[問いの答えを待たずして歩き出す医者>>192に文句のひとつくらい言っても許されるのではないか。それくらいの悪態をつく位、許されるべきだ、とレティーシャは考える。]
ーー……。
[ほんの数十秒の間、皮肉の言葉を考えてみたものの、結局なんて言えばいいか分からず不満気に彼の後に続いて歩を進めて。]
(……わたしは、見放されたのかな。わたしは、此処で死んでいくのか。)
[希望に押し潰されて死んでいくのは、どんな気持ちなんだろう、と医者の背中に問う。ーー答えは返ってこないんだろうけど。
ふ、と中庭が近付いて窓から色鮮やかな紫陽花が目に入れば息を吐いて。]
綺麗な、紫陽花ですね。
部屋に飾りたいくらい……。
[そうすれば少しは心が救われるだろうか、死の悲しみは癒えるだろうか、なんて考えれば静かに彼の答えを待った。]
(198) 2014/06/26(Thu) 23時頃