
(99) hana 2014/03/11(Tue) 21時頃
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ん……。
[何かあったかの問いに曖昧な頷きを返す。]
……見たんだよ。 僕が隠れた後、アオイが音楽室で泣いてるところ。
本当は前から思っていたけど 本人の意志を尊重すべきだと思って言わずにおいた。
だけど、あんなの見たら言わずにはいれない。
(108) hana 2014/03/11(Tue) 21時半頃
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僕はアオイには普通科に進んで欲しい。
狩人になれば危険な所に派遣されることもあるし、 何より、訓練と違って本当に人は死ぬ。
仲間が目の前で死ぬことだって──。
アオイだってそんなことは知ってて希望していただろうけど 知識として知るのと、身近に感じるのとでは違うと思う。
今回の訓練では、それが少しはわかったんじゃないかな。
[一度溢れ出した言葉は淀みなく、 セシルの心中をアオイへと伝えようと続く。
けれど──]
僕は────…
(109) hana 2014/03/11(Tue) 21時半頃
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[逡巡が、セシルの言葉を停滞させる。 長い睫毛が逃げるように伏せられ]
…──。
[セシルの持つ花火に続いて、 アオイの花火からも火が消えた。
沈黙に急き立てられるように、あるいは迷いを振り切るように。 一度閉じた唇を開き、セシルは続ける。]
(110) hana 2014/03/11(Tue) 21時半頃
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こんなの僕の我儘だってわかってる。
だけど──。
僕はアオイには 安全なところで誰かに守られていて欲しいんだ。
でないと、僕は安心していられない……。
[困ったように、形の良い唇を緩い笑みに変え、 花火を地面に落とす。
ブルーグレーの瞳が月を映して、 月光をキラリと弾きながらアオイへと向けられた。]
(111) hana 2014/03/11(Tue) 21時半頃
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