[手を差し出された時見せた不安げな表情>>125は、伝わってはいたけれど。そのままにしておく訳にもいかない。
少し接するだけでこれなのだから、今までの医者も大層手を焼いていただろうな、なんて、処置の合間に考える。
浅くなっていた呼吸は落ち着きつつあるようで、それには内心で嘆息した。そういえば彼は過呼吸のきらいがあっただろうかと、結局あの騒ぎで診察室に置いてきてしまったカルテを思い出す。]
……、そんな事だろうとは思っていました。
きっと向こうも、それなりの態度だったんでしょうけれど。
誰彼構わず喧嘩を吹っかけるのは感心しません。
[居心地悪げに落とされた言葉に、今度は内心ではなく息を吐く。
癖のある患者ばかり揃っていることは知っている。今回は軽い小競り合いで済んだものの、万が一もっと重大な事態になった時、責任を問われるのは自分達だ。]
……本当ならば、貴方のナイフも渡して頂きたいのですけど。
[処置の終わった手を離してやりながら、ぽつりと呟いた言葉はどう取られるだろうか。
顔を上げて、先からくるくると感情の色を変える彼の赤い瞳を見る。
先の要領を得ない問答の答えは、得られないままだったけれど。]
(138) 2014/06/26(Thu) 05時頃