[何故か悩ましげな表情を浮かべる彼>>291に、僅かながらに首を傾げ。続いた"舞台を見てくれているのか"、と言う問い>>292には、男は少しの間目を瞬かせはしただろうか。
――否、驚いたのはその問いの内容では無かったのだけれど。
確かに自分は彼よりもずっと歳上だ。しかし、自分で言うのも何だがそこそこに若く見られる自信はある。
ほんの一瞬、複雑そうに下がった眉が相手に気付かれたかは分からないが、それでもすぐに問いに対して首肯して見せる。
そうして次いで掛けられた疑問符には、小さく肩を竦めてざっと相手の姿を視線で追っては見ただろうか。]
目立つでしょう、その格好は。少なくとも私の目は引いた。
…あぁ、でも目立つのがナンボと言うその意見はその通りかもしれません。
確かに、印象には残りやすい。
お忍びを邪魔されるのが面倒な人ばかりだと思っていましたが、どうやら私の認識不足だったようです。
["態々"言い直す彼の律儀さにふ、と柔く笑いながらも、視線を合わせたままに男は余所行きの言葉を紡ぐ。
だけれど、彼はあまり居心地が良くは無かったのだろうか。投げられた"願い"に、男はついに、小さく小さく笑みを零しはしただろう。]
(299) 2014/10/02(Thu) 15時半頃