292 【突発R18】Vacation Immoral-blossom-
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アリマタイガという男の話をしよう。 生まれは極東、日本人の父と独逸とのハーフを母に持つクォータ。 タイガが生まれて間もなく父の事業が失敗、親の顔を覚える前にタイガは家族を失った。
青い目の日本人。 親を知らず自分のルーツすらもあいまいなままアイデンティティの置き場に悩んだタイガの青春時代は絵に描いたように荒れていた。 暴力と犯罪に塗れたタイガはあるとき一人の男に拾われる。 そうしてタイガはクスリの運び屋として世界を飛び回ることになる。 南米から米国、欧州や印度、東南アジア、そして母国である日本。
危ない橋を何度も渡り、その度に体の傷、そして資金を増やしていった。 いつしかタイガは自らの金を元手に商売を始める。 ようやく自分の手で自分の人生を回し始めたのだった。
(*0) 2019/04/03(Wed) 23時頃
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ブローカー『アリババ』 有馬の字を間違えて読んだ日本好きの客がつけたニックネームはいつしかタイガの通り名となった。 世界各地を飛び回ったノウハウを元に流通ルートを拓き、客が欲っするものは何でも揃えてみせるタイガの元には依頼が絶えなかった。
だがその分トラブルも多かった。 納期が一日遅れただけで殺されかけたこともあった。 ブツを収めた先の対抗組織に狙われたことも何度もあった。 拷問を受けたことも一度や二度ではない。 仲間や恋人を失ったこともあった。 だが、それでもタイガは生き延び勢力を拡大していく。
そうして今や『アリババ』の名は裏社会で知る人ぞ知る存在となっていた。
(*1) 2019/04/03(Wed) 23時頃
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[部屋のそとは雨。 トタンの屋根を激しくたたく音が部屋の中にまで響いていた。 灯りもない小さな部屋。 小さな机と小さな椅子、小さなソファとあとはベッドが一つあるだけ。]
……コリーン!
[激しく交わる男と女。 男が女の名を呼べば、女も男の名を呼んで応える。 暗がりの中、肉のぶつかりあう音、軋むベッドの音、雨の音が陰鬱で卑猥なリズムを刻んでいた。]
最高だ、本当に!
[激しく交わる恋人たち。 男の体の上で長く美しい髪を振り乱して淫らに跳ねる女。 美しい女の肢体を何度も何度も突き上げる男。]
もう……イクっ出すぞ!
[キュウと一層収縮する女の膣内に激しく突き込んでその最奥で欲を勢いよく吐き出した。]
(*2) 2019/04/03(Wed) 23時半頃
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[──その瞬間だった。]
(*3) 2019/04/03(Wed) 23時半頃
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[響いたのは雷鳴、そして一発の銃声。 そんな気配なんかなかった、セックスに耽っていたとはいえ二人以外にこの部屋に誰かがいたなんてまるで気づかなった。 死神は二人の情事を見届けて男が果てたその瞬間に
女の頭を吹き飛ばした。
男は自分の顔と胸を濡らすものが何か理解が追い付かなかった。 生暖かいぬめるなにか。 暗闇の中で色を失った光景は状況を正しく伝えてはくれず、何が起きたのかまるでわからないまま放心していた男に女の体が倒れこむ。
ぐちゃり
胸に落ちてきた女の顔は、しかし人の顔の形を保っていなかった。]
(*4) 2019/04/03(Wed) 23時半頃
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「お楽しみだったか?」
[死神が発した言葉でようやく理性が戻ってきた。 それは男にとって不幸なことではある。 男の理解がようやく現実に追いついたとき、男を支配したのは恐怖だった。]
うわあああああああああああああああ!!!!
[せっかく戻ってきた理性が再びどこかへと霧散する。 自分に覆いかぶさる『何か』をどかそうとするがうまく体がうごかない。 ジタバタと見苦しく慌ただしく悶える男に死神は告げた。]
「聞け、アリババ。 これ以上この国で仕事をするな。わかったな」
[短く告げられた言葉に男は身動きをやめる。 首筋に鎌を当てられて、できることはただ首を縦にゆっくりと動かすことだけだった。 窓の外でもう一度雷が鳴ったとき、死神の姿は部屋からかき消えていた。]
(*5) 2019/04/03(Wed) 23時半頃
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[それはもう何年も前のこと。 だがそのときに感じた恐怖は今も昨日のことのように覚えている。 いまだ振り払うことのできない記憶。
女を抱くときはいつも思い出す。 愛する者を失った悲しみすら感じられかったほどの恐怖。 忘れることのできない闇の中の記憶
女を抱くときはいつも感じている。 生きている実感を、死を強く感じたあの瞬間の強い強い生きている実感。
乗り越えられない恐怖を振り払うように。 何物にも代えがたい生を感じるために。
タイガにとって女を抱くということは生と死の対極を実感する何にも勝る快楽であった。]
(*6) 2019/04/04(Thu) 00時頃
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