20 Junky in the Paradise
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[流れている赤を止める心算は、男にはない。 赤い色は綺麗だと、彼女が言ったから。
好きなものを奪って、また怒られるのが怖い。]
(*1) 2010/07/13(Tue) 02時頃
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[ぐったりとした身体を抱き起こして、 きょろきょろとあたりを見回す。 足元の赤を見下ろして手に溜めて]
マーゴ。
の、飲む? な、何か。 ねえ。
[赤い色をした液体を口許に運び、 喉に、流し込む。相手の呼吸を考えない行為であれど ──拒否が聞こえないことに、安堵の表情。]
(15) 2010/07/13(Tue) 03時頃
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[だって、喉を塞げば、声は聞こえない。]
(*2) 2010/07/13(Tue) 03時頃
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[あたりには、転がっているチェスの駒。 可愛くてちいさい。 彼女がくちづけたポーンの駒を摘み]
おな、お腹減った……よ、よね。 ご、ごめんね。
き…気がきかなくて、 [薄く開いた、唇にゆっくりと押し込む。]
(16) 2010/07/13(Tue) 03時頃
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[重ねるのは、唇の合間に飲み込ませた自分のそれか]
ず、ずいぶん、たくさん あ、赤い、赤も、み、みせられた?
ね、ねえ。
ねえ。
わ、わざと、じゃ、じゃ、ないんだよ。 ほ、ほんとうだよ。
こ…壊れるのはい、いや、だ、だし
(*3) 2010/07/13(Tue) 03時頃
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ちゃ、ちゃんと── て、天国に、 つ…、連れてってあげるか、からね。
だ、大丈夫。
[抱きしめて、黒い髪を撫ぜて 拒絶のない柔らかい白い身体を味わう。]
きみより、先に、 ぼ…僕は、し、死んだり、しないから。
[かち。と床にやる手には硝子。]
(17) 2010/07/13(Tue) 03時頃
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『だから』
だから、だから、だから、 ねえ、僕を──
僕を、あ…いして。贈り物、たくさん贈ったよね。
僕のものになって。好きだって言ったじゃないか。
僕だけのマーゴになってよ。だって上手いって褒めてくれた。
(*4) 2010/07/13(Tue) 03時頃
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愛してる
あいして
あいしてるから
『だから』
(*5) 2010/07/13(Tue) 03時頃
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[髪を撫ぜて繰り返し、耳元で囁く。 やわらかい身体には力がない。
相手を見れないまま、一方的な快感を求める様子は それはまるで、一人遊びのオナニーショウの様。
喉元にチョーカーを贈るように 濡れた硝子を、深く埋めた。]
あ、あのね。
だ、大好きだ、だから。
う……、受け取ってほ、欲しいんだ。
[あ。と思い出したように、懐から取り出すのは 布製の箱。二つ揃いの指輪。身体を支える手が離れて 床に身体が倒れて、骨と床が当たる硬い音がして]
(18) 2010/07/13(Tue) 03時頃
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[拒絶されずされるが侭の身体。 怒りだすことはない。 自分を不要と、そんな事を謂うこともない。]
ね。で、でも。 さっき、い、いいこと、思いついたんだ。
殺しちゃえば、 もう、ぼ、僕の、もの、だよね?
先に、僕が、し、死ぬこともないしさ。
だから。
(*6) 2010/07/13(Tue) 03時頃
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だから。
これで、ぼ、僕の……だよ。
[受け取られなかった指輪。 ずっと持ち続けられていた指輪。 その小さい方を左手の薬指に押し込んで]
───あ、あいしてる。
[傷だらけの指に嵌められた指輪を見て ─── 男は、嬉しそうに*笑った*。]
(19) 2010/07/13(Tue) 03時半頃
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だ、大丈夫。
地獄に、落ちたりはし、しないよ。 き、きみは。
マーゴはきれいで、 マーゴは魅力的で、 マーゴはやわらかくて マーゴは、
──… やさしい、僕の天使だ、だから。
『だから』
(*7) 2010/07/13(Tue) 03時半頃
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「だから」
─── あいしてる。
[繰り返す先にその人がいるのかすら、男は*見てはいない*。]
(*8) 2010/07/13(Tue) 03時半頃
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[冥い瞳が最期に映したのはヴェラではなく、 割れた窓の向こうに広がる光景。 ヤニクとスティーブンが向かいあう間には、 自分とサイラスが作り出したのに似る雰囲気]
駄 目―――…
[伸ばす筈の手は動かない。 チを蹴り駆け出す筈の手は動かない。 声は誰かに届いただろうか? 混ざり合ったチを流しながら囁けば崩おれた]
(+1) 2010/07/13(Tue) 04時頃
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[だくだくと血は留まらず流れ続けて意識が遠退く。 視界は暗くもう瞳には何も写らない]
―――…
[ヘクターの声がヴェラの声が… スティーブンの声が遠く近く聴こえる。
応え様と戦慄いた口唇は微かに震えただろうか。 名を紡ぐはずの喉に流し込まれる―――…]
(+2) 2010/07/13(Tue) 04時頃
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嗚呼、好かった―――…
[背に回そうとした腕はもう意思に反して動かない]
(-7) 2010/07/13(Tue) 04時頃
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[ポーンの駒を押し込まれ舌の上につるりとした感触。 其れが温かいのか冷たいのかも既に判然としない。
間近で囁かれる耳慣れたスティーブンの声。 一度は怒れど結局は勘違いと誤解を正す事はないまま]
―――…
[既に喋る気力とてない。 其れでもポーンに口は塞がれ声を奪われる。
スティーブンの白衣を染めながら耳を傾ける言の葉は、 遠く近く寄せては返す潮騒にも似る子守唄]
(+3) 2010/07/13(Tue) 04時頃
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[流れ過ぎた血のせいで既に感覚すら遠く、 ただスティーブンに抱かれ揺られ―――蕩揺う…
其処には吐息すらなく 其処には快楽すらなく 其処には只―――…
一度も囁かなかった想いは紡がぬまま、 紡ぐ筈の喉に深く深く贈られた硝子のチョーカー]
…
[痛みはなくも残っていた繋がりが途絶え、 元より少なかった現実感が急速に薄れていく]
(+4) 2010/07/13(Tue) 04時半頃
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[床に落とされる身が受けた衝撃を感じる事もなく、 贈られる指輪の冷たさを感じる事もない。
ただ―――…
傷の全ては喉元から広がり刺青の如く白い肌に絡む茨と成り、 ゆらりとスティーブンを見下ろす影は―――ないていた]
[ ぱたり ] [ ほろり ] [ ぽたり ]
…莫迦ね
[我が身に起こった事を認識するより先に囁く。 スティーブンの髪を梳こうと伸ばす手]
(+5) 2010/07/13(Tue) 04時半頃
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ぁ…
[黒い茨が絡む腕は微笑むスティーブンを擦り抜け、 初めて自分の身に起きた事を認識する。
反射的に慌てて引いて胸元で握り締める薬指にも、 贈られた指輪のかたちに黒い茨が巻きつく]
(+6) 2010/07/13(Tue) 04時半頃
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其レハ―――誰ノコト…?
