308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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――数日後――
[俺が連れてこられたのは、 都内にあるショッピングモールの一つだった。
施設のありとあらゆる場所を探る。
バリケードが崩されていないかを毎日見張る。
思い出したように政府から救援物資が届けば 女子供を優先して食料を渡す。
後は――外を見回りして、 可能な限りゾンビを潰す。 日々のルーティーンはそんな感じ。]
(+0) 2020/10/25(Sun) 09時頃
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[電気は基本的に死んでいたが 復旧すれば皆スマホよりも他の家電を使った。 もしも動画サイトに 俺の動画が上がっているのを見たら、>>4:63 なんだか嬉し恥ずかし、少しむずがゆい そんな気持ちになったんだろうが それを知る事もなく、俺は日々を過ごした。
ようやく左腕の痛みを気にしないようになるには 数日の時を必要とした。]
(+1) 2020/10/25(Sun) 09時頃
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[数人だけのコミュニティなら維持はしやすい。
けれどもそれが数十人に膨れ上がると、 とたんに、統制できなくなった人間を 人間が暴力で支配しだすようになる。
それは、どこの世界でも同じらしい。]
(+2) 2020/10/25(Sun) 09時頃
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「申し訳ありません」
[うめき声をあげてスーツの男がうずくまっている。 歳は30くらい。上等だったスーツも見る影もなく 荒れた肌も乱れた髪も、 この極限状態の在り様を雄弁に物語ってる。
そんな男を取り囲んで叱責する人間が何人か。 なんでも、バリケードを一人で壊して 外に出ようとしていたらしい。
普段俺達は外に出ることはなくて、 出る時はすぐにバリケードをもとに戻せるよう、 複数人で行動するものだ。 壊したままのバリケードからはゾンビが入る。 だから、目の前の男がやったことは重罪で、 俺達にはそれを裁く権利がある。]
(+3) 2020/10/25(Sun) 09時頃
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[………………らしい。]
(+4) 2020/10/25(Sun) 09時頃
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[誰も正しさを担保してくれない世界だから せめて「自分は正しい」と信じてなきゃ みんな、やってられないんだろう。
けども俺はその輪に加われないまま、 魚の缶詰を開けながら 傍にいた元帥に話しかけていた。]
(+5) 2020/10/25(Sun) 09時頃
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あいつ、どうなっちまうんだろうな
「さあ。 よくてリンチ、悪くて外に放りだされるんじゃね」
……奥さんを探しに行きたかっただけなんだろ
「にしたってここにはここのルールがある。 仕方ねえよ。
自分の妻を優先させるから ここの女子供を危険にさらしますってのは 理屈として通らねえ。通らねえんだ。」
(+6) 2020/10/25(Sun) 09時頃
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[なんだかまた元帥が暗い目をしている。 二人でゲームしてた頃は冗談ばかり言う ちょっと面倒見がいいくらいの軽薄な奴だったのに この騒動が、元帥を変えてしまったらしい。
なんでもいいけどやめろよその目。嫌いなんだよ。]
(+7) 2020/10/25(Sun) 09時頃
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……………… ………… 缶詰、開いたわ。お食べよ。
[箸を缶詰の中にいれて、魚肉をほぐすと 元帥の口にそのままつっこんだ。 こいつ缶詰開けるの下手くそなんだよな。 ゾンビ化する条件は体液に触れることだから ここでの食い物のシェアも禁止事項のひとつ。
箸と缶詰を元帥に渡してやって もう一つの缶詰を開ける作業に没頭する。 そうする間にも、「クシャミ」と、 元帥から声がかかる。]
(+8) 2020/10/25(Sun) 09時頃
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「今度、外回りに行かないか。 腕も治ってきたんだろ」
……あー。まあ。そうなるよな。
[男だし。若い衆だし。内にこもってはいられない。 かつん、と缶詰が開く音がして、 俺はうつむいたまま頷いた。
本当は、もう、現実なんか見たくないけど]**
(+9) 2020/10/25(Sun) 09時頃
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[明日なんか誰にもわからないから せめて形に残すことにした。]
(+10) 2020/10/25(Sun) 10時頃
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「舞原菜々緒。17歳。××高校の二年。 部活はダンス部で、 今度大会に出る予定だったんだよね。 今年は粒ぞろいの後輩たちも入ってきてて 安心して後任せられるねって 先輩に言ってもらったばっかりだったのに」
[せんぱい、と、少女は呟いて涙を零し始めた。 それから、ダンス部の課題らしき歌を口ずさむ。 哀悼のようだった。]
(+11) 2020/10/25(Sun) 10時頃
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「……榎本直茂。48歳。警官。 家族は妻と子どもが2人。 もういいだろ。見ての通り、 私にはもうこの子しかいない。
三人目はどうしようかって 呑気に言ってた自分が恨めしいな」
[眠る子供を抱きしめながら男が力なく笑う。 子供は時折、「おかあさん」と魘されている]
(+12) 2020/10/25(Sun) 10時頃
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「米田佳子。歳は言いたくない。 職業も言いたくない。 なに?インタビューなの?ヒマね。 ここの連中の感想なんて総じて 『なんで私たちがこんな目に』か 『ゾンビが許せない』か 『政府は何をしてるんだ』の三つじゃないの。
あたし? んー。そろそろ新作試すのにも飽きたかな やっぱり、自己満足だけじゃ続かないわ」
[女の手元には化粧品売り場から持ってきたらしい いくつかの化粧品が置かれている]
(+13) 2020/10/25(Sun) 10時頃
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[ここにいる人の事をノートに書き記す。 元帥と外回りに行く日まで、 それで空白の時間を埋めた。 この騒動が終わっても 何か記録が残っていればいいなと思った。]
(+14) 2020/10/25(Sun) 10時頃
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「なに書いてんだよ」
記録。元帥のことも書く? いやって言ってももう書いてあるけど
「何それ。俺の許可とれや」
[もそもそとノートに文字を書いていると 元帥がひょいとのぞき込んできて 興味があるのかないのかも分からない様子で 口を挟んできた。]
(+15) 2020/10/25(Sun) 10時頃
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「インタビュー集ねえ。騒動が終わったら売れるか」
皆経験してることなら そう価値もねえかもだけどね 終わるかどうかもわかんにゃーし
「全滅エンドってやつ?」
そーそー。 数百年後、荒廃した地球に下り立った未来人は がれきの下から古びたノートを見つけ 当時の様子をしのぶのでしたー!みたいな?
