[暫くの時間の後。
揺らしていた足を止め、椅子から立ち上がる。
真っ直ぐに、裏庭までの道を行く。
今日は天気がいい。きっと、洗濯物の乾きも直ぐだ。
後に干したシーツの方は未だ濡れているだろうが、先に干したシャツだけでも回収しておくことにする。
雑用をするなとは言われていたが、朝の仕事の続きくらいならば許されるだろう。
その後の予定は、その後で決めることにして。
日当たりは悪くないが、決して開けた場所ではない裏庭は、密かに気に入りの場所だった。
気に入り、というよりも、妙な既視感とそれ由来の安心感からか。
乾いたシャツを片腕にかけ、窓越しに施設内を見る。
廊下や談話室、娯楽室。カーテンの隙間から本の柱を覗かせる、図書館。
真っ直ぐに庭へと続く、刈り揃えられた植え込み。]
………、
[シーツ以外の回収を終えれば、木に拵えた不格好な結び目を解き、絡まらぬように慎重に、輪の形へと束ねていく。*]
(207) 2014/12/25(Thu) 22時頃