─ 退院後 ─
[街を歩く。街頭ビジョンには嫌いと告げた人とよく似た舞踊家の笑顔が映し出され、視線を上げればそれがアヴァロンのCMと知る]
…この子、きらい。
[似た姿、けれども楽しげではない笑顔の舞踊家に落とした呟きは、悲しい色が混じった淋しげな音。
楽しそうにゲームをしていた彼と似た舞踊家の笑顔に覚えた感情が、そのまま滲んだ声音]
[そうして青年は、現在勉強中のカイロプラクティック教室近くのカフェへと向かう。
教室で一緒になった人から勧められ、以前から行ってみたかった場所に。
カフェに入り、勧められる席に向かう最中、つい手が滑りテキストを落としてしまう]
あ、すみません。お一人で楽しんでるところ邪魔して。
[テキストを落とした近くの席に一人駆ける細身の女性に、慌てた謝罪を告げ。
さらりと流れる黒髪に視線を惹かれたのは、どこかの踊り子を思い出したから]
(210) hisetu 2014/06/08(Sun) 06時頃