「全滅してるなら未来人じゃなくて宇宙人だろ。 設定ガバいな。 てか数百年後ってノート残るのか?」
細かいことは気にすんなマジで
(+16) 2020/10/25(Sun) 10時頃
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[ふんふんと鼻歌を歌いながら猫を描いている。]
元帥さあ。 この騒動が終わったら、何したい?
「はあ? ……咄嗟に思いつかねえよ。お前は」
俺はーんー。
(+17) 2020/10/25(Sun) 10時頃
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[もういちど、進に会いたい。 謝りたいんだ。色んな事。]
(+18) 2020/10/25(Sun) 10時頃
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[そう言いかけて唇を閉ざした。
こんな滅亡一歩手前の 棺桶に片足突っ込んだような状況で 唇に湿っぽい話を乗せるのはやめにしたい。]
(+19) 2020/10/25(Sun) 10時頃
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あんねー、 秋葉原に知り合いの店があんだけど そこに行って酒が飲みたいかにゃー。
あとあと、 でっけーピザとコカ・コーラを宅配で頼んで 空調の効いた部屋で元帥呼んでさあ 終末ものの映画みんの
「最低か?」
最低だよ
[くく、と笑って、俺は大窓から階下を見下ろす。 人通りのない荒れた町の中を、 時折ゾンビらしき影が過っていった。]
(+20) 2020/10/25(Sun) 10時頃
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[こんなに身近にある滅亡を、 笑い飛ばせる日が来たなら、 それ以上の幸せなんて、あるもんか。**]
(+21) 2020/10/25(Sun) 10時頃
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[ あの子が何よりも大切よ。]
(+22) 2020/10/25(Sun) 14時頃
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[ 娘も、その夫も、おじいさんも、 向こうのご両親も逝ってしまって。
あの子にはわたししかいないと思うたび、 使命感に奮い立たされるのと同時に、 どれだけ心細かったことでしょう。
いつかわたしも向こうにいくとき、 優しい立派な大人になったでしょうと、 胸を張って言える日を夢見ていたわ。
そんな日が訪れるって信じていたの。 ……信じていたいの。最後までずっと。]
(+23) 2020/10/25(Sun) 14時頃
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[ ……わかってくれる? ]
(+24) 2020/10/25(Sun) 14時頃
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[ ろくに眠れもせず一晩を明かしたわ。]
(+25) 2020/10/25(Sun) 14時頃
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[ 一夜明けても状況が好転することはなかった。
時折門扉を揺らすガシャンという音や、 裏戸を叩くような荒い音が響いたけれど、 誰もいちいち反応することはなくなっていた。
慣れてしまったのかしらね。 それとも、頭が働いてないのかも。
眠いけれど、空腹で眠れなくて、 なんだかずっと、ぼうっとした気分なの。 きっと皆そんなふうだったわ。
水が止まっていなかったのが救いね。 砂糖を溶かして飲んだりして、 あの手この手で空腹をごまかしていた。 もう本当に残り僅かな食糧を、 どうにかして温存しておきたかったのね。]
(+26) 2020/10/25(Sun) 14時頃
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[ そんな中、わたしは廊下を歩いていたわ。 いつも以上にゆっくりとした足取りで。
コンコンと数度扉をノックしたら、 やつれた顔のお隣のご主人が扉を開けた。 髪の毛はぼさぼさで、シャツは皺になっていた。 改めてこうして見ると、ひどい有様だったわ。
きっとわたしも似たようなものね。 水シャワーを浴びたりはしていたけれど、 もう身なりに気を遣う余裕なんてなかった。
ご主人は何も言わずわたしを見下ろしていたわ。 後ろから、奥さんも様子をうかがっていた。
わたしは少し躊躇ってから顔を上げたの。]
(+27) 2020/10/25(Sun) 14時頃
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一晩よく考えたんだけど──、 ……確かに、あなたの言うとおりだわ。 今は……生き延びることを優先しないと。
(+28) 2020/10/25(Sun) 14時頃
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[ 疲れ果てたようなご主人の瞳に、 一瞬、強い光が宿った気がしたわ。
わたしにいいんですね≠ニ念を押したけど、 後戻りなんて許される様子はなかった。]
……ええ。
[ わたしは自分を納得させるように、 もう一度しっかりとうなずいて見せた。
いいわけなんてなかった。 けれど、ほかの方法が見つからないんだもの。 せめて間違った選択ではないと信じるしかないわ。]
(+29) 2020/10/25(Sun) 14時頃
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