ーー 回想 ーー
親が先生してる学校に通うって、どうなの?
[杜山への入学を控えた冬、父へそんな質問をしたことがある。
「無くはないことだよ。」自分の息子の頭の出来はさほど良くないと理解していたのかは定かじゃないが、曖昧な答えと微笑と共に頭をくしゃくしゃに撫でられた。
無くはないということは、よくあるではない。当時でもそれぐらいは理解出来たのだが。
何だか父にそうされると大体のことはまあいいか、と思わせられてしまう。あの人は不思議な力があったのかもしれない。]
へー、そんなにやばいんだ?
[それから語られたのはおれの先輩になる生徒のこと。
中々の悪戯小僧で手がかかり、相当な音痴なのだそうだ。
全く持ってプラスの情報は口にされなかったのだが、笑って楽しそうにその男子生徒の話をしているのを見れば悪い人じゃないらしいのは、彼もまた父にとって大切な生徒なのはよく分かった。
どんな人なんだろう。なんて、あちらに自分の入学が知られているなんて思いもせずに思いを馳せていた。*]
(170) 2015/12/13(Sun) 22時半頃