― 神社 ―
へえ。おみくじ。
あ、そうだ、千早ちゃ……
[こんな状況ありえないけど『もう一回』のチャンスをもらった。
今日は今日と受け入れて、どうせ何が出来るわけでもないのなら、お祭りを楽しんでしまおうとなるのなら。
「今日こそ。」そう思うのに。
それでも勇気をだそうとするとどうにも胸が苦しくなってしまう意気地のないあたしは、千早ちゃんの勇気を借りたくて、彼女にあとで話をきいてもらうつもりでいた。
声をかけようとしたところで、彼女はおみくじを探して走っていってしまった。
彼女の後ろ姿を見ながら、あたしの悪癖がはじまった。
秋山先輩はどうしているだろう。
彼にとっては今日が初めての9月1日なんだろうか。
そうじゃないなら、呑気にお祭りに行きませんかと言ったら……
伝えたいけど怖いから、先延ばしの言い訳を探しているくせ、誰かにとられてしまいたくない気持ちばかりは大きくて焦っている。]
(261) 2019/09/03(Tue) 22時半頃