[次に意識が戻った時に目に入ったのは、涙の止まらない自分を一生懸命に宥めてくれる先輩たちや同級生の姿で、別室に回収されたトレイルには仕置きしておくからと言われた。
それに異論はなかったので、甘えておいた。
それが直接の原因ではないけれど、留年したこともあって結局トレイルとは数か月にわたって口も聞かない期間があった。
ただ、気がつけば。
申し訳なさそうに。しょげたように。
捨てられた子犬と競っているのか、と問い詰めたくなるくらい切実な視線を寄越されていたから。
きっと、生来の負けん気が刺激されたのだと思う。
こんなことくらいで気を遣うな、とか。気にしてないとか。
勢いまかせに口付けて。
おあいこだ、と殴って笑って見せて。
トレイルも受け入れてくれた今の関係で。
本当は一つだけ伝えてないことがある。
――「 」。]
(192) 2014/01/25(Sat) 21時半頃