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『――終いだ。』
『なにもかも、終いだ。』
[粉々になった眼鏡の欠片。
あれは鏡だ。
映して、反じて、封するもの。
黒亥は消える。意識が途切れていく。
形は崩れ、意識は溶ける。]
[否、還るだけ。
元の闇に還るだけ。
何も変わらぬ、何も求めぬ、何も 何もない、暗闇に。
かえるだけのこと。]
[夏の陽も、
赤金の視も、
白金の言も。]
[届かぬ場所に、
*かえるだけ。*]
[嗚呼、口惜しい、口惜しい。
ようやっと器を手に入れたのに。
ようやっと報復が叶うと思うたのに。
また、暗闇の中で眠るのか……――。]
『辰星……――』
[ようやっと、同輩の名を思い出せたというに。
また呼べぬ、呼ばれぬようになるのか。]
[嗚呼、嗚呼、忌々しい。
ただの眠りのみならず、今度は呪詛も掛かったか
嗚呼、前より忌まわしい物が増えておる。]
『……だが、汝が犯した罪は変わらぬ』
[深い深い眠りにつく直前。悔し紛れに返す呪詛。]
『罪を償え 南方螢惑……!!』
[忌まわしき名を持つ巳の男。壺を割りし、負の者。
お前がいなければ、この様なことはなかったのだ。
最後にそう囁くが、それがしかと声になったか否かは、判らぬ侭。*]
【人】 鉱滓皇帝 モスキート 気が、戻った… (39) k0ske 2015/02/19(Thu) 22時頃 |
【人】 鉱滓皇帝 モスキート[久方ぶりに流した涙。とうに忘れた止め方など、知る由もなく。 (40) k0ske 2015/02/19(Thu) 22時頃 |
…―――――
[辰星は眠る。
代わりの涙は天に流れ、地に流れ。
安らぎの闇に浮かぶ星とならん。
夏日と、また名を呼べる日を想い描いて。]
当然だ 馬鹿野郎
[込み上げるは何の香りか。冬の香り。]
『…――忘れろ。忘れて良い。』
『我の事など、忘れてしまえ―――』
『此方に引き摺られるな。』
[忘却を望み、星は―――墜ちる。**]
/*
[この牙を向ければ独占できる、と。
叶わなかった願いのために。
黒亥は、黒蛇に呪いをかけた。
断ち切れぬ絆があると、知れず。
成就せぬ願いとは、知らず。**]
[背負う覚悟を決めて歩む巳の男。
嗚呼、吾は結局、報復ができなんだか。
誰にも…… 何も……――。]
『かなしい、なぁ……』
[居るだけで罪だと言われし己。
封じられるその身を恨み、嘆いて、哀しんで。
それでもまだ、誰からも見てもらえず、忌み嫌われ。
何時しか恨みは外へ向き、人を呪い、更に恨まれ。
それを繰返し繰返し積み重ね。]
[嗚呼、結局己は何をしたかったのか。]
[火の星を冠し、夏の陽の如く激情に流されし者。
智恵を持ち、能力あるはずの者が最後に願いし事は。]
『淋しい……――』
[忘れないでくれ。
同じく火の星を冠する男に対し、小さく小さく囁いた。
届いたか否か。其を知る前に、赤く黒い火の星は燃え尽きた。*]
―後の世―
[世が乱れたのは昔。
ようやく平和な世になると誰もが信じ始めた頃。
それでも街を離れれば、村へと足を伸ばせば、目に見える戦禍に昔を思い出さずにはいられまい。]
[上佐川。
夏陽を受けてきらきらと眩く川面を見詰める子は、親を知らず。名を知らず。
クロ。次郎。佐川。
どの名前で呼ばれても、その子は頷き返事をした。
取り立て困ることなく過ごしてきた。]
[けれど、心の内では思っていたのだ。
それは違う、と。
自分のことではない――――と。*]
―後の世―
[戦の面影が残る村。ひとりの少女が泣いていた。
大粒の涙を溢すのは朱金の目。
その気味悪さから皆からは蛇の目を意味する「鬼灯≪カガチ≫」と呼ばれ、捨てられたその子は親も知らず、名も知らず。
ただひとつ、己の中にあるのは大切な大切な、名前だけ。]
[ある夏の陽が降り注ぐ上佐川。
そこで佇み川を眺めながら、はらりはらりと涙を流す。]
何処にいるの……『しんしょう』……
[産まれ出でた時より持つ、誰かの名。]
あなたに逢いたいの
また、わたしの名を呼んでちょうだい……
[己すら知らぬ己の名。
それはきっとこの者が持っている、と何故か疑わず。
春の日も、夏の日も、秋の日も、冬の日も。
何処かにいるとも知れぬ名を呼ぶ。]
【人】 鉱滓皇帝 モスキート 泣きたくは、無い筈なのだけれどね。 (113) k0ske 2015/02/20(Fri) 22時頃 |
【人】 鉱滓皇帝 モスキート[雫に寄せられた唇に、久方ぶりに感じる感触に、目を見開けば。 (114) k0ske 2015/02/20(Fri) 22時頃 |
【人】 鉱滓皇帝 モスキート[はたと思い当り寅の姿を探せど、時既に遅く見つからぬ。] (115) k0ske 2015/02/20(Fri) 22時頃 |
【人】 鉱滓皇帝 モスキート[賑々しく宴の準備が進む中、一人姿の見えぬ者がいる。 (119) k0ske 2015/02/20(Fri) 22時半頃 |
【人】 鉱滓皇帝 モスキート[戌はどんな顔をしていたか、見る事もなく傍へと膝付き戌の頭を抱え込み。] (120) k0ske 2015/02/20(Fri) 22時半頃 |
【人】 鉱滓皇帝 モスキート[軽い衝撃に袖の端から覗いてみれば、小さく笑う酉の姿。 (131) k0ske 2015/02/20(Fri) 23時半頃 |
【人】 鉱滓皇帝 モスキート[にこと頬染め笑う酉。微笑ましき姿に小さき息つき苦笑い>>122。] (134) k0ske 2015/02/20(Fri) 23時半頃 |
【人】 鉱滓皇帝 モスキート[酉と酒を酌み交わし、喋りたる所に巳の姿>>125。] (137) k0ske 2015/02/21(Sat) 00時頃 |
【人】 鉱滓皇帝 モスキート 時に螢惑、櫻を見てはいないかい? (139) k0ske 2015/02/21(Sat) 00時頃 |
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