(-8) 2010/07/13(Tue) 05時頃
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…身体が欲しければ あげる
[所有権を主張するスティーブン。 赤を流し冷えてイク自分の肉体に興味はなく、 届かぬと想いながらも承諾の言葉を囁く]
それにしても―――…
[辺りを見回せば広がる散々たる惨状。 自らも参加していたパーティーの在り様を前に、 呆れとも落胆ともつかない溜息をひとつ]
派手ね
(+7) 2010/07/13(Tue) 05時頃
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[我が身を抱く様に薬指に茨の絡む手は、 同じく黒い茨の這う逆の肩を抱き首を傾ける]
ノーリーン?
[見知る姿を見止めるも女王と女中は重ならず、 呼ばわる声の語尾は意外そうに跳ねる。
けれど彼女も参加していたのは覚えている。 サイモンに差し出されたカクテルを受け取っていた]
…叱れば良かったのに
[誰をと添えぬ言葉の半ばは自らへ向く響き。 従兄を探す様に首を捻ると黒髪と共に茨が*背に揺れた*]
(+8) 2010/07/13(Tue) 05時頃
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怖くてこわくてコワクテ 壊れてしまえばイイと想ってた 全部ぜんぶゼンブ
だから…
自分が死んでも悔しくない 自分が死んでも哀しくない
でも―――…
(-9) 2010/07/13(Tue) 05時半頃
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独りにしちゃった
(-10) 2010/07/13(Tue) 05時半頃
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[サイモンは、食堂の片隅にいた。膝を抱えて座り込み、顔を足に埋めるように俯かせていた。死によって酩酊から覚めた彼は、ただ、怯えていた。死の記憶に、死という現実に]
……サイモン。
[その前で立ち止まり、呼びかける。サイモンは揺れる瞳を向け、ホリー、と微かな声を返した]
サイモン。死んだのね。
[それは頭の何処かでわかっていた事だった]
私も、死んだの。 だから……ずっと一緒に、いられるわ。 ローラも探して…… ずっと、ずっと一緒に、いましょう?
(+9) 2010/07/13(Tue) 09時頃
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[サイモンの頬に手を伸ばしながら言う。サイモンはじっと視線を向けたまま、頷く事はせず、だが首を横に振る事もしなかった。伸ばされた手を掴み、目を瞑る。消極的な受容。それは単に孤独と絶望と恐怖を和らげるためだったか。あるいは、歪んだ彼女の思いに、何かしら感ずるものがあったのか。 実際がどうであれ――彼女は、幸福だった。 サイモンの左隣に同じように膝を抱えて座る。その横顔を微笑んで見つめる。死の気配が濃くなる空間。己やサイモンのようが死者が増えまいと、彼女には関係のない事*だった*]
(+10) 2010/07/13(Tue) 09時頃
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/* 間に合わなかった! のようがって。のような。
(-11) 2010/07/13(Tue) 09時頃
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双生児 ホリーは、メモを貼った。
2010/07/13(Tue) 09時頃
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逢えたんだ
[食堂の片隅で寄り添うホリーとサイモンを見れば、 大広間に立つまま声を掛けるともなく小さく呟く]
―――…
[独りはサミシイとスティーブンに零したサイモン。 ホリーと寄り添う従兄の前髪の奥の瞳のいろ。
刹那だけ視線を交わせば言葉もなく、 結局は声を掛けず近寄る事もしなかった]
邪魔はしないわ
[緩く首を振り害意のないのを二人に示してから、 近寄らずも並び座る二人を静かに見詰める]
(+11) 2010/07/13(Tue) 17時頃
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…スキだらけ
[人の名前と顔を覚えるのが不得手な阿婆擦れが、 其の身を味わう事なく覚えた名前。
ホリーが女だからでも外見が少女だからでもなく、 従兄を想い恋する乙女の様だったから―――…]
其れがホリーのアイ?
[傍らで膝を抱えるサイモンも独りではなく、 ホリーだけでなく彼も僅かながら寄り添って見える。
幸せそうなホリーを前に嘲るでもなく、 ただ純粋に興味深いのか不思議そうに問いかける]
(+12) 2010/07/13(Tue) 17時頃
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