[自分という男を、知って欲しかった。そのうえで、彼女のことを知りたかった]
…私ね、孤児なんですよ。
正確には戦災孤児ですね。幼い頃に両親を戦争で亡くしまして。
それで…まあこれはシスターから聞いた話ですけど、
私酷くやんちゃな子供でね。
目つきも悪いし、しょっちゅう喧嘩するしで、手のつけられない悪ガキだったんです。
そしたらある日、院長に呼び出されて。
その時院長に教えてもらったのが、私が今掲げている「愛を説く」って話でした。
「今生きていることに感謝なさい、貴方を生かしてくれている全てのものを愛しなさい」って。
それからです。この教えを世界に広めようと思って、孤児院を出ました。いろんな村や街でいろんな人と出会って話をしていくうちに、多くのものを見聞きしました。知らなかったこと、勘違いしていたものもたくさんありました。
最初はね、使命感に燃えてたんですけど…その。
(156) 2013/06/29(Sat) 01時頃