291 Fate/Goddamned Omen
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この村にも恐るべき“人狼”の噂が流れてきた。ひそかに人間と入れ替わり、夜になると人間を襲うという魔物。不安に駆られた村人たちは、集会所へと集まるのだった……。
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夜風に乗って、遠くから声がとどきます。昨夜は幽かに。今夜は響き。きっと明日は……
(0) 2019/02/07(Thu) 23時半頃
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こんにちは!!
私はこの端末電子頭脳(サンガナーカ)の人格AI,これからあなた方神都民の支援を生涯を通じて行います。
この説明を聞いているということは、あなた方は転生してこの神都に生を受けて間もない状態ですね?
それでは、すでにご存知とは思いますが、再度我ら神都の概要をご説明しておきましょう。
神都はインダス川流域、砂漠の中央に4000年以上前に建てられた半球状の巨大都市です。
現在は神都暦(D.N.)4017年。この間、外敵である悪魔のいかなる攻撃にも耐え、都民20万人の安全な生活を保障し続けています。
神都は評議会ローカパーラに所属する8人の評議員および統治機構シュメールによって治安を維持されています。
(#0) 2019/02/07(Thu) 23時半頃
都民の皆さんには生まれたときからこの電子端末サンガナーカが与えられ、この端末を通じて常に皆さんの行動を記録し続けます。
皆さんの行動は逐一中央の巨大電算機械ヴェーダに記録され、人間の徳を示すカルマ値へと変換されます。
皆さんの生活は前世でのカルマ値によって公平かつ正当に評価されます。住居、職業、結婚相手、カルマ値が高くなければ全て自由にはなりません。ただし、都内において最低限の衣食住は必ず保障されます。
皆さんにはそれぞれ代用肉体(アバター)が準備されており、寿命を全うした、あるいは万一の事があった場合、ヴェーダによって保管された皆さんの記憶を引き継いだアバターが新たに稼動します。カルマ値が高ければ皆さんの意思で好きなアバターを選び、あるいは遺伝子編集等を行うことも可能です。
カルマ値の極端な低下によって神都の外に放逐されるか、あるいは皆さん自身が輪廻の輪を外れる事を希望しない限り、皆さんはこの神都において死を迎えることはありません。
(#1) 2019/02/07(Thu) 23時半頃
このような神都の技術の数々は、かつて地上にあったディーヴァの神々の智慧によるものです。神々は地上から去りましたが、いまだ評議会ローカパーラおよび巨大電算機構ヴェーダを通じて私達を見守っていてくださいます。
それでは、改めて。ようこそ、神都へ!
カルマを積んで、明るい来世!
皆さんの神都ディーヴァナーガでの生活がよきものであり、来世がさらによきものとなりますように!
(#2) 2019/02/07(Thu) 23時半頃
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―序 2019年2月××日早朝―
[のっぺりとした白く無機質な部屋、壁の一面にかかる大型のモニターと簡素なベッド、大量の本と映像ディスクを積み上げた机。それだけが存在する部屋に、通信音が響き渡った]
ふわーぁ……なんだい。こんな朝から。 知ってると思うけど、僕、今日の24時まで丸一日有給取ってるんだぞ。 忙しくて今まで積んでた「暗殺天使★コルデーちゃん」とか、「リンドヴルVSネオプルガサリ」とか、「ごとばと!!」とか、「カリ・ユガ救世主伝説メテヤ」とか、あの辺全部見てしまうつもりで食料も運び込んで臨戦態勢敷いたんだ。 だから、新しい特異点でも発生しない限りは邪魔しないでくれって……
……え?所長から?
