[ちらりと覗いた赤、傷を見慣れた者が見逃す訳もなかった。帝都において襲撃されていない彼が血が滲む程の怪我を手首にしているのは不自然。まさか変な倶楽部のシュミがあるわけでもあるまい。
しかし、自分を襲った襲撃者と己の中で確信しても抱き上げようと延べられた手を避けるでもなく、告発もしない]
昨日から強制搬送されてばかりだ。
話せれば、別に道すがらでもいいです。
べネット殿、昨日私を襲撃した方には、殺意がなかった。出血が多いのはそうでもしないとふせらぬと知って選ばれた手段でしょう。とても妥当です。
が、どうしてなのでしょう、考えても、答えがでない。
襲撃者が何を思って第二皇子の即位即ち大戦を望むのか。
『守る』戦いでは何故駄目なのか。
直接聞ければよいのですが、そうもいかず。
お忙しいとは思うのですが、第二皇子を推されているべネット殿がどう考えておられるか聞いてみたかったのです。
[服越しに手首に触れる。痛みを和らげる程度に、傷に治癒をかけた]
(353) 2011/03/28(Mon) 00時頃