――…そういう心算では、無いのだけれどね。
[仮にも己は師団長の座を既に失ったのだから、同僚と言う訳にも行くまい。
なれば適切な口調だった筈なのだが、とくつり苦笑に喉を鳴らす。
…常は言葉遣いにも厳しい彼だと言うのに。
ふと、向けられる紫電に気付いて、…薄く笑う。
指先で軽く眼帯の上を叩くと、ひらりと掌を挙げて示した。
――見えてはいないが、然程気に留めていないとばかり。]
いいや? …随分と暇を持て余しているように見えるな。
まぁ、怪我も有れば致し方無かろうよ――君には、居心地も悪かろうが。
[生真面目な彼の事、もしやと思ったが相変わらずだ。
不服そうな言葉に思わず安堵の笑みが漏れる。
次いだ言葉に、翠を瞬いて。思案気にゆるりと一度翠が床に落ちる。
しかし再び視線を上げ。紡ぐ言葉は、淀みなく。]
…なかなか、かな。居心地は悪くないよ
――第三師団長であった頃も、嫌いでは無かったけれど。
(310) kairi 2011/04/06(Wed) 00時頃