[先に退院したカリュクスの世話やらは、母親が一手に引き受けてくれたらしい事を聞いたのは、彼女が先に退院した後だった。
息子しか産んでない母親は、カリュクスの事は、特に事故後は、実の娘のように可愛がっているようで。
家が近く身寄りもほぼ無くなったカリュクスを引き取るという話も無くはなかったのだが、全く身寄りがなくなった訳でない以上、血の繋がりがないというのは厄介な壁だった。彼女の周りにちらつく親戚の影が、養子の話には目を光らせる。
そこら辺、まだ高校生だった自分に話が振られる事はなかったが、後々考えれば、大金持った妙齢の子を、あかの他人が引き取るのは、傍から見たら不安が残ったのだろうから解らなくもない。
養子の話はなくなった、とは暫く後に親から聞いた。
もっとも結局車椅子生活のカリュクスを引き取る親戚はいなかったのか、それとも何かの事情か、彼女は結局一人で暮らしているが。
無事退院の話を聞けば、自分も早くとリハビリに熱がこもった。]
(481) t_nuke 2014/06/09(Mon) 19時頃