−B棟→本邸渡り廊下前−
[庭で楽を奏でていた花が、己の退出に何を思ったかは知らぬまま
男はただ本邸へと足を進めていた。]
…朝から随分と。
[現れた男の挨拶に返そうとしたところで思わず扇を開いて口元を隠す。
パチンと音が響く。明らかに呑んでいると解る匂いだ]
聞いている。と言うよりは、その現場にいたと言うほうが正しいか。
私は…そうだな、面白そうな者は幾らか見ているが、果たしてうまく買い取れるかは、さて。
[どうするかは考えているところ、と言った風体の言葉を返し、
そのあと続いた言葉に首を傾げた]
いや、昨日の舞のあとに話をして…それから大広間で別れたが。
……余りお気に留めてもらえなかったと、寂しそうな顔をしていた。
[そう告げて、目の前の大男を見やる。
明乃進は、目の前の男の名を主と言う単語から言い直していたから]
(555) 2010/08/04(Wed) 17時半頃