[黙々とカレーを食べ進めていれば、次々と人が食堂に集まってきただろうか。自分が滑り込んだ時には千秋一人だったそこは、すっかり賑やかな場になってきた。
と、寧斗の声が聞こえて、顔をあげる。>>73
まごついたような謝罪の後、彼が仮面に手をかけた。……ああ、そうか。仮面の下にもうひとつ、素顔があるのか。
そんな当たり前のことを今更思ったのは、出会った当初から一度たりとも彼がその仮面を外すところを見てはいなかったせいだろう。
──素顔が露わになった瞬間、誰かの息を呑むような声が聞こえたような気がした。
予想していなかった素顔に、流石にカレーを掬う手が一瞬止まる。
……けれど、たぶん、それよりも。
他の者と視線を合わせず俯くその姿が、いつかの自分と重なって。>>74]
痛く、ない?
[言葉通り、とうに昔のものであろう傷跡はきっともう痛むことなどないのだろうと、頭では分かっていたけれど。
思わず滑り落ちた言葉は、少し前須藤にかけたもの>>1:@5と、同じだった*]
(@4) Maki_hinata 2015/02/11(Wed) 00時半頃