(@0) 2019/02/07(Thu) 23時半頃
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―2019年2月××日10:00―
カルデア管制部主任の秋間助より業務連絡。
本日マルヨンマルマル、国連よりカルデアに対し重大な勧告事項が発令された。 ついては、マスター及び契約サーヴァントに対し、これより本件についてブリーフィングを行う。
該当者及びレイシフト担当スタッフはこの放送を聴き次第至急、管制室へ集合してほしい。繰り返す……
(@1) 2019/02/07(Thu) 23時半頃
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来てくれたね。さっそくだが時間がない。いきなり本題に入らせてもらう。
他でもない、数か月前にパキスタンに発生したスーパーセル(超巨大積乱雲)の事だ。 この巨大な嵐は数か月前にモヘンジョ・ダロ周辺に発生、その後徐々に勢力を拡大し、現在は半径数百kmにまで至っている。
既に飲み込まれた都市の観測施設では、この嵐の最外部に触れた場所からまるでバターが溶けるように削り取られている瞬間の映像が確認できた。 内部からは通常の手段ではいかなる反応も計測されず、スーパーセル内部の状況はまるで把握できない。インドとパキスタン両政府が合同調査隊を組織したが、スーパーセルへの突入と同時に、分子レベルで分解され、跡形もなく消滅したらしい。最新鋭の装甲車を使っていたようだったけど……冥福を祈ろう。
(@2) 2019/02/07(Thu) 23時半頃
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いまだかつてこんな現象が地球上で発生したことはない。大変な異常事態だ。仮にこのままスーパーセルが拡大すれば…あるいは地球全土にまで拡大してしまうかもしれない。今回の事態は、特異点どころではない、もっと直接的な人類の危機ってわけだ。
君達に集まってもらったのは他でもない。このスーパーセルの内部は現在人類が持ついかなる手段を用いても観測できない。 ただ一つ、この管制室にあるカルデアスを除いては。要するに、理由は全く不明だが、あのスーパーセルの中心、廃墟のはずのモヘンジョ・ダロには、現在文明の光が点っている…ってわけだ。
[秋間が指し示す地球を模したカルデアス。その現在のスーパーセルの中心、パキスタン部分には、確かに人理の存在を示す光が点っていた。]
(@3) 2019/02/07(Thu) 23時半頃
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カルデアはこれより、同時代レイシフトによってこのスーパーセルの内部に君達をレイシフトさせ、内部を調査。可能であれば、その原因を除去する。 カルデアはこれまで君達様々なマスターやサーヴァント達の手を借りて、いくつもの特異点を解決してきた。だが今回のような事態は初めてだ。
今までは、単に特異点に行って原因と聖杯を取り除けば、それで事が済んだ。だが今回は、そんな今までの常識は一旦捨ててかかってほしい。 準備ができているならすぐにコフィンに入ってくれ。残りの説明は、転移後に行う。
今回は僕も、できる限り君達のサポートにつくつもりだ。困ったこと、報告はできるだけ逐一伝達してくれ。では、状況を開始する。
(@4) 2019/02/07(Thu) 23時半頃
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>アナウンスA
アンサモンプログラムスタート。
霊子変換を開始します。
レイシフト開始まで あと3,2,1……
全行程完了(クリア)。グランドオーダー 実証を開始します。
(#3) 2019/02/08(Fri) 00時頃
亜種異聞帯:X−3
異聞深度:C+
B.C.199X 後破局業魔境 モヘンジョ・ダロ
(#4) 2019/02/08(Fri) 00時頃
―B.C.199X? モヘンジョ・ダロ南西数十km地点―
―――重苦しい灼熱の大気。錆びた風が吹き抜けていく。
息苦しいほどの砂埃が嵐のように舞い上がり、雲一つない炎天の空を黄色く濁す。
空間が歪んでいるかのような蜃気楼は朧に幾重にも積み重なり、遥か彼方の視界は極めて悪い。
大気組成は通常の地球と同じ。ただしその気温は50度をゆうに超え、湿度はゼロに近い。
砂漠だった。見渡す限り何もない、ただ灼熱の砂だけの砂漠。
ただ一つ、遥か向こうに、微かに天へと届く蜘蛛の糸のように細く伸びる、塔のようなものが見えた――
(#5) 2019/02/08(Fri) 00時頃
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無事に着いたみたいだね。ただ、油断はできない。どうもそのあたり、強力な幻想種が結構うろついているみたいだ。砂漠のど真ん中とはいえ、まずは少しでも安全な場所に移動したほうがいい。
そちらの気象状況もモニターしている。昼間の気温が軽く50度を超えている。それだけ乾ききった砂漠なら恐らく、夜は0度近くまで下がってもおかしくない。何かが見つかるまで、砂漠の中での行軍になる。
それに通信も不安定だ。何かあればすぐに連絡してほしいけれど、通信環境しだいではすぐに対応できないかもしれない。体調と身の安全にはくれぐれも気をつけてくれ。…それじゃあね。
[管制部の秋間からの通信は、そうとだけ言い残して一旦切れた。*]
(@5) 2019/02/08(Fri) 00時頃
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通達 評議会ろーかぱーらヨリ 統治機構しゅめーる全所属員ヘ告グ
本日16:00マデニ統治機構しゅめーる実働部隊所属員ハ階級及ビかるま色相ヲ問ワズ全員中央管制室ニ出頭セヨ
(1) 2019/02/08(Fri) 00時頃
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ー統治機構シュメール中央管制室ー
