[彼の視線>>204を追いながら、打ち震える脚にはただ悦を。
何を映すこともない丸窓には拡がる孤独のみさえ憶え。
ただ何処か物寂しさを感じ得たならば、己の頭上に揺蕩う銀月に視線を戻し、揺れる淡藤を目を細め睫をちいさく震わせて、眺め入り。
その色に先夜の金月を意識の底から浮上させたのならば、今や片銀月は自分の手の内に在ることにただただ歓喜。
恍惚とその淡藤に視線を釘付けては、もう片手にて絹の様な髪に触れ、手櫛を通し。――まるで愛玩を愛でる様に厭らしく。
そうして他の物に意識を回すことを忘れ掛けて居たならば、突如として来たる胸先の違和感には呻きにも似た嬌声を漏らし。]
〜…っの、
[引き戻された現実に、喘ぎ掛けた事実に、己が自尊心の砕かれる音を聴く。
きゅうと唇を噛み締めては面白く無いと云ったような表情を銀月の元に曝し。
――それでも身体は熱を帯びたままで居るものだから、果たして本心は。]
(210) 2014/09/16(Tue) 15時半頃