[振り向いたところで交わることのない視線>>132には、安堵とともに苛立ちを覚えた。
肯定でも否定でもなく、ただ淡々と返される言葉であったり。
頑なに境界を越えようとしないくせに、かといって立ち去る様子も見せないままであったり。
どちらとも取れずにただ立ち続ける弟からは、相変わらず何も読み取れない。]
………、必要だ、って言ったら。
[自分だけが置いていかれるような錯覚に囚われながら、ならば離れるという選択肢すら見つからないのだから、どうしようもない。
目の前の相手は――"可哀想な弟"は、そもそも本当に自分のものだったのだろうかと。
根拠のない確信として自分の中にあった前提条件さえ揺らぐ、そんな感覚を押し留めるように、視界を覆う眼鏡の弦を押さえつける。]
そうしたら、…おまえは。
離れずにいてくれるのか。
[狡く濁した答えは求められていないとは知りながら、断言することはできずに、追撃のような問いには質問で返して。
――けれど、言いたいことは、聞きたいことは、そんな事じゃない。]
(138) g_r_shinosaki 2014/07/09(Wed) 23時頃