[彼を初めて見た者は、不思議な感覚にとらわれたであろう。 彼は…いや、彼と呼んではいるが、その声や風貌は一見すると20そこそこの若い男でありながらよく見れば女のようでもあり、年も近くで見れば10代のようでもあり、しかし話してみればその精神の老成に驚かされたであろう(もっとも、彼に限らず、アバターの肉体を何度も取り換えて生き続ける事が当たり前の神都では、人間の精神年齢を見た目で測るという考え自体がナンセンスなのだが)
彼は統治機構シュメールの長であった。だがそれだけではなく、神都を統べる最高意思決定機関、評議会ローカパーラに所属する僅か8人のうちの1人であり、ローカパーラの中では彼らが通常顔を見る事のできる唯一の人間でもあった。(要は下っ端なんだよ、と彼はよく笑って言っている)
また、彼は肉体を何度も替えてはいるが紛れもなく神都が誕生する前から…つまり少なくとも神都(D.N.)暦が始まった4017年前から生きている数少ない人間であり、神都の中では最高レベルのカルマ値を持っている人間でもあった。 つまり、その場に居並ぶ他の人間とは、あらゆる面で隔絶した存在であったのだ]
(2) 2019/02/08(Fri) 00時頃
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やあ。統治機構シュメールの諸君、よく集まってくれた。
さっそくだが本題に入ろう。 君達を呼んだ理由は他でもない。数か月前、神都の外に突如として出現した巨大な暴風嵐の事だ。
この嵐は知っての通り、数か月前に、今や神都の外壁全体を覆って天に伸びる宇宙樹と共に、神都を中心として前触れなく出現した。その後、徐々に外部に向かって勢力を拡大している。 嵐の出現後、あらゆる手段を用いても嵐の外の状況が全く観測できなくなったことは君達も知っている事と思う。 だが、今日になって状況が急変した。
これはヴェーダが受信した監視衛星からの映像だが… もう分かったと思うが、数人の人間が映っている。
[彼らにもその姿は見えただろう。数人の人間。神都の人間ではない、全く別の存在が砂漠の中に存在するのが見えた。それがカルデアと呼ばれる機関の人間だとはもちろん知るはずもないが]
(3) 2019/02/08(Fri) 00時頃
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同衛星でカルマ色相の簡易走査分析も行った。信じがたいがデモノイドではない、僕達と変わらない人間だ。
だがもっと信じがたいのは、彼らは今日になって突然この場所に現れた。最終戦争の後、神都が誕生して4017年経つが、その間僕が神都の外で生身の人間を見た事は一度もない。つまり、どういう事かと言えば…彼らは「嵐の外から来た」と考えるしかない。
君達がなすべき事は単純だ。今から僕が指名する者達はこの地点に赴き、彼らと接触を試みてほしい。 彼らはこの嵐について全くの無関係ではないだろう。
宇宙樹と嵐が出現した後に現れた…「英霊」だったかな。彼らのように何らかの知見を持っている可能性もある。一方で、彼らの目的は不明であり、神都にとって何らかの脅威となる可能性も否定できない。 故に接触は慎重に行う事。また、接触時にはできる限り僕を呼び出してほしい。 彼らの目的が判明し、ヴェーダ及び評議会ローカパーラが何らかの判断を下すまで、迂闊な交戦行為を厳禁とする。
良いね。では……行きたまえ。目的地までは車を使用して構わないから。
[そう言うと、彼ーーフェルゼ・ヴィシュヴァルマンは指名した人間達を神都の外に送り出した*]
(4) 2019/02/08(Fri) 00時頃
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『 ■■ 』 と こどもが呼ぶ
(5) 2019/02/08(Fri) 00時頃
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その呼称はこの関係に適さない だとか そもそも わたしは■なのだから 『 ■■ 』じゃあ ないのかい だとか
……言ってやるのが 常であり かたぶつせんせい で あったと いうのに
(6) 2019/02/08(Fri) 00時頃
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こどもが 無邪気に笑っている 『 ■■ 』と 少し ためらうように だけども こどもらしく ねだるように のばされた ちいさな手
ああ ためらってしまうのだ そうだね そうなのだろうね こどもは そういう存在だ
■■の望んだ 理想の■■■ ■■■■を■■■にするために ■■が描いた 幾つもの姿
(7) 2019/02/08(Fri) 00時頃
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ちいさな手を 引いたのは きみと 育めなかった幸福の宝を 未だに惜しんでいるからでは ない
ちいさなこどもを前にして 『 ■■ 』 と 呼ぶ声に
こたえてやりたいと 思ったらしい
(8) 2019/02/08(Fri) 00時頃
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望まれ続けた たくさんの姿 応えた先に 何があったの だろうか
こんなにも ちいさな こどもを たくさんの■■が 生み出したの だろうか
『 ■■ 』と こどもがつぶやく 目の前の大きなおとなに うれしそうに わらっている
そのこどもは 一番の■■■だ そんなこどもが 報われる日を わたしが与えてやることが 出来るならば
(9) 2019/02/08(Fri) 00時頃
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────……
(10) 2019/02/08(Fri) 00時頃
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── 神都外域・辺境 ──
[錆びた風が吹き荒び、灼熱が大気を屈折させる。 舞い上ぐ砂塵、炎天が焦がす世界こそが悪魔の領域。
神都、其は羨望に能わず。 我らが祖先は神代の昔よりこの過酷の中を生き抜いてきた]
(11) 2019/02/08(Fri) 00時半頃
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