深夜。
暗闇を往く雪燕が静かに刻むリズムが変調しだす。やがて完全に静止する。
異変に気付く乗客が如何程居ただろう。
窓の外には、合図をするようにゆれるランタンの光が見えていた。
何者かが、一等席付近…車掌室から乗り込んでくる。
再び刻まれだすリズム。何事も無かったかの様に雪燕はまた進みだす。
刹那、嵐の様な風を切る音。トンネルに入ったが故の、空洞音だ。
風を切る音の中、扉越しの会話は微かにしか聞こえない。
––––君か、パルック…
ジェフ。……どうかした…い…
……令状だ、乗客には悪いが一刻を––『人狼』の捜索を……
…本部長は頭でも––––ったの…い…?
––––冗談…はない……私は––––北––…–––村に…––憔悴…態の村人–––…
喰い散ら–––…遺体が…–…絞首台が作られ…––––
––––止むを得……毎日1人を––––
(#0) 2015/12/01(Tue) 00時頃