[継ぎ接ぎの怪物が振り下ろしただけで、粉々に砕けていく物体。
その筋力が見かけ倒しではないことは男にも理解できた。
けれどその欠片を踏みつぶしながら、男は一歩足を進める。
唸るような音を発する相手は何か言おうとしているようにも聞こえるが]
――人の話は聞きなさい、と教わりませんでしたか?
菓子をもっているのか、いないのか。
聞いているのですが。
[鳴らすのをやめた手を、相手の顔に向けて掲げる。]
その継ぎ接ぎ剥いでやったら、質問に答えられるようになるか?
[この体重差ならば攻撃にあたることはないだろうと高をくくった。
臨戦態勢の相手を値踏みするように目を細めた、次の一瞬で跳躍する。
横っ飛びで相手の脇腹に入ろうとしたつもりが――
力を入れすぎたのか壁まで届いた。慌てて壁から飛び出ている看板に爪を引っかける]
[苛立まぎれのように、片手を振るえば黄緑色が飛ぶが]
(149) 2011/10/20(Thu) 20時頃