[やがて戻ったワンダ>>76から、温かい珈琲を貰う。
カップを両手で包み込むと、熱がじんわりと掌に染み込んだ。
立ち上る湯気、『冷まして』と言われ、息を吹き掛けようとするが、
温かくて、優しくて、まるでそれは人の温もりそのものの様で、
不意に、涙が――零れる]
……サイモンにーちゃん、は、
俺の友達だったんだ、……。
あんなに、なって……痛かった、かな……。
[暫くは頬に流れる雫を止められず、静かに泣いているが。
彼女の手が頭を撫でてくれると、次第に衝撃と悲しみからも浮上し、小さく鼻を啜って、珈琲に口を付けた]
……あり、がと。ワンダ。 凄く美味しいよ。
俺、しっかりしなきゃな。
御姫様守る、ナイトになんかなれないよな。
[髪に触れた手は、震えを帯びていた。
怖いのは、ショックだったのは、自分だけではないのだ。
そんな当たり前の事に今更気付き、ワンダを見上げると、泣き濡れた頬を無理にも笑ませた]
(144) 2014/06/03(Tue) 